65 タイヨー君の正体は……
ゲイルとライアの正体を知ったジロさん
あとはタイヨー君の話を聞くのみ
タイヨー君……君はいったい何者だい?
65話 はじまります
拠点の秘密について話は続きます
「次は僕です。ご存じの通り名前はタイヨーです。じつは僕は比較的最近この森に来た人間です。どこから来たか……と言われると説明ができなくて申し訳ありません。ある日突然この森に現れた子供……ってくらいに思っていてください。事実その通りなので。」
ジロさんは何か言いたげですが神さまは話を続けます
「僕がこの森にきて思ったのは、なんて美しい世界なんだ……って事です。とても興味を持ったのでいろいろ観察したくなりました。そして森の魔獣を観察してたらゲイルと出会い、植物を観察してたらライアと出会いました。そして人間の事を知りたいと思っていたらジロさん達と出会いました。」
僕のことはこれくらいですかねーと言って神さまの話は終わりました
ジロさんはたまらず聞きます
「……タイヨー君はいったい何者なんだい?」
「その質問の前にひとつよろしいかな?」
ゲイルの割り込みにジロさんはどうぞどうぞと引き下がります
深緑竜という事実がまだ尾を引いているようです
「タイヨー様がここで魔獣を観察していた頃、森の奥からワイバーンが街の方角に向かって飛び立ってな、これは止めなくてはと思いワイバーンを追いかけたのだが、そこには既にタイヨー様に倒されたワイバーンが、恐ろしい程の威力の炎に包まれていたのだ。」
ジロさんは王城の謁見の間での話を思い出しました
「あの話……じつはタイヨー君がやったことなのか……。」
ゲイルの話は続きます
「私はタイヨー様の実力を試したくて攻撃したのだが……一方的に私がやられてしまったよ。それ以降私はタイヨー様に仕えているのだ。」
ライアも話し始めました
「私も同じですわ。タイヨー様が強力な植物の魔物を倒したので、人間の分際で……などと思ってタイヨー様に攻撃したのですが、直撃したはずなのにまったくの無傷でしたわ。あれには驚きました。その後もタイヨー様の力をまざまざと見せつけられて、私はタイヨー様に仕えるようになりました。」
驚くジロさんとフリッチさん
森の支配者と管理者が仕える人間……
ゲイルが後を続けます
「あの馬の脚を治した葉の事だが。あれはそこにある大樹の家の葉っぱだ。元々はライアが作った家だったのだがな。」
そこでゲイルはひと息入れました
そして話します
「その大樹の家にタイヨー様が『祝福』という力を使われたら、ただの大樹が世界樹に進化してしまったのだ。」
ーーーッ!!!
世界樹……
神話に語られる世界中の生命の源
神が創りし原初の木
またの名を神聖樹と言う……
ジロさんとフリッチさんはいつの間にか神さまの前で跪き、祈りの姿勢をとっていました
「やめてくださいよー!僕はただの人間の子供ですよー!」
神さまが必死に反論してます
ゲイルはジロさんに言いました
「なぜ私とライアがタイヨー様に仕えているか、なぜあの葉を外部に出したくないか、おおよそ理解したであろう。そしてタイヨー様は普通の人間の子供としてこの世界を観察したいそうだ。しかしタイヨー様は強力な力を持っているにもかかわらずとっても非常識だ。無知と言ってもいいだろう。」
神さま怒ります
「ゲイルが酷いこと言う!」
「おにいちゃんをイジメちゃダメ!」
スコットくんとフラックスちゃんが、よしよしと言って神さまの頭を撫でました
ゲイルは面食らいました
「子供とはいえ、この私に苦言を言う人間がいるとはな。」
フッと表情を緩めたゲイルは話します
「私とライアはタイヨー様に仕える一方、この世界についての知識を教えている。力を暴走させないようにストッパーの役目もあったが……それはスコット殿とフラックス嬢にお任せしたほうが良さそうですな。」
ゲイルは眩しそうに神さまと二人の子供を見ました
そしてジロさんとフリッチさんに向かってお願いしました
「どうかタイヨー様に人間社会と常識を教えてやってほしい。そして今までと変わらず同じように接してあげてほしい。」
緊張で身体がガチガチに固まっていたジロさんとフリッチさんも、神さまと子供達の姿を見て少し緊張がほぐれ返答しました
「タイヨー君には助けてもらってばかりですからね。恩を返すために私達にできることは何でもしますよ。」
ジロさんは緊張の面持ちながらも笑顔で答えたのでした




