63 引っ越しましょう
ジロさん一家は皆で大樹の家に引っ越すことに
いそいそと引越し準備をしています
ところで今のこの家はどうしましょうか?
63話 はじまります
ジロさんの家は2階建てです
2階は住居になっています
そこには既に荷物はありません
と言うか、行商で家族揃って旅をしているジロさんは、自宅に滞在する時間はとても少なく、そのため家財道具はほとんど置いていませんでした
必要なものは基本馬車の中
ジプシーなのです
よって引っ越しというほどの作業はありませんでした
1階は店舗になっています
こちらも行商人のジロさんは使ってません
時々、行商で持ち帰った物を店頭に並べるくらいです
今はダルベロさんと言う若い方が、ジロさんから賃貸して夫婦で雑貨屋を営んでます
今朝もダルベロさんは、お店に来て開店準備を始めていました
すると「ダルベロさん、おはよう!」と声がしました
声のする方に顔を向けると、大家のジロさんが顔を覗かせていました
「おはようございます。ジロさん。今回の行商では何か良いもの入りましたか?」
ダルベロさんは挨拶ついでに話し始めました
するとジロさんは突然で悪いんだが……と前置きして話し始めました
「じつは今回の行商の途中でちょっとした出会いがあってね、弟子をとることになったんだよ。なので当面は行商に専念しようと思ってね。」
驚いたダルベロさん
「え?そうなんですね。また急ですねぇ。すると次に帰ってこられるのはだいぶ先になりますかね?」
すると更に驚く事をジロさんは話しだしました
「もちろん王都には来るけど、これを機に行商を引退するまで旅を続けてみる事にしたんだよ。」
嘘の下手なジロさんもここは言い切りました
「そこで君達夫婦に住居も含めてこの家を買ってもらえないかと思ってね。たしか自宅も借家でしょ?」
いつか自分の店を持ちたいと思っているダルベロさんは、とても嬉しい提案に目を輝かせました
しかしダルベロさんには、まだそこまでの貯金がありません
「とても嬉しいお話ですが、あまり貯金も無くて……ちなみにおいくらですか?」
「そうだね……ここの家賃10年分でどうかな?一括でも良いし無利子で今まで通り10年家賃を払ってもらうでも良いよ。」
「買ったーー!」
即決です
ダルベロさん、断る理由がありません
「今までどおりの家賃で、お金が貯まったら残金を支払わせてください。」
「うん。じゃあそれで行こう。契約書と権利書は後で書くとして先に照会しておくよ。タイヨー君!ちょっと良いかい!」
ジロさんがそう言うと「ハーイ!」と返事がして、外からニコニコした可愛らしい少年が入ってきました
「照会するね。彼が弟子になったタイヨー君だ。まだ若いけど中々凄い子でね。楽しみなんだよ。で、タイヨー君。こちらは新しいこの店のオーナーのダルベロさんだ。」
「おはようございます。はじめまして。タイヨーと言います。ダルベロさんよろしくお願いします。」
しっかりした少年です
「はじめまして。私は1階の店舗を借りて雑貨屋を営んでるダルベロです。タイヨー君、こちらこそよろしくね。」
ダルベロさんも微笑みました
ジロさんが家賃について話します
「今までどおり月に一度、タイヨー君に家賃を受け取りに行ってもらうよ。」
「「わかりました。」」
ダルベロさんとタイヨー君は応えました
2人が部屋を出ていったあと、しばらくダルベロさんは喜びを噛み締めていましたが、ふと思いました
「行商で旅を続けると言ってたけど、1ヶ月に一度王都に来れるのかな?」
まぁそれはタイヨー君が頑張るんだろうと勝手に思いました
引越しの手続きも終え、荷物も馬車に積んだ一行は深緑の森に向かって移動をはじめました
しばらく進んだ先でゲイルが聞きました
「タイヨー様、どうやって拠点に行きますか?」
そうです
普通に移動しても拠点にはたどり着けません
神さまはせっかくだからと言いました
「指輪の力で拠点まで行ってみない?動作の確認も兼ねて。」
「まぁジロ殿のご家族には今更ですね。それで行きましょう。」
ゲイルも賛成してくれました
さっそくジロさんに話します
「もう緊急用の必要がなくなっちゃったかもしれないから、せっかくなのでここで指輪を使ってみましょう。ジロさん、大樹の家を頭の中で思い出し、そこに行きたいと願いながら指輪に魔力を流してみてください。」
ジロさんは緊張しながら、わかりましたと言いました
「ではさっそくやります。『大樹の家へ行きたい』」
すると景色が歪み、それが落ち着くと大樹の家が視界に入りました
「うん、成功だね。」
神さまが笑顔で言うと、外で女性の悲鳴が聞こえました
「ギャーー!」
そこには突然現れた馬の前で、尻もちをついているライアがいました




