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60 王との謁見

ジロさんの願いを聞き入れてくれたノルディカ副騎士団長

なぜか神さまも連れられて王城の謁見の間へ

深緑竜のうろこは無事に受け入れるでしょうか


60話 はじまります

王城では……


「スミス王、謁見の申し出がありました。」


近衛騎士に、そう告げられたスミスは詳細を聞きました


「どのような要件だ?」


「謁見の相手は王都に居を構える行商人です。」


商人が直接謁見を申し出てそれが通るものでもないだろう……となると……


「何か特別な理由のある謁見か?」


そう近衛騎士に尋ねると、若干緊張気味に話しました


「は。その商人が言うには、かなり貴重な物を入手したので是非王に献上したいとのことで。」


ふむ、なるほど

近衛騎士は続けます


「で、この謁見を申し出てきたのはノルディカ副騎士団長殿でして。」


ふむ、なるほど……ん?


「まて。今ノルディカ副騎士団長と申したか?」


「は!その通りです。」


「ノルディカ副騎士団長が行商人を連れてきて謁見を申し出てると?」


「は!その通りです。そしてもうひとり、森の守護者の弟子という少年が同行しています。」


これは何かある……とスミス王は考えました


「宰相はどう思う?……宰相?何処だ?」


横を見ると宰相がいません


後ろの出口用ドアに足早に向かう宰相がいます


「宰相を捕まえろ!」




謁見の間ではノルディカさんを先頭に、ジロさんと神さまが頭を下げ控えています

ジロさんはかなり緊張している様子


そこにスミス王と宰相が入場してきました


「皆の者、面を上げよ。」


魔獣の眼光と、オドオドした仔犬のような眼差しと、場違いなほどニコニコした笑顔がスミス王に向けられました


なんともいたたまれない気分のスミス王は、本当はニコニコ少年かオドオド商人と話したいところをグッと我慢してノルディカ副騎士団長に話しかけました


「ノルディカ副騎士団長よ、よく参った。今回はそなたが後ろの行商人の為に謁見を申し出たと聞いているが?」


ノルディカさんは王を見据えて話し始めました


「は。今回はこちらのジロ殿が大変珍しい物を手に入れ、是非とも王に献上したいとの事で連れて参りました。」


王はなるほどと頷き、ジロさんに聞きました


「それで、どのようなものかな?」


するとジロさんは、包まれたウロコを差し出しました


「こちらになります。」


その包を近衛騎士が受け取りました

近衛騎士は、その包を王の御前でゆっくりと広げました


中から出てきた物を見て、スミス王も宰相も包を広げた近衛騎士も驚きました


「これは……ドラゴンのウロコか。かなり大きいな。しかも5枚も。これはいったいどういう物だ?」


ノルディカが説明をします


「じつは行商人のジロ殿が、深緑の森近くの街道を移動していたところを盗賊に襲われました。そして森に逃げ込んだものの盗賊に囲まれ、窮地に追い込まれていたところを救出したのが森の守護者である精霊様と、その護衛であり弟子である少年のタイヨー殿です。私も精霊様とはよく知っている仲でして、このタイヨー殿が彼女の弟子である事も承知しております。」


そこまで話したところで、ノルディカさんは続きを神さまに話すよう即しました


「発言をお許しください。私は森の守護者様の護衛兼弟子をしておりますタイヨーと申します。」


ニコニコした少年が話し始めました


「ノルディカ様のお話の通り、ジロ様を救出したところで守護者様は、森から出たことのない私に人間社会の常識を教えてほしいとジロ殿にお願いしたのです。それを快諾し、いろいろ教えてくれたジロ殿に大変感謝した守護者様は、お礼にそのウロコをジロ殿に差し上げました。」


少年がひと息入れました

そして次のひと言で王をはじめとした面々が驚きのあまり言葉を失います


「そのウロコは森の守護者様が懇意にしている森の支配者、深緑竜様からいただいたものです。」


ノルディカさんが話を引き継ぎます


「森の守護者様のお礼の品とはいえ、一般の行商人にはあまりに荷が重いもの。現に先程もウロコを狙った賊に襲われていたところを、ジロ殿を探していたタイヨー殿に救われたばかりです。そもそも深緑竜のウロコが市場になど出たら大変なことになります。そういった経緯もあり是非とも王に献上したいという話になりました。」


そこまで話を聞いて、やっとスミス王は落ち着きを取り戻しました


「それは大変であったなジロ殿。確かに市場に出たら混乱が起きるだろう。これは王城の宝物庫で大事に預かろう。後程ジロ殿には褒美をとらせる。」


ジロさんは硬い口調で返事をしました


「ありがたき幸せにございます。」


ひとまず話が終わったところで、スミス王は神さまに尋ねました


「ところでタイヨー殿は森の守護者様の護衛と伺ったが本当かね。そして森の守護者様と深緑竜様が懇意にしているというのは本当かね?タイヨー殿は深緑竜様と会ったことはあるのかね?」


神さまは少し思案して答えました


「本来、力ある守護者様に護衛などは要らないのですが、そういう事になっています。実際は森の生物について教えていただいてます。そして守護者様と深緑竜様が懇意にしている事は事実で、私も何度かお会いしております。」


これには一同驚きました


「深緑竜様はただの伝説ではなかったのか……。」


スミス王は、存在が確認された伝説のドラゴンに深く思案するのでした


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