49 世界樹の葉の価値
ジロさんによるバートン王国の話は続きます
「バートン王国は、王城がある王都を中心に領主様が治める領地が周囲にある、比較的のどかな国と言えるでしょう。」
「広大な土地での農業は温暖な気候もあって収穫率が高いです。また森が近いことから狩りも盛んです。食料の自給率がとても高い国と言えますね。」
「それぞれの領地には特産品があって、私達みたいな行商人が特産品や収穫物などを買い取り、別の領地に行ってそれらの品物を売っています。こうしていろいろな物がいろいろな場所で手に入るようになるのです。」
ここまで聞いた神さまは、なるほど……と頷きました
「広大な国土、故に街同士がかなり離れているので、ジロさんのような行商人が重宝されるんですね。」
ジロさんは話しました
「人々の生活必需品……例えば塩とか穀類とかを行商人に頼っている街もありますからね。」
確かに塩などは手に入らなければ死活問題でしょう
ジロさんが領地について話しました
「王国なので王が全てを治めてる……と言うのが建前ですが、実際は王が任命した領主が自治権を持って領地を治めています。これらを順番に旅するのも面白いですよ。領地それぞれに特色がありますからね。」
「王国の中だけでもかなり広いんですね。おっしゃる通り領地を回る旅は面白そうです。」
神さまは、まだまだ見たことがない場所がいっぱいあることに嬉しくなりました
「ジロさんいろいろ教えてくれてありがとう。」
「いえいえ、ところで私も伺いたいことがありまして。ここに来たときに馬の脚を治した、あの薬草をなんとか譲っていただく事は出来ないでしょうか?」
あー世界樹の葉かぁー
「あの葉は残念ながらお譲りする事は出来ないんですよねぇ……」
「そこをなんとか!」
ジロさんは食い下がります
う〜ん……困ったなぁ〜
するとそこにゲイルがやってきました
「ジロ殿。あの葉はこの場所より外に出すことが出来ないものなのだ。申し訳ないがな。代わりにと言ってはなんだか、これをジロ殿に譲ろう。」
と言って大きな5枚のウロコを差し出しました
ジロさんは驚きながらもそのウロコを受け取りました
そして驚愕と恐怖の表情をゲイルに向けて聞きました
「これはドラゴンのウロコ……い、いや、この大きさとこの深緑……まさか深緑竜のウロコ……こんな貴重な物を5枚も!いったいどこから!?」
ゲイルが静かに答えます
「それを知りたいか?深緑竜のウロコと知っても尚……」
ジロさんは顔を真白くし、ガタガタと震えながら首を左右にブンブンと振りました
「それの主はこの場所に大きく関わっておりましてな。なんとかそのウロコであの葉の事は目を瞑ってほしいそうだ。」
ゲイルは続けます
「ちなみに、あの葉1枚と深緑竜のウロコ5枚でやっと釣り合う価値になる。あれはそれ程の物であって、あの葉を持つということは深緑竜を敵に回す事と同意と思っていただきたい。」
ゲイルが話し終わったところでジロさんは気を失ってしまいました
「ゲイル……脅かしすぎだよ〜」
申し訳ありません……とゲイルは言うと話を続けます
「しかし世界樹の葉が表に出る事だけは避けなくてはなりません。この領地から出さないようにお願いします。世界樹の存在が確認されればその所有を求めて大規模な戦争が起こるでしょう。」
ゲイルは確信を持って言いました
これには神さまも真剣に受け入れました
しばらくして……
ジロさんは寝室で目を覚ましました
「……さっきの出来事は夢……?」
ジロさんはふとベッドの横に立て掛けてあるウロコが目に入ってしまいました
「……事実なのですね……。」
フリッチが部屋に入ってきました
「あんた!目が覚めたのかい?どうしたんだい、いったい?」
「……私は危うく王国を滅ぼしてしまうところだった……」
ジロさんが呟きました
「ちょっと!しっかりしなさい!」
フリッチさんは思いっきりジロさんの背中を叩きました
ジロさん、あまりの痛さにまた気を失うところでした




