48 人間社会の常識
何とか王都に行きたいと願う神さま
しかし許してもらえません
ですが辺境の村なら行くことを了解してくれました
48話 はじまります
翌日、ジロさんに昨晩相談した話をしました
「あの2人は僕がひとりで王都に行くと、絶対に問題を起こすと言って許してくれないんだよ。ほんと酷いよねー。それでね、辺境の村ってところなら自分たちも一緒に行けるから、最初はそこにしておきなさいって言うんだよ。ジロさんたちはそこに寄っていく?」
笑いながら話を聞いていたジロさんは
「そうですね。いきなり人のたくさんいる王都よりも、まずは村を見た方がいいでしょう。私も通り道ですし、お店の情報も仕入れておきたいので一緒に行きましょう。」
ジロさんは快く了承してくれました
本当に良い人です
神さまはもう少し人間の常識について教えてもらうことにしました
「ところで人間たちはどの程度の魔法が使えるのですか?ゲイルとライアの魔法はおそらく参考にならないと思うんですよね。あと森の獣人さんやエルフさん達も身体強化とか風の攻撃魔法とかバンバン使っているんですけど、彼らも森の魔力の影響をかなり受けてますから比較する対象にはならないと思うんですよね。」
ジロさんは少し考えました
「そうですねぇ……私は火魔法と水魔法が使えますが、せいぜいこの通りです。」
そういって指先から出した炎は、ろうそくの火を少し大きくしたくらいでした
「この程度の魔法があれば焚火に火を点けられますし、コップ一杯くらいの飲み水が出せますので、旅をするにはとっても重宝するんですよ。フリッチも確か同じくらいの魔法でしたね。」
そういうと、ジロさんは近くで遊んでいた子供たちを呼びました
「スコット!フラックス!ちょっとこっちにおいで。」
「なにーお父さん?」
近くに来た子供たちにジロさんは言いました
「スコットとフラックスは魔法って使えるかい?」
「ボクはこれだけー」
スコットくんがそう言うと、手がビシャビシャになりました
「手が洗えるよ!」
そういってニッコリしました
神さまはすごいねーと頭を撫でました
すると、フラックスちゃんが涙目になってしまいました
「わたしはまだつかえない……」
ジロさんは優しく頭を撫でて言いました
「フラックスもお兄ちゃんくらい大きくなれば使えるようになるよ。」
「ほんと?」
涙目を向けるフラックスちゃんにジロさんは優しくうなずきました
「やったー!でも頭はタイヨーお兄ちゃんに撫でてほしいの!」
そういって神さまに抱きつきました
ジロさん……目が怖いですよ
そう思いつつフラックスちゃんの頭を撫でてあげました
魔法の話が終わった後、子供たちはまた遊びに行ってしまいました
「……と、まあ一般市民は普通これくらいですかね。これができないと日常生活が不便ですからね。」
ジロさん、ちょっとムッとしてます
大人げないなぁー僕も子供ですよ
「魔法で言えば騎士団の魔法使い様たちは凄いですよ。火魔法、風魔法、水魔法、土魔法が主力ですかね。これらの魔法を駆使して敵に攻撃を与えます。魔法専属ではないのですが、ノルディカ副騎士団長様は特に凄いですよ!剣の腕は見事でまさに疾風のごとく、さらに魔法の技術も卓越しているので、もっぱら王国最強とまで言われてますね。」
ジロさんが興奮気味に話します
神さまは顔を引きつらせながら
「そ、それは凄いですね。」
と答えるのが精一杯でした
まさか攻撃されて無傷でした……とは言えません
「王国といえば国の事はどこまでご存じですか?」
ジロさんはバートン王国について聞いてきました
「いえ、もはやまったく知らないと言っていいですね。あ、今騎士団について少し知りました。」
「森を出たことがほとんどなければ当然ですか。ここからはだいぶ距離もありますしね。」
そう言うとバートン王国について話し始めました
「バートン王国はスミス王が治める王国です。西にはこの深緑の森、東にはルック王が治めるチロリア王国があります。バートン王国とチロリア王国はかなり離れておりまして国交は少ないかと。私も行商をしていますが、チロリア王国には行ったことがありません。同盟も敵対もしていないといったところでしょうか。バートン王国はこの広大な深緑の森に隣接している為に、敵といえばこの森の魔獣ということになるのでしょうね。」
ジロさんはいちど話を区切りました
この森に来るまでチロリア王国らしきものは見ていませんでした
実際かなり遠いんでしょうね
神さまは遠く東の空を眺めました




