47 モノを買うということ
食事の楽しみは味以外にも有る事を知った神さま
行商についても教えてもらわないと
まだまだ知りたいことはたくさんあります
47話 はじまります
なんとか食事を食べること、味わうこと、楽しむことについて理解してきた神さま
味わうことについては、もっといろいろな食材で経験を増やしておきたいところですが、これはいずれ出会うだろう人達と一緒に、経験していくのも悪くないかなとも思い始めました
今日はジロさんの馬車に積んでいるものを見せてもらうことにしました
そこには商品がいろいろ積まれていました
ふと神さまは、肝心なことを聞いていないことに気が付きました
そもそもジロさんがやっている行商とは何なのか?
わからないので神さまは聞きました
「ジロさん。ちょっとお聞きしたいんですが行商って何ですか?」
「あぁ、私がやっている仕事のことですね。行商とはまず商品を安く仕入れます。それを馬車で別の場所まで持っていきます。そこで高く買ってもらい儲けを出す仕事ですよ。」
神さまの顔が強張りました
ジロさんが何を言っているのかさっぱり解りません
仕入れ?安く?高く?儲け?
いったい何のことでしょう?
「まったくわからない……といったお顔ですね。」
まさにその通り
「品物を買う……って事はわかりますか?」
どういうことでしょう?
「ではちょっと違うお話から。タイヨー君がイノシシの肉を持ってました。私が果物を4個持っていました。タイヨー君は果物を少しほしい。私はイノシシの肉が少しほしい。さぁ、タイヨー君ならどうしますか?」
神さまは少し考えました
「そうですね。仲良く半分ずつ交換しませんか?とジロさんにお願いします。」
ジロさんが微笑みました
「正解です。これが物々交換と言います。商売の原点です。さて、次はお金です。こういうものです。」
そう言うとジロさんは、小袋から丸い金属でできた物を取り出して見せました
銀色と銅色の物が大中小とあります
他にも金色があって、全部で3種類の大きさと3種類の色があるそうです
「これはそれぞれに価値の違いがありますがその説明はまた後ほど。タイヨー君がイノシシの肉を持っていました。このお肉をお店に買い取ってもらいます。お肉をお店に渡すとこのお金を3枚受け取りました。このイノシシの肉の価値はこのお金3枚分ということです。今度は違うお店に行きました。果物2個がほしいというとお金が3枚必要と言われました。さてタイヨー君、どうしますか?」
「あ!先に受け取った3枚のお金を渡せば良いんだね!」
ジロさんはにっこり笑いました
「タイヨー君。その通りです。お金を渡してお店の物と交換してもらうこと、この行為を買い物と言うんですよ。そして行商とは、人からお金を払って物を受け取り、別の場所で先程より少したくさんのお金をもらって物を渡す仕事です。」
神さまは笑顔になりました
「よくわかりました。ジロさんありがとう。」
そしてジロさんは話しました
「もしよろしければ、一度私達の家に来てみませんか?次の行商まではまだ時間がありますので。しばらく我が家で生活して見れば人間の生活がどのようなものかもっと理解出来るかと思います。」
とても魅力的なお誘いです
いちど人間の街には行ってみたいと思っていたので
「そうですね。いちどゲイルとライアに相談してみます。」
その夜、神さまは2人に相談しました
「……そういう訳で、ジロさん達と一緒に王都に行ってみたいんだけど。」
「「駄目です。」」
2人揃って否定されました
まぁそう言われるとは思っていたのでショックではないのですが、それでも理由は知りたいものです
「なんで駄目なの?」
「タイヨー様、獣人の村で行ったことをお忘れですかな?威圧で村人たちを恐怖のどん底に叩き落したあの大惨事を。あれを王都で行ったら魔王が降臨したって大騒ぎになりますが。」
ゲイルにそう言われて納得の神さま
「ライアはどう思う?」
「ゲイル様と同じですわ。エルフの村で行ったことをお忘れになりました?村人たちを救った事を。あの時は私がいたから村人達は納得していましたが、いなければ神が降臨したって大騒ぎになっておりましたわ。」
これも思い当たることがあり苦笑いするしかありません
ライアは少し思案して言いました
「そうしましたら、とりあえず森の近くの辺境の村と呼ばれている人間の村に行ってみませんか?あそこなら王都へ向かう道中なのでジロさん一家も立ち寄るでしょう。そして森からも近いので私とゲイル様も同行できますわ。」
「それは良い案だね。明日ジロさんに相談してみるよ。」
神さまはまだ行ったことのない人間の村に思いを募らせるのでした




