40 タイヨーと太陽
ライアのツルが導火線のように火が付きました
焦るライア
神さまの口の中はいったい……
40話 はじまります
「熱い!熱い!」
『風の刃』
即座にゲイルはツルを切り落としました
すると神さまの口から垂れ下がっている切り落とされたツルは、神さまの口のほうから強烈な炎で燃え尽きました
「ライア!大丈夫?!」
神さまはライアをみました
「大丈夫ですわ。あまりに驚いてしまって。私は木の精霊の中でも上位種族なので、弱点でもある火にもかなりの耐性があると自負していたのですが。」
続けてライアが説明しました
「タイヨー様の身体はいったいどうなっているのですか?確かに口から入っていったのですが……とてつもなく広い空間といいますか……いや違いますね。そこは別の世界でした。空は星の見える夜空のよう。そこからツルの向かっていった大地は溶岩地帯……いや、溶岩なんて生易しいものではありませんわ。見渡す限りの大地がすべて橙色にドロドロにうごめく火の海。そこから立ち上る数えきれないほどの巨大な火の柱や火の竜巻、強烈に吹く風も雨のように降ってくる何かもすべてが炎……ツルは近づくこともできずに炎の風に焼かれてしまいましたわ。」
ライアの見た状況にゲイルも目を見開いていました
ライアの話を聞いた神さまは思い当たることがありました
「僕の本体である太陽と僕の意思は常につながっているんだよね。実際に目に見える何かでつながっているのではなく……うーん……ライアが森の木々とつながっているのと近いかも。ライアの『木の扉』のように僕の口から入ったものはそのまま僕の本体に移動しちゃっているようだね。」
そう言いながら神さまは太陽を眩しそうに見ました
ライアも太陽を眺め、そして言いました
「あの他の何物とも比べることができないほど、あまりに巨大であまりに強いエネルギーの塊がタイヨー様の本当の姿……そしてそれがあの天高く輝く太陽を間近で見た姿……いかに自分が……いいえ、この世界がちっぽけなものということを思い知らされましたわ。」
そんなライアをみてゲイルは羨ましそうに
「ぜひ私もその光景を見たかったですよ。」
と残念そうに言いました
「遠い昔、私がまだ若いころ。私は太陽の力を求めてひたすら天高く太陽を目指して飛んだことがございます。しかしどれだけ高く舞い上がっても、空の色が徐々に暗く変わり昼間にも関わらず空が一面の星空になるまで羽ばたき続けても太陽は一向に近づくことなく、遠くで輝き続けていました。その時は悔しい思いでいっぱいでしたが、手に届かぬ存在……それで良かったのですね。」
ゲイルは懐かしそうに太陽を眺めました
皆がそれぞれの思いに浸っているところで神さまは肝心なことを思い出しました
「いやいや、今はそんなことよりも食事についてだよ。」
「そんなこと……って。私はあまりに壮大な話から、あまりにどうでもいい現実にいきなり引き戻された気分ですが。」
ライアが冷めた目で神さまに言います
ゲイルは苦笑いです
でも神さまにとっては食事をする……ということの方が宇宙の神秘よりも大事なのです
「とりあえず咀嚼したものはそのまま巨大焼却炉で燃え尽きるから良いとして、次の課題は味を感知する方法だよ。」
「巨大焼却炉って……タイヨー様、ロマンを語れない男性はモテませんことよ。」
ため息をつくライアは続けました
「タイヨー様は何かこう……他人の感覚を共有するみたいなことはできませんか?それができればその相手に何か食べてもらってその時の美味しいという感覚を模倣できないかと考えたのですが。」
神さまの目が光りました
「なるほど。早速やってみよう。ゲイル、ちょっと肩に触れさせて。」
そう言って神さまは目を瞑りゲイルに触れた手に意識を集中します
「うーん……ん?何か掴めたかも。ゲイルの視界を感じることができるよ。うんうん、段々とハッキリしてきた。ゲイル、このまま何か食べてみて。」
「そうなのですか?私にはさっぱりわかりませんが……ではさっそく美味しいものを食べてみますね。」
そういうとゲイルは先ほどの魔獣の新鮮生肉を丸かじりしました
「うんうん、伝わってくるよ。なるほど、これが美味しいって感覚か。」
神さまは新しく得た感覚に喜びました
その姿をみてライアは大きなため息をつきました
「神さま、ゲイル様、それはドラゴンの味覚ですから。人間のものとは違いますから。」
そして続けます
「タイヨー様は人間の姿ですから人間の味覚を覚えないと意味がありません。とはいえ私とゲイル様が親しくしている人族は獣人族とエルフ族のみですし……まあ収穫祭までまだ日があります。それまでに森に迷い人があるか私が監視していましょう。森のことは把握できますので。」
「そうだね。よろしく頼むよ。」
神さまはライアにお願いしました




