30 違う 違う そうじゃない
辺境の村の異変を知ったノルディカ
森の中に単独で入っていきます
向かうは故郷のエルフの村
30話 はじまります
辺境の村で宿泊し、朝を迎えたノルディカ
ここからは単独徒歩での移動になります
森の中に入るので当然馬車では行くことが出来ないのですが、理由はそれだけではありません
人間が操る馬車が森の奥に入ると森の守護者が攻撃してくる可能性があるのです
故に森の民であるエルフが行く必要があるのです
森に入ってすぐに異変を感じることができました
それはもう人間の比ではありません
大地、木々……そう、森全体から感じる溢れるほどの生命力
エルフのノルディカなら、その生命力をはっきりと感じることができます
「これ程とは……。この森に何が起きたと言うんだ。」
一騎当千の力を誇るノルディカでさえ、更なる力が湧き上がるのを感じました
「ふ、ふふ……。これではますます怖がられてしまうな。」
自嘲気味にノルディカは笑いました
細身でありながらも鍛えられた体躯
美しい顔立ちながらも猛獣の眼光
そうなのです
ノルディカは本来、麗しき女性なのです
しかし騎士団に入団してからは、美しい女性ということで模擬戦を挑んでくる若い騎士が後を絶ちませんでした
が、すでに卓越した力を持っていたノルディカは全戦全勝
しかも連日の模擬戦で更にとんでもなく強くなり、ベテラン騎士をも圧倒
そして戦いの日々の中、常に強烈な威圧を放ち続けることが身体に染み付いてしまいました
こうして美しいノルディカは、猛獣の眼光で相手を無意識に威圧してしまう最強騎士となってしまったのです
「まぁそのおかげで動きやすくなったのは事実だし、文句はないのだが……」
などとぼんやり考えたところで頭を振って思考を止め
「まずは任務を遂行しなくてはな。」
と自分に言い聞かせるのでした
しばらく森を進むと、懐かしい光景が目に入ってきました
エルフの村に到着です
エルフの村は変わらず自然と共にありました
木々の上にある可愛い家たち
澄んだ空気
清らかな水
どれもノルディカが大好きなものです
……いや、それでもやはりここも異変の影響を受けているようです
それも辺境の村よりもかなり強く
森の木々は生命力に満ち溢れ、まるで脈打ってるかのようです
澄んだ空気は深呼吸をすると身体の全ての細胞まで活性化する感覚です
流れる水を口に含めば、まさに生き返るかのように疲れが回復します
「確かに異変が起きてるようだ。」
ノルディカはそう思い辺りを見回します
すると奥から村長……村長?がやってきました
「おお!ノルディカじゃないか。久しぶりじゃな。元気そうで何よりだ。騎士団の仕事は頑張ってるか?」
「お久しぶりです。村長もお元気そうで……というか……なんだか元気過ぎですよね?」
ノルディカは村長を見てビックリしました
何というか……とりあえず若返ってます
元々見た目は人間で言うところの60歳位だったはずですが、今は40代位のまだまだ現役にみえます
村長が笑いながら言います
「そうじゃろ、そうじゃろ。腰痛がすっかり治ってな。今はすっかり元気なんじゃよ。」
ノルディカは思わず叫んでしまいました
「違う!違う!そうじゃない!」




