28 王国の副騎士団長
世界樹の影響は森全体に広がっていました
獣人の村にエルフの村もです
そして森の変化の知らせは国王にまで届きました
28話 はじまります
……バートン王国
ここはスミス・バートンを王に頂く王国です
東には隣国、西には深緑の森に挟まれた緑豊かな国です
この国の存在している大陸は広大な面積を誇ります
その割に隣国と合わせても、それほど人口は過密ではありません
よって領土を取り合う争いなどはなく、概ね良好な関係を築いています
その王城、会議室では国の重鎮達が揃って頭を悩ましていました
「深緑の森の異変について何かわかったか。」
「今のところなんとも……。」
最近、森の魔獣が突然強化した……と言う話が、森に近い村や行商人達から出始めたのです
そればかりではなく、どうやら森自体も広がっているようなのです
何が原因なのか、今は手掛かりもなく、会議室の面々はどうしたものかと頭を悩ましているところでした
「こうなったら騎士団を派遣して森を調査させましょうか。」
「バカな事を言うな。深緑竜が住むと言われる森だぞ。怒りを買って国が攻撃を受けたらどうするのだ。国ごと滅ぼされた歴史を知らぬわけではあるまいに。」
「騎士団といえば、副騎士団長は森の出身ではなかったかね?」
「おお、そうであったな。彼女なら一騎当千の実力者、出身地の調査なら単独でも可能であろう。早速彼女を呼んでくれ。」
「はっ!」
……騎士団訓練所
そこは厳しい登用条件をクリアし、国の騎士になった者たちが日々修練を積む場所です
登用には家柄やコネなどは一切関係なく、強く正しくあることが常に求められ、剣士なら誰もが一度は目指す憧れの職業です
その中に、一際異才を放つ騎士がいました
レイピアを武器に、風魔法を身に纏っての超高速の刺突攻撃と、風の斬撃魔法で敵を圧倒する、まさに一騎当千の騎士、エルフの女性で副騎士団長のノルディカです
とても美しい女性ですが、その鋭い眼光と実力に、団員達にも恐れられてる存在です
というか、眼光が鋭すぎるんです
まるで巨大でどう猛な猛獣に睨まれている感覚に陥るのです
正面に立つのが皆さん超怖いんです
この日も、王がノルディカを呼んでいることを誰が伝えるかで、ひと騒動
結局、若い騎士が押し付けられました
「ノルディカ副騎士団長!」
若い騎士がそう声をかけると
「なんだ。」
と、猛獣のような眼光で睨見つけて言いました
若い騎士は顔面蒼白でブルブル震えながらも頑張って言いました
「スミス王がお呼びです!」
「そうか、わかった。今向かう。」
そう言うと、ノルディカは歩き、騎士団訓練所を後にしました
若い騎士は頑張りました
「こ…怖かった……。」
副騎士団長は会議室に着きました
「スミス王。ノルディカ副騎士団長が到着しました。」
会議室を護衛する騎士が伝えてきました
「よし。後のことは宰相に任せる。」
「何を言ってるんですか。逃がしませんよ。」
王さまが逃げようとしたので、宰相は肩をムンズと掴みました
2人ともやっぱり副騎士団長が怖いようです
「ノルディカ、召集により伺いました。」
「おっおう、よく来てくれた、ノルディカよ。」
ビクッ!っと肩を縮めた王さまは答えました
そして森の調査に付いて依頼をしました
「……というわけで単独での森の調査を頼みたいのだ。」
そう言う王さまに猛獣のような眼光が刺さりました
「私が、でしょうか。」
「あ、あぁ。他のものでは深緑竜の機嫌を損ねるかもしれないのでな。ぜひ副騎士団長にお願いしたい。」
ノルディカは少し考えるような仕草の後で
「わかりました。その依頼承ります。」
と言い、部屋を後にしました
部屋に残った重鎮達は、猛獣を前にした緊張感から解放されて、深く息を吐いたのでした




