27 村長さんの教え
エルフたちを救った神さま
その功績はライアへと押し付け……譲りました
神さまは村長さんの家に伺うようです
27話 はじまります
村長さんの家に入りました
村長さんも『救いの雨』の効果で、すっかり元気を取り戻したようです
「精霊様、この度は村を救っていただき、誠にありがとうございました。なぜか私の腰痛まで治ったようです。」
ライアはそれに対し答えました
「村長も無事に回復して何よりだ。ただし回復させたのは私ではない。こちらにいるタイヨー様だ。今、私はタイヨー様に仕えてる身でな。」
それを聞いた村長さんは目を丸くして驚きました。
「こちらのタイヨー様が……人間のようですが……いや、違うようですな。」
「はじめまして。エルフの村長さん。タイヨーと言います。最近この森に住みはじめた者です。よろしくお願いします。」
ライアが更に付け加えます
「実はな、村長。湖の回復もエルフ達の回復も、こちらのタイヨー様の力である『救いの雨』と言う浄化と回復の効果のおかげなのだ。」
それからライアは、最近の森の状態やエルフ達の状態について村長に聞きました
「そうです。ある日突然、森の生命力が増したようでして、木々や動物達に活気がみなぎったようです。我々エルフにもその影響が及び、皆が活気に満ち溢れてました。その効果がなければ今回の病も、ひとりの死者も出すことなく乗り切るなどという事は不可能だったと思います。」
ライアはその事について話しました
「その事だがな、じつはこちらのタイヨー様が住居としている大樹に生命力を与えたところ、その力が強力すぎてな、どうやら森全体に影響を及ぼしてしまったようなのだ。」
「それでは今回の被害で死者を出さずに乗り越えることができたのもタイヨー様のおかげだったと。」
それに対して、ライアは少し顔を険しくして答えました
「まぁそれはそうなんだが……。じつはその生命力がな、湖の近くに彷徨いていたアンデッド達にまで活力を与えてしまったようでな、そのアンデッド達が湖を汚染させてたようなのだ。それらのアンデッドも先程の『救いの雨』で浄化し、合わせて湖も浄化してきたのだがな。」
「僕の力でエルフの方々に迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。」
神さまは深々と謝りました
村長さんはあまりの話の大きさに呆気にとられてしまいました
ですが気を取り直して神さまに言いました
「タイヨー様はとても大きな力をお持ちだったのですね。確かにその過程で私共は病に倒れましたが、エルフ達の生命力の向上、アンデッドの脅威の排除、湖の浄化……と、終わってみれば良いことだけが残りました。感謝すれど責めるつもりはまったくございません。」
そして村長さんは続けました
「タイヨー様の力は強力です。そしてその影響も大きなものです。ひとつのところで良い効果があっても、違う場所で悪い効果が起きることもあります。広くこの世界をみるのがよろしいでしょう。そして経験を積んで繊細な力の操作を得ることができれば、タイヨー様の力はこの世界をより素晴らしいものに出来ますでしょう。」
「ごめんなさい。そしてありがとうございます。」
神さまは、村長さんの話をしっかり受け止めました
この世界をもっと観察し、以前の世界のように、人間同士の争いの末の呆気ない滅亡などということを繰り返さないように、しっかり見守ろうと決意しました
「ところでな、村長よ。」
「どうしましたか?精霊様?」
「今回この件が解決したのは、こちらのタイヨー様の力のおかげなのだが……どうも村人達は私の力で村人も湖も回復したもの……と勘違いしてしまってな。どうしたものかと思ってな。」
なるほど……と村長は頷きました
「確かに私も精霊様にお話しを伺うまでは精霊様のお力だと思ってましたからな。」
そう言うと村長さんは少し思案してから言いました
「村人達にはそのまま精霊様のお力と信じさせておいたらいかがでしょうか。いまさら精霊様が否定するのもどうかと思いますしな。」
「そうだな。じつはタイヨー様のお力については、出来るだけ伏せておきたいのだ。これはタイヨー様のご意思でもあるしな。それにこの力が広まれば、悪い事を考える者も出てくるかもしれぬしな。」
ライアの話に村長さんは大きく頷きました
「なるほど、その通りでございます。私もこの事は絶対に口外しないとお約束いたします。」
「うむ。頼んだぞ、村長。」




