26 踊るアンデッド
エルフたちはとても具合が悪そうです
原因を確かめることにしました
向かうは湖
26話 はじまります
ライアの道案内で、エルフの村からやや離れたところにある湖にやってきました
ここの湖から村まで水路を引いて生活用水にしているようです
森の中にひっそりとある湖
普段はとても綺麗な景観なのでしょう
しかし今は違います
湖周辺の空気は淀み、水は一見しただけではわかりませんが腐敗臭が僅かにします
「原因は……おそらくあれでしょうね。」
「ライアもそう思う?じつは僕もそう思うんだ。」
湖の対岸側
そこでは何やら多数の人影が湖の中ではしゃいでます
何やら楽しそうです
しかしその楽しそうな人影は、骸骨や腐った亡骸……いわゆるアンデッドでした
かつてこの辺りで魔獣と人間の戦いがあったのでしょうか
それとも滅んでしまった村の住人達の亡骸でしょうか
原因はわかりませんが、元々多数のアンデッドがいたようです
そのアンデッド達にも生命力が与えられ、何故か活動的になってしまい湖で騒いでいるようです
なんともシュールな光景です
神さまは引きつった表情でそれを眺めていました
「楽しそうなところ申し訳ありません。『救いの雨』」
神さまが呟くと、金色の光が雨のように広範囲に振り注ぎました
金色の光の雨を受けたアンデッド達は、何やら踊っているような楽しそうな動作をしながら、しかし徐々に透き通るように薄くなって、やがて消えてしまいました
金色の光の雨が降り注いだ湖は、金色に少し発光した後に美しく澄んだ水質になりました
「これで大丈夫かな。」
神さまにしては珍しく疲れたような表情で呟きました
ライアと神さまはエルフの村に帰りました
村に近づくに連れて先程とは違い、人々の話声が聞こえてきました
「金色の光が身体を癒していく!」
「森の守護者様の奇跡だ!」
「精霊様が助けてくださった!」
村につくと住人達は外に出て、回復を喜びあっていました
エルフ達はライアの姿をみて、それがドライアドと気がつくと感謝の言葉をかけてました
「精霊様、ありがとうございました!」
「みんな元気になりましたよ!」
「精霊様ー!ありがとー!」
ライアは慌てました
「いや、違うぞ!これはタイヨー様が……って、タイヨー様?」
振り向くと、そこに神さまはいません
するとライアの頭の中に直接声が聞こえてきました
「ここは森の守護者であるライアに任せるよ。僕は離れたところから見守ります。」
ライアは神さまに言い返したいところでしたが、エルフ達の感謝の言葉に否定もできず
「森の守護者に任せなさい!もう大丈夫よ!」
とエルフ達に言い切りました
エルフ達は大喝采
大喜びし、涙を流し、抱き合い、更にライアに感謝するのでした
「では私は村長のところに行ってくるわ。」
ライアは村長さんの家に向かいます
いつの間にか完全に気配を消した神さまが、後ろについています
「タイヨー様……やってくれましたわね。」
「そんなに怒らないで。あの場ではライアが対処したって事にしたほうが、エルフ達は素直に受け入れられたんだって。」
「それはそうかも知れませんが……。」
「でしょ?」
ニコニコしている神さまをライアは恨めしそうに見ながらも、村長さんの家に入りました




