20 神さまの家が残念すぎるので
戦闘の末、仲間になったドライアド
神さまの拠点で見たものは家とは呼べないもの
呆れるドライアドがとった行動は?
20話 はじまります
植物の生態を観察に行ったら、その最上位種と仲良くなることができて、大満足の神さまは拠点に帰ることにしました
ドライアドも、その拠点というものを見てみたいと言うので、一緒に行くことになりました
ゲイルに再びドラゴンの姿になってもらい、その背に神さまとドライアドは乗りました
ドライアドは大興奮です
しばらくの空の旅のあと、神さま達は拠点の広場に到着しました
「もう最高でした……思い残すことはありません……。」
ドライアドが光悦の表情で何やら言ってます
夢見心地なドライアドに神さまは聞きました
「拠点に着きましたよ。ところで拠点を作るのに、この辺りの木を切り倒しちゃったけどよかったのかな?」
「それは構いませんわ。なにしろ今の私は幸せの絶頂期。」
顔を赤らめながら周囲を見回したドライアドでしたが、ある一点で視線を止めました
「主さま。あそこに見える土の箱みたいなものはなんですの?」
「あぁ、あれは家だよ。人間の家を真似して作ってみたんだよ。」
神さまがニコニコと言います
ドライアドは先程とは打って変わって一気に冷めた表情になりました
そして盛大にため息を吐いて言いました
「辺境の貧しい家庭でも、もう少しまともな家に住んでますよ。主さま。どうか私に家を作らせてくださいまし。『大樹』」
ドライアドがそう言うと、更地の真ん中に巨大な木が生まれ、勢いよく成長しました
成長した大樹には窓の付いた小さな部屋がいくつもあります
神さまはビックリしました
「すごい!中に入ってみてもいい?」
神さまはもう興味津々です
「では中を案内いたしますね。」
ドライアドは大樹の下方に付けられた扉を開けました
中に入るとそこは広い部屋でした
部屋の片隅には上へと登る階段があります
階段を登ればそこにはいくつもの可愛らしい部屋がありました
更に上に登れば頂上付近にはバルコニーがあり、森を広く遠くまで眺めることができました
「なんて素晴らしいんだろう……。」
森の外側をみれば広がる草原
遠くには集落もみえます
「人間の集落もいつか見に行くとしよう。」
そうつぶやき、神さまは下へと降りました
「ドライアドさん!本当に素晴らしいよ。この素晴らしい家に、ぜひ僕なりに祝福を与えたいんだけど良いかな?」
「喜んでもらえて私も嬉しい限りです。ところで祝福とは?」
「祝福を与えることで、少しこの家が強化されると思うんだ。では早速。『祝福』」
そう神さまが呟きました。
大樹はうっすらと金色に輝き、そしてその光は大樹に吸い込まれるように消えました
途端、大樹はまるで生き物のように脈打ち、葉はより鮮やかな緑へと変わりました
命を吹き込まれたような大樹の根からは、更に生命力が溢れ森全体に広がり、木々もそこに住む動物たちも生命力を高め、森自体も広がりました
そして木々の最上位種であるドライアドにも生命力や魔力が溢れるほどに満たされました
「少しの強化?!いえ、そんな簡単なものではありません!この大樹から溢れんばかりの金色の力。これは……この大樹は……間違いないわ。これは世界樹への進化ですわ。ゲイル様、いったいこのお方は……いえ、このお方こそまさか……。」
想像を絶する現象を目の当たりにした驚きで、気を失ないそうになるのを必死に堪えながら、肩を貸して支えてくれたゲイルに問いました
ゲイルは頷きドライアドに答えました
「おそらくおぬしの思うとおりだ。主さまは神……創造主さまであられる。しかし主さまはその事を内密にしていてほしいそうだ。そして主さまはこの場に自身の存在する事による影響の大きさを理解していないようだ。扱いを間違えば世界の滅亡もあり得るだろう。よって我が近くにいて出来る限り平穏を保つつもりでいるのだが……世界樹とは……これは今後少なからず影響があるだろうな。ドライアドよ。おぬしも力を得ただろう。世界の平穏を保つ為、我に強力してくれないか。そしてこの事は他言無用で頼む。」
唇に指を1本添えながら、ゲイルはドライアドに囁きました
ドライアドはもう首が千切れそうなほど、何度も頷いたのでした




