114 ラングさんに相談しよう
村を作り始めたタイヨーとロキシー
村長になるラングさんの意見も聞かないと
2人は東部の街に向かうのでした
114話 はじまります
「ゲイルだけを呼ぼうとしたのに、ライアまで一緒に来ちゃったよ。」
タイヨーは肩を落として言いました
でもロキシーは、ちょっと違ったようです
「私は怒ったライアさんを見ることが出来て嬉しかったです。以前、タイヨー君が、面白おかしく話してくれましたからね。」
「そうだったね。でも1回見れば充分でしょ?」
「そうですね。」
2人は笑い合いました
今、2人は馬車で東部の街に向かっています
じつは、ふたりはジロさんの馬車を借りて、村を作る場所まで来ていました
「タイヨー君の村興しが落ち着くまで、使っていていいよ。村興しが終わったら、また行商しようね。」
ジロさんは本当に良い人です
馬車はトコトコのんびり進みます
御者台に、ふたり仲良く並んで座ってます
タイヨーはロキシーに聞きました
「こういった荷馬車に乗ることは無かったでしょ?大丈夫?体あちこち痛くない?」
ロキシーは答えます
「いえ。とっても楽しいですわ。私、御者台に座るなんて初めてですもの。景色もとっても素敵ですわ。」
しばらく馬車を走らせると、やがて東部の街に着きました
東部の街は相変わらず活気付いていますが、中には暗い顔をした人もいます
そんな町中を進み、馬車は領主館に着きました
タイヨーは門兵さんに挨拶します
「こんにちはー」
「はい。こんにちは……って、ロキシー王女!?」
王女が現れたことにも驚いていましたが、その王女が御者台に座っていることにも驚いていました
「はい。こんにちは。今日はラング財務官に面会に伺ったのですが、いらっしゃいますか?」
門兵さんは緊張しながら言いました
「先程、貧民層の居住地から戻ってきたところです。まずは中にお入りください。」
そう言われてタイヨーは、馬車を領主館内に進めました
領主館に入り、応接室で待っていると、ラングさんがやってきました
「こんにちは。今日はどのような御用で?」
ラングさんの問にロキシーが答えました
「はい。じつは新しい村作りで農地と居住地は作ったのですが、私たちは村とか街とかを作ったことがないので、何処に何を作れば良いのか分からないのです。それを相談しに来ました。」
「そうでしたか。でも住居建設とかは、こちらで行うつもりでしたよ。ともかく、私もその場所に一度連れて行ってください。」
こうして3人で、新しい村に向かうことになりました
タイヨーが御者台に座り、馬車の中にロキシーとラングさんが座ります
ロキシーはラングさんに聞きました
「どうです?新しい村へ住んでくれそうな人は集まりましたか?」
ラングさんは難しい顔をして答えます
「中々難しいですね。やはり人身売買をしていた事で、街を出る事自体に懐疑的な者が多いのです。」
それはそうです
今まで食事を与えると言って子供達を拐っていた場所です
他に居住地を作ったとから行こうと誘っても、中々信じてもらえないでしょう
「そもそも、働く気力が無い者が多いのが問題ですね。健康状態も精神状態も悪い者が多いのです。まずは地道に声を掛けていくしかないでしょうね。」
それを聞いてロキシーは思案し、話しました
「それでは、今度は私達も一緒に伺いましょう。そうですね……炊き出しのタイミングが良いでしょうか。そこで身体に不調のある方々に回復魔法を使いましょう。その後で移住を勧めてみるのはいかがでしょうか?」
ラングさんは驚きました
「そうしていただければ助かります。炊き出しは毎日行っていますので、明日にでもお願いできますか?」
ロキシーはタイヨーに確認すると、微笑んで答えました
「ぜひ伺わせてください。」
しばらく馬車を走らせると、新しい村となる森が見えてきました
ラングさんが不安そうな顔をします
「はて……ここに森など無かったのですが……いったい何が……」
それに対してロキシーが答えました
「森を作って、その中に新しい村を作りました。森の生命力で住民も作物も元気になりますよ。」
「そんな事をできる人がいるのですか?いや……ドラゴン様達と親交がありましたね。」
慌ててタイヨーが答えます
「まぁそうです。いろいろな人の力を借りました。」
それを見て、ロキシーはクスクス笑っています
馬車は森の中の道を行きます
ラングさんは物珍しそうに周囲を伺っています
「着きましたよ。ここです。」
タイヨーが村の予定地を示しました
ラングさんはとても驚いています
タイヨーもロキシーも驚いています
何故って、それは先程出発した時より、その場所は村らしくなっているのですから
ゲイルが言います
「土魔法で壁を作っておきました。」
ライアが言います
「既に作ってあった家を真似て、同じような家を十数軒建ててみました。」
ラングさんが納得しています
「深緑竜さまとドライアド様のご助力があったのですね。納得しました。」
タイヨーは焦りながらも答えました
「そうです。頼りになる協力者です。」
ロキシーはクスクス笑うと、タイヨーに小声で言いました
「なるほど。タイヨー君は今までも、こうやって自分の実力をひた隠しにしてきたのですね。」




