112 物事の顛末とこれから
ロキシー王女の使節団が王都に帰ってきました
東部の街に大きな波紋を残して
その波紋はスミス王も巻き込みます
112話 はじまります
ここは王城謁見の間
スミス王は、視察団が帰ってきたとの報告を受けたので 、待っているところです
「ロキシー が結婚…… タイヨー君と結婚……」
スミス 王は呟いております
宰相は、ため息をつくと言いました
「いい加減に諦めてください、スミス王。娘はいつか、誰かのものになってしまうのです。」
それよりも……と宰相は話題を切り替えます
「東部の町の領主と執事も連れてきているそうです。何でも、再び執事は王女に短剣で襲いかかったそうです。また、人身売買の証拠も揃っているようです。領主についても後任者の選定をしなくてはいけません。」
スミス王は現実に戻りました
「東部の街については根本から改革しなくてはならないな。」
しばらくすると、ロキシー王女が謁見の間に到着しました
「ロキシー、東部の町の視察から戻りました。」
スミス王は笑顔で迎えました
「王女よ、よくぞ戻った。いろいろと大変だったな。」
続けてノルディカ副騎士団長が説明をします
「捕らえた領主と執事はこちらになります。」
すると騎士達が、氷でできた箱を2つ持ってきました
中には領主と執事が寝かされています
「これは……生きているのか?」
スミス王の質問も当然です
まるで、氷で出来た棺桶に、2人とも寝かせれているのですから
「これは白氷竜さまの氷魔法でして、この棺の中は時間が止まっているのです。早速なので魔法を解除してもらいましょう。」
ノルディカさんがそう言うと、ユキは頷き魔法を解除しました
「ここは……どこだ?」
領主と執事は周囲を見回して、スミス王のところで目は釘付けになりました
「スミス王……。」
ふたりは驚いています
スミス王と宰相も驚いています
ノルディカさんは怒気を強めて言いました
「王の御前だぞ。控えろ。」
領主と執事は、慌てて膝をつきました
スミス王は心を落ち着かせてから、領主と執事に話しました
「領地での所業については報告を受けている。証拠もそろっている。しかも現行犯だ。言い訳の余地も無かろう。追って沙汰を申し付ける。ふたりを牢に入れておけ。」
東部の街に居たはずが、突然スミス王の御前で断罪されるふたり
呆然としたまま騎士に連れて行かれました
「白氷竜さま。お力を貸していただきありがとうございました。」
スミス王はユキに礼を言います
続けてユキに聞きます
「私共に何かお礼できることはありますでしょうか?」
ユキは、少し悪い笑みを浮かべました
「そうですね。では私からひとつ提案があります。」
そう言うと、ユキは話を続けました
「今回の事件で東部の街の富裕層は、かなり堕落している事が判りました。かと言って罪を犯していた訳ではありません。見て見ぬ振りをしていたのです。その見返りに領主から優遇されていました。このまま領主を変えたところで改善されるとは思えません。」
スミス王は話を真剣に聞きます
それを確認し、ユキは続けます
「そこで、東部の街から少し離れた場所に農村を作るのです。農地などは私共が作りますのでご安心を。そこにラング財務官を村長に据えて貧民層の住人を受け入れ、彼らを自立させるのです。そうすれば東部の街も人身売買から手を引かざるおえなくなり、真っ当な商いで街を発展させるでしょう。既に富裕層には街を再建する財力はあるはずですから、こちらから支援する必要もないでしょう。」
スミス王は頷きました
「なるほど。東部の街を粛清し、貧民層の住人を救済するご提案ですね。で、農地の改革とは……どのように行うのですか?」
「何も心配はいりません。何しろここには創造主と生命主がいるのですよ。あっという間に豊作が約束された広大な農園が完成しますわ。そして2柱の神は自然豊かな村で平和に暮らすのでした。おしまい。チャンチャン。」
「……平和に暮らす2柱の神……とは?」
「もちろんタイヨー様とロキシー様ですわ。」
スミス王の顔がピクピクしてます
「まだ2人の仲を認めた訳ではありません。」
すると謁見の間の空気が凍りつきました……いや、実際にアチコチ凍り始めてます
「……なるほど。スミス王は私達ドラゴン3体と上位精霊2体が祝福するお二人を、祝福できないと申すのか?」
ユキは微笑んでいますが、とても怖いです
スミス王と宰相は、ガタガタ震えが止まりません
「いえ……そういう訳では……」
「簡単なことです。ロキシー王女の命の恩人に、王女が王位継承権を返上して嫁ぐだけの事です。それとも2人で駆け落ちして他国に移り住み、私達もそれに追従して他国に移り住む未来をお望みと?」
顔面蒼白のスミス王は、首をブンブン振って言いました
「仰せのままに〜!!」
すると一気に室内の冷気が消え失せました
ユキは微笑んで言いました
「これらを理解していただけた事を、私はお礼として受け取ります。」
ユキは美しい笑みを浮かべました
一同が退室した後の謁見の間……
「これで良かったのだろうか……」
スミス王が呟きます
「王女とタイヨー君、ドラゴン3体、精霊様2体……これらが他国に渡ったら、この国の損失だけの話で終わりません。世界の終焉が訪れるかも……」
宰相は身震いしながら答えました
「そうだな。ロキシーも好いてるようだし、
正直なところタイヨー君以上の相手がいない事も事実。命の恩人との結婚と言うのも理由としては申し分ないだろう。ここは素直に喜ぶとしよう。」
スミス王は天を仰いで呟きました
「……しかし……私はとても疲れたぞ。」
「奇遇ですね。私もです。」
お盆が近いという事で、短編でゆるい怖い話を書きました。
そしたら評価して下さった方がいまして、ランクインのお知らせが来てビックリしました。
どうもありがとう御座います。
他愛のない短い話なので、よろしかったら御一読お願いします。




