111 目を覚ます悪党たち
ロキシー王女たちは東部の街に向かいました
東部の街では次々と悪事の証拠が出てきているようです
その中、領主と執事は目を覚ましました
111話 はじまります
東部の街の領主館
そこに応援の調査隊が入りました
ここでは着々と証拠集めが行われています
ラングさんと思いを同じにする同志が領主館内にもおり、彼らが協力してくれたため、隠されていた裏帳簿など証拠品が次から次へと出てきました
領主館には隠し部屋もあり、そこからはたくさんの隠し資産が出てきました
また増援を得た事で、人身売買の拠点としていた建物にも調査が入りました
ここには、さらってきた子供達の帳簿がありました
帳簿には子供達の名前はなく番号で記され、個々の年齢性別、健康状態や栄養状態と金額が記されていました
そうした中、騎士達が取り囲む馬車の中から声がしてきました
「ん?ここはどこだ?確か王女達と子供どもを魔獣の巣窟に置き去りにして、領地に戻っている最中だった筈だが……」
氷漬けから目を覚ました領主が呟きました
すると同じく目を覚ましたらしい執事の男も馬車の外を確認して言いました
「いつの間にか夜が明けています。いったい何があったのか……」
そして今馬車がいるのは、領主館の敷地内であることに気が付きました
忙しそうに動き回っているのは王国騎士と文官たち
「いったい何がどうなっている!?」
領主は困惑して執事に聞きますが、執事にも何が何だか分かりません
確かに領主の言う通り、王女と副騎士団長を暗殺するため、魔獣の巣窟に置き去りにしてきた帰り道だったはずです
そこからの記憶がありません
「とにかく外に出て状況を確認しましょう。」
領主と執事は馬車の外に出ようとしました
扉を開けると、馬車は騎士達に包囲されていました
「これは……いったい……」
領主は唖然としました
すると指揮官らしき兵士がやってきました
「領主殿。貴方と貴方の執事には人身売買、並びに王女と副騎士団長殺害の容疑がかかっています。」
領主は怒鳴りました
「ここは私の領地だぞ!勝手な真似は許さん!」
しかし指揮官は冷静に答えました
「これはスミス王直々の取り調べです。」
「わしは知らん!王女とも副騎士団長とも会っておらんぞ!大体御二方は何処にいるのだ?」
既に王女とノルディカさんが魔獣の餌食になっている事を疑わない領主は、少し平静を取り戻し言いました
すると指揮官の後ろから声がしました
「私ならここにおりますわ。領主さま。」
そこから出てきたのは、死んだはずのロキシー王女でした
「なぜ!?なぜお前が生きている!?魔獣に襲われて死んだはずだ!」
「領主さま!いけません!」
思わず白状した領主を執事は止めに入りましたが、既に遅かったようです
「残念ながら私もノルディカさんも無事ですよ。なぜ無事か教えて差し上げましょうか。私にはとっても強い味方がおりましてね。彼らが魔獣を倒してくれたのですよ。後ろを御覧になってください。」
微笑む王女の言う通りに後ろを振り返ると、そこには3体の巨大なドラゴンがこちらを睨んでいました
「ド!ドラゴン!?」
思わず腰を抜かす領主と執事
「ご紹介いたしますわ。私の友である深緑竜さま、白氷竜さま、獄炎竜さまです。」
伝説のドラゴン……
王国の北部地方の海、南部地方の火山、西に広がる深緑の森
それぞれを支配していると言われるドラゴンが揃って目の前に
しかもそのドラゴンを友というロキシー王女
「もう終わりだ……」
項垂れる領主
しかし執事は隠し持っていた短剣を抜き、王女に襲い掛かりました
「死ねーー!」
しかし、その短剣が王女に届く事はありませんでした
ノルディカさんのレイピアが、正確に短剣を射抜きました
短剣は執事の手を離れ飛んでいきました
そしてノルディカさんのレイピアは、執事の喉元で止まっています
「私も忘れては困るな。」
獰猛な笑みを浮かべたノルディカさん
そして騎士に指示を出します
「再びの王女殺害未遂だ!この2人を縛り上げろ!」
「はっ!!」
またたく間に縛り上げられた領主と執事
「もはや言い逃れはできまい。お前達が次に目覚めるのは王城だ。ではユキ様お願いします。」
ノルディカさんは人間の姿になったユキに頼みました
「分かりました。私の大切な友を害そうとした愚か者。王城まで大人しくしていなさい。『永久の棺』」
領主と執事は、時間の止まった棺の中に収まりました
ノルディカさんは指示を出します
「視察の護衛の者は、これからこの2人を連れて王都に向かう。出発の準備に取り掛かってくれ。応援に来た者は引き続き調査をしてくれ。領主が居ない間の業務は、申し訳ないが、しばらく領主の代行として文官が対応をしてくれ。」
「はっ!」
騎士と文官達は力強く答えました
領地視察団の馬車は、王都に向かって進んでいます
30名の騎士達も一緒です
騎士団にドラゴンに精霊に2柱の神……
過剰戦力どころか世界を支配できる戦力ではないでしょうか
神さまは呟きます
「馬車で帰る必要があるのでしょうか……。」
「当然です!」
そう答えるのはロキシー王女、ノルディカさん、ユキ、ディーネ、ライアの5人の女性陣
「そもそも領地の視察に来てるのだ。道中の街に立ち寄る事も重要な役目なのだよ。」
そう説明するのはノルディカさん
「王女の表敬訪問を楽しみにしている国民も多いのだ。それにこれだけの人数だ。それが街に滞在するだけでも大きなお金が動くんだよ。予めスケジュールが組まれているので、準備をしている宿にも立ち寄らなければ迷惑だろ。」
なるほど
確かにその通りです
「馬車の旅がしたいのです。立ち寄る街も見たいのです。」
そう言うのはユキとディーネとライアの神の使徒女性陣
なるほど……?
まぁ確かにユキは旅が楽しみで北部を離れたのですから当然ですか
ただ、元々は王女さまとノルディカさんの2人が乗ってきた馬車です
6人乗ると、なかなか狭いのです
その狭い室内で花咲く女子達のワイワイキャッキャな楽しそうな会話
ゲイルと紅炎はそれぞれ馬に騎乗している今、ひとり男子の神さまはとても肩身が狭いのです
「私との旅はつまらないですか?」
隣に座る王女さまが悲しそうに言います
神さまは首を振って答えます
「違うんだよ。王女さまとの馬車の旅なら2人が良いなぁ〜って思っていたんだよ。」
その答えに王女さまは顔を真っ赤にして答えました
「私もタイヨー様と2人で旅してみたいです……。」
「あらあら、お二人ともお熱いですわね〜」
「早くも新婚気分ですか〜」
「お熱いことですわね〜」
「氷魔法で冷やしましょうか〜」
女性陣がワイワイキャッキャとふたりを冷やかします
「このノリがいたたまれないんです!」
女子の勢いに、押されっぱなしの神さまでした
「神さまは世界を観察したい」とは全く関係ないのですが、お盆も近くなってきましたので、私が体験したちょっと怖い話を短編で書きました。
こちらを評価して下さった方がいまして、日別ランクインのお知らせがきました。
どうもありがとう御座います。
ゆるい短い話なので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。




