110 スミス王への報告
金色の目をしたロキシー王女は単刀直入に話しました
神さま絶叫、皆さん絶句
さあ、ちゃんと事の次第を報告をしましょう
110話 はじまります
まずはノルディカさんから東部の街の視察について説明します
「東部の街では、領主館と街の中心部が贅を尽くし作られていました。特に領主館は高級な調度品で溢れていました。そして街から外れると、そこは貧民層の住む場所で、食べるものもままならない生活をしていました。街の収支を確認すると過剰な収入は無く、何か裏があると私達は疑いました」
スミス王は黙って続きを促します
ノルディカさんは話を続けました
「夜会の最中、王女がラング財務官から密告を受けました。それは領主が貧民層に住む子供を拐って、人身売買をしていると言う情報でした。領主は意図的に貧民層を作り、生活苦の子供を拐っていると言うのです。私達はその人身売買の現場を押さえ、今、現地では騎士達が証拠を集めている最中です。関与していると思われる領主と執事は捉えています。早急に応援の手配を。容疑は人身売買と王女殺害未遂です。」
「なんだと!?」
王女殺害未遂と聞いて、スミス王は思わず立ち上がりました
それを宰相はなだめます
「王よ。落ち着いてください。ロキシー王女はそこに無事な姿でおいでです。」
スミス王は少し落ち着きました
「そ、そうだな。ではさっそく応援を出すが移動に時間がかかるぞ。」
そこでスミス王は疑問に思いました
「ロキシー王女とノルディカは、なぜこんなにも早くここに着いたのだ?」
「それは深緑竜さまと獄炎竜さまに乗って、飛んで来ましたので。」
スミス王は驚きました
「なんと……」
「ですが、ここからは人数が多いため、私が瞬間移動の魔法で送り届けますわ。」
「失礼ですが貴方は?」
「私は森の管理者と呼ばれているドライアドです。私には複数人を送り届ける魔法が使えますので。」
「では、現地で凍らせている犯人共は私が対応しましょう。ところで、私も初めましてですわね。私は北の海の管理者と呼ばれていますウンディーネですわ。」
スミス王と宰相は、気を失いそうになりましたが、何とか気をしっかり保つと即座に文官と騎士を集めました
「では早速、行ってきますわ。」
そう言うと、ライアが開いた木の扉をくぐって調査隊は出発しました
「さて。これでひとまず現場は大丈夫だろう。次の話だ。」
スミス王はジロリと神さまを睨みました
「それについても、まず私から説明いたします。」
再びノルディカさんが話します
「人身売買の現場を押さえた私達でしたが、彼らは子供たちを孤児院に連れて行くと言いました。確認のために私達も同行しました。後に聞いたのですが、東部の街には孤児院などありませんでした。私達は彼らの罠にはまり、巨大なサソリの住処に置き去りにされたのです。」
スミス王は、再び王女が魔獣に襲われた事に頭を抱えました
「サソリの魔獣は私と相性が悪く苦戦しましたが、そこに紅炎さまに乗ったユキ様が、魔獣を一瞬で凍らせ撃退してくれました。」
スミス王はホッと息をつきました
「しかし問題はこの後でして……私が魔獣と対峙している間に、王女と子供たちが乗った馬車に小型のサソリが侵入したのです。そして子供たちを守る為に、間に入った王女がサソリの毒に倒れました。急ぎ駆けつけたタイヨー君が解毒を行いましたが間に合わず、王女は心肺停止に。ユキ様が身体の時間を止める魔法を王女に使用し危機を脱した後に、タイヨー君の拠点にて治療を行ったのです。」
スミス王は再び、気を失いそうになりました
「ではここからは僕が話します。戯言のように思うかもしれませんが、ひとまず聞いてください。そして今から聞く話は絶対に他言しないでください。」
神さまはそう言うと、続きを始めました
「僕の拠点としている場所には世界樹があります。神話に出てくるようですね。僕は始まりの木と呼んでいましたが。世界樹には意志があります。王女さまは、その世界樹の意志にとても気に入られました。世界樹は心肺停止の王女を助ける為に、全力で助力してくれました。その結果、王女さまは世界樹の意志と繋がり、世界樹が持つ強大な力と、この世界の歴史をその身に宿し神格化しました。今も常に世界樹と繋がり意思を共有する王女さまは、生命神へとなられました。」
今度こそ、スミス王の意識が飛んでしまいそうです
宰相さまも既にギリギリの状態です
そこで王女の目が更に金色に輝き、身体も薄っすらと輝き始めました
「貴方はスミス王ですね。お初にお目にかかります。今は王女さまの身体をお借りして、私が話しかけています。私は世界樹の意志です。」
スミス王と宰相さまは、慌てて床にひれ伏しました
「神よ!私達の前に御降臨いただき光栄にございます。」
金色の目をした王女は、微笑みながら言いました
「スミス王。どうか頭をお上げください。確かに王女は生命神となりましたが、貴方の娘で間違いありません。この目が金色でない時は、ちゃんと娘として接してあげてくださいね。でないとロキシー王女が悲しみますので。」
スミス王は顔をあげて聞きました
「では確かにロキシーは、その身体の中にいるのですね?」
「もちろんです。今は世界樹である私が、身体をお借りしているだけですわ。王女の目が金色の時は、世界樹の意志が話していると判断していただいて結構ですわ。」
スミス王は起き上がり答えました
「わかりました。ロキシーは私の娘。その想いは絶対に忘れません。」
「よろしくお願いいたします。」
そして話は終わったか……と思ったところで、金色目の王女が思い出したかのように言いました
「そうそう。王女さまは生命神になられたので不老不死となりました。そして、私と同じ存在であられるタイヨー様と結婚いたしますわ。」
「へ?」
スミス王は気の抜けた返事をしました
「それはそうでしょう。神となったロキシー様が、人間とは婚姻関係にはなれませんわ。不老不死ですしね。なのでロキシー様が好意を寄せているタイヨー様と結婚するのです。」
金色目の王女の言葉に、スミス王は恐る恐る聞きました
「と言うことは……タイヨー君は……」
「そうですよ。タイヨー様の身体に宿るのは、天を照らす太陽の意志で、この世界を造った創造主さまです。」
今度こそスミス王は気を失いました
ロキシー王女は気を失ったスミス王を王城の人々に任せ、声も高々に言いました
「さあ!東部の街に向かいましょう!」




