107 神さまと世界樹
ノルディカさんは世界樹を前に感嘆に浸ってます
その裏では使徒たちが何やら企んでいます
王女は無事に生き返るでしょうか
107話 はじまります
皆が世界樹の前に集まりました
ノルディカさんが大樹を見上げて呟きます
「これが……世界樹……」
神話の中で語られている、全ての生命の源と言われる始まりの木……
「それが今、私の目の前に……」
驚き感激しているノルディカとは別に、何やらひそひそ相談している面々
神の使途の5人は顔を寄せ合い、何やら密談しています
「これはチャンスであろうな。」
「ええ。生き返らせるだけなら世界樹の薬でも可能ですが、それではダメです。」
「タイヨー様が世界樹の力を全力で使えば、おそらく可能かと。」
「このチャンスは逃してはいけない。是非この機会にロキシー王女さまの神格化を。」
「タイヨー様に悟られずに仕向けましょう。」
そんな事を使徒たちが企んでいるとも知らずに、神さまは棺の中のロキシー王女を見つめています
「王女さま。今助けてあげるね。」
神さまはライアに言いました
「ではさっそく世界樹の薬で……」「ダメです!!」
間髪入れずにライアに否定されました
「どうして?」
「タイヨー様。あの薬は魔獣でしか実験していないんですよ?王女さまは魔獣ですか?魔獣になったらどうするんですか!ゾンビになったらどうするんですか!」
ライアが恐ろしいことを言います
でも確かにその通りです
魔獣では大丈夫でも、人間が元通りに戻るかを王女で試すのはリスクが高すぎます
「ではどうしろと?」
神さまが尋ねると、ゲイルが答えてくれました
「世界樹の力は本物です。今までの実績がありますので。そして私が思うに、おそらく世界樹には意思があります。この世界を作ったタイヨー様が直接語り掛ければ、世界樹は必ず答えてくれます。世界樹とタイヨー様のお力で、王女さまは確実に助かるでしょう。」
神さまは思い出しました
この世界に最初に誕生した始まりの木
「そうか……君は始まりの木だったね。」
ユキが『永久の棺』を解除しました
神さまは、世界樹の前に横たわった王女さまの手を握りながら、世界樹に語りかけました
「こうやって話しかけるのは久しぶりだね、始まりの木。」
すると世界樹は金色の光に包まれました
そして風のささやきのような声が聞こえました
その場にいた皆が、とても驚きました
でも今は、世界樹と神さまの会話に静かに耳を澄ませます
「久しぶり……ですって?数十億年もの月日を久しぶりで片づけるのですか?創造主さま?」
世界樹は、なにやらご機嫌斜めです
「私は覚えていますよ。ライアさんがこの木の家を生みだし、貴方様が『祝福』を与え、その力で世界樹に進化した私を、ゲイルさんがこのままでは争いの火種になるかも……と警告したときです。貴方様は言いましたよね。そんな危険なものにしちゃったのなら、地獄の業火で一片の欠片も残さず燃やしてしまおう……と。」
神さまは焦りました
「そんな酷いことは言ってませんて!確かに消滅できるよ……とは言った気がしますが……いや、だって僕は君に意思があるなんて知らなかったんだよ。いつから意思があったの?」
「この世界に初めての生命として誕生し、始まりの木として貴方様に祝福された時からです……いや、違いますか。私の記憶は過去から引き継がれていますので、以前の既に滅んでしまった世界から続いているというのが正解でしょう。私はこの青の惑星の記憶……意思と言ってもいいでしょうから。」
本当に、とてつもない時間が経ってました
「とは言え、この木の家で青の惑星の記憶を戻してからも、こちらからは話しかけずにいたのは確かです。私は私でこの世界と貴方様が何をするのかを観察していましたから。」
世界樹からは、まるで微笑むかのように聞こえました
「貴方様を観察していまして、王女さまがこの世界において、とても重要な人物だと言うことは知っています。しかし王女を蘇らせる事は、この世の理を曲げてしまう事になりますが宜しいのですか?」
「僕は守りたいものは、何としても守りたいんだ。始まりの木よ、お願いします。」
「創造主さまのお願いを断るわけにはいきません。しかし世界の理を曲げてしまう貴方様も危ういですわ。う〜ん……どうしましょう。」
世界樹さん、焦らします
「良いことを思いつきました。私が王女と同化し貴方様を観察……道を間違えないよう寄り添いましょう。」
「……今、観察って言った?」
「……言ってません。では始めます。」
世界樹さんが強引に話を進めると、世界樹を包んでいた光が集束していき、やがて金色の球体になりました
そして、その球状になった金色の光は、王女さまに吸い込まれていきました
すると、王女さまは静かに目を開きました
その目は金色に光ってます
そして王女さまは、起き上がったかと思ったら空中に浮かびました
王女さまが空中に浮かんだまま、口を開きました
「では、今から王女の魂に呼びかけます。そして私の記憶を与えましょう。」
王女さまは、いったいどうなってしまうのでしょうか




