102 疑惑の手掛かり
夜会です
王女さまはこの夜会が嫌なのですが仕方ありません
そんな夜会の最中この街の情報をつかみました
102話 はじまります
夜になって夜会が始まりました
ここでも始まるお見合い交戦
ウンザリしながらも私は王女の態度で笑顔で受け答えしました
そして今回も始まるダンス
順番にダンスをこなしていきます
楽ではないのです
疲れます……けどそこは王女、頑張ります
何人目かとのダンスの時です
私は相手の殿方に小さな紙を渡されました
どうやらメモのようです
「王女さまに人身売買について聞いていただきたいことがあります。後程メモをご確認ください。」
彼は誰にも気が付かれないようにそれだけ言うと、何事もなかったかのようにダンスを踊りきり、静かに去っていきました
私はダンスに一区切りついたところで、誰にも分からないように渡されたメモを確認しました
そこには奴隷売買の拠点としている場所を知っている事と、待ち合わせて案内したい旨が書かれていました
私は再びそのメモをしまいました
お見合い会……もとい夜会が終了し、私は客室に戻りました
もちろん護衛のノルディカさんも一緒です
部屋に入って私はメモをノルディカさんに見せました
「先程のダンスの最中に相手の方から渡されました。」
メモを読んだノルディカさんは思案顔です
「さて、これは密告者からの直訴なのか、はたまた私達の動きを怪しいと感じた者の罠か……」
「どちらにしても行かなければ話が始まりませんわ。」
「王女さまが行く必要はないのでは?危険すぎます。」
「もし密告者ならそれで良し。罠でもノルディカさんが一緒なら大丈夫でしょ。」
私がノルディカさんにそう答えると、ノルディカさんは獰猛な笑みを浮かべて言いました
「そうですね。頼りにしてください。」
深夜になり、私とノルディカさんは暗闇で目立たない服装に着替えました
メモに書いてあった場所に向かうと、やはり目立たない姿で待っている男性を見つけました
あの時ダンス中にメモを渡してきた男性です
男性はこちらに気がつくと静かに話しかけました
「私のメモを信じてくださり、ありがとうございます。私は領主様の下で財務官をしておりますラングと申します。」
「あの時のメモについて知りたく伺いました。一緒に来たのは護衛のノルディカさんです。」
「私は王国副騎士団長のノルディカだ。メモを拝見したがあれは事実なのか?」
ノルディカさんは魔獣の眼光でラングさんを見ました
ラングさんはノルディカさんの眼光に狼狽えましたが、気持ちを奮い立たせて話しました
「はい、事実です。私は民を犠牲にして上位階級の方々が利益を得ている、今のこの街の状況が許せないのです。今回の視察を絶好の好機と思いお伝えいたしました。」
「こんな事をして、もし領主殿に見つかったら貴方はただではすまないぞ。ましてや私達が領主殿と既に内通しているかもしれないぞ?」
ノルディカさんは語気を強めて言いますが、ラングさんは微笑みながら答えました
「そうなったらそれで仕方がありません。私は覚悟の上でこの場に来ています。」
ノルディカさんはしばらくラングさんの目を見ていましたが、やがて目を離して言いました
「なるほど、貴方の目からは強い覚悟が分かリました。さっそく案内していただこう。」
「わかりました。」
そう言うと、ラングさんは街の裏路地に入っていきました
しばらく進むと古い建物が並んでいました
そのうちの1件の建物を差しラングさんは言いました
「あの建物です。あの建物の地下室に鍵をかけた部屋があり、その中に子供たちが捕らえられています。何人かの見張りが常にいるようです。」
「ラング殿は事情に詳しいようだが何故かな?」
ノルディカさんが疑うように聞きます
「私はひとりではありません。有志で貧民層の住民に炊き出しを行っている仲間がいるのです。私達が何とかまともな食事だけでも提供しようと活動している中、生き抜いてる子供たちを連れ去っていくのです。許せるはずがありません。私と思いを同じにする者が敵地に潜伏し、子供たちの食事などの世話をする者、建物の清掃をする者などに紛れて情報を集めています。そしてその者たちの情報によりますと、今夜捕らえられた子供達が連れて行かれるようなのです。」
私は彼の話を聞いて怒りがこみ上げてきましたが、何とかそれを飲み込むと
「つらいお気持ち察します。ではここでしばらく様子を伺いましょう。」
と、提案しました
「王女、大丈夫ですか?」
ノルディカさんが私を心配してくれますが、私には事実を確認する義務があります
「大丈夫です。私も見届けます。」
そう言って私は右手の指輪を握るのでした
「ん?この反応は?」
「どうしたんだい?タイヨー君。」
夕食後、ジロさんとのんびり過ごしていた神さまは、王女さまの指輪が反応した事に気が付きました
「どうも王女さまに何かあったみたい。危険な状態ではないけど何か緊張しているのかな?指輪に無事を願ったようなんだよ。」
以前神さまが王女さまにプレゼントした指輪
それには王女さまに危険が訪れると神さまに知らせが届く機能が付いていました
「ちょっと様子を見てくるよ。まだ何かが起きたわけでは無さそうだけど気になるからね。」
「それでは私もご一緒しましょう。」
「私もお願いいたします。」
紅炎とユキが申し出てきました
「え?僕ひとりで大丈夫だよ?」
「いえ。タイヨー様が無事なのはわかりますが、今王女さまがいるその場所が無事で済むかが心配です。」
紅炎がそんな事を言います
「僕はそんなに暴れません!」
神さまが文句を言いますがユキが諭します
「タイヨー様。何も起きなければ問題ないのです。あくまで私達は念のために付いていくだけですよ。」
ユキは微笑みながら言います
神さまは、わかったよ……と言いました
「じゃあ王女さまの場所がわかる僕が先に行くから、ふたりは僕のいる場所に瞬間移動してきてね。」
「了解しました。」
こうしてその場から神さまと2体のドラゴンは姿を消しました




