第三十話 出演
千佳伊は精力的にテレビのオファーをこなす。
「次はなんだったか?」
「ミスじり先生だよチカチカ!」
IT事業も軌道にのり、新しいAIの会社も設立。
日本の狭い道での課題だった自動運転を実現した。
「最近の千佳伊は凄すぎねーか?」
「推敲作業よりもイージーモードだったぞ」
「才能の方向音痴だよな。WEB小説向いてないんじゃね?」
千佳伊が食への冒涜でも見たかの顔をする。
「向いてないジャンル、投稿サイトはあるな」
「ウチはカケヨメ一本で浮気なんかしないから」
「弧見は恋愛ばっか書いてるんだから、他にも目を向けろよ」
アドバイスを聞く気がない弧見。
千佳伊も表情をほころばせて頷く。
「気持ちは分からんでもない。私は長いタイトルに向いていないしな」
「いや、千佳伊のは短すぎだろーが!」
千佳伊が、仙の下半身をそれとなく見る。
「は? 売れた作品と同じくらいの長さだぞ?」
「この〝線香〟ってのは!? おばあちゃんちかよ!」
「お笑い芸人のが売れたんだ。これでもいけるだろう」
言葉のマシンガンジャブを繰り返す仙。
「だったらこの〝サブ〟ってのはなんだよ!?」
「なんだ? 補欠の言葉も知らんのか? 元王室のは売れたではないか」
千佳伊の真顔ガードは鉄壁。
その鋼鉄ハートはいかなる暴風にも揺るがない。
「WEB小説のタイトルは言わば表紙イラスト代わりなんだよ。少しは工夫しろ!」
仙を無視し、千佳伊は弧見へ目配せをする。
「えっと、次は〝テツコのわからない世界〟の収録だよ。チカチカ社長!」
「うむ。しっかり宣伝してくるとするか」
「そんくらい小説も売り込んでくれよ!」
さらに忙しい日々は続く。
執筆をしない日が増え、不遜な態度も増えていった。
「あんさぁ、千佳伊。以前から態度デカかったけど、ひどいぞ?」
「……もめごとの解消は仙の仕事だ。いいからやれ」
共演者とのトラブルが相次ぎ、やや干され始めてもいる。
「今度のトラブルはなんだ?」
「商品名が気に入らないと、大手飲食店に電凸した」
「ラジオ番組でなにやってんだよ」
昔から略称は〝マクド〟が正しいと言い張っていた。
周りからのせられ、〝マクドシェイク〟にしろと言いだし、新たな騒動に。
「お前は決めつけ刑事か!?」
「略称は派閥が生まれてトラブルの元だ。だから私は短いタイトルを推奨する」
あまりにもマイペースな千佳伊。
顔色をなくした仙が立ち上がる。
「なら勝手にしろよ。俺はもうしらねー」
そして家から出ていってしまった。
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