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間違った創作論を語る作家の話  作者: 元毛玉


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第二十七話 取引

「まだチカチカのがトップニュースだね」


 インサイダー取引であっという間の逮捕劇。

 (かん) 千佳伊(ちかい)は世論を煽りすぎた。


 加えて金融商品取引法の嫌疑もかけられている。

 ネットニュースのチェックを続ける尾茂井(おもい) 弧見(こみ)


「チカチカってばヤリすぎだよ。作品でもコンプラ警察にやられちゃってるし」


 週刊誌を持つ黄泉(よみ) (せん)の手は、震え続けていた。


「俺への風評被害がひどすぎるんだが……どう思う?」

「ウチも仙に調教されてるとか言われてるんだけど? 責任とって!」


 再び同居している仙の話題も急浮上。

 千佳伊の倫理観が緩いのは、股を緩くした内縁の夫のせいだと炎上中だ。


「インサイダー取引は良くないよね。星やレビューの取引も即バン案件だし」

「千佳伊が買った株価だけがあんだけ上がったら、そらマークもされんだろ」


 短い期間で荒稼ぎしたのも悪目立ちした原因。

 弧見が柏手を打ち、小さな突風が部屋に吹き荒れる。


「マーク早いよね! ウチの作品にもインフレ警察はすぐ湧くもん!」

「弧見のはツッコミ待ちとしか思えないからなぁ……」


 弧見の作品は次のようなもの。


 ───────────────────

 ニンジン騎士(ナイト)がピーマン戦士(ウォーリアー)を楽々倒す。

 そのニンジン騎士(ナイト)が三人いたのを、トマト(キング)があっさり薙ぎ払う。

 しかし、その翌日にはピーマン戦士(ウォーリアー)が覚醒。

 トマト(キング)を秒殺してしまうのだ。

 だが、その翌日には新たに現れた魔術師(ウィザード)ナスに敗れる。

 さらに翌日には、修行を重ねたニンジン騎士(ナイト)がたった一人で魔術師(ウィザード)ナスを……。

 ───────────────────


 さて、一週間後に誰が一番強いか分かるだろうか?


「ウチには分からないわ。その日の気分で変わるもん!」

「だからインフレ警察が湧くんだろ? プロットくらい組んだら?」

「あー、また言う! プロットプロットって警察もいい加減にして!」


 二人は言葉のラリーを続けつつも、虚しさを感じていた。


「やめよ仙。やっぱチカチカがいないとつまんないよ」

「だな。いるとウザイが、いないと寂しいもんだよな」

「それ、チカチカに直接いってやりなよ~」


 弧見が肘で仙をつつく。


「う、うるせ」


 数日後。

 二人は保釈された千佳伊を迎えにいった。


「お帰りチカチカ。早かったね」

「うむ。相互の取引をして早めに折り合いをつけた」

「読み合いみたいなもん? でもま、良かったよ」


 弧見が千佳伊に抱きつき、そのすぐ隣に仙もやってきた。


「こっからは俺の仕事だな。任せろ」


 千佳伊の頭を軽くポンポンとする仙。


「なんだか子供扱いが癪に障る。支払いはリワードだぞ? 良いのか?」

「そこは俺とも取引しよーぜ?」


───────────────────

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