第十九話 設計
あれから数日。報道もヒートアップ。
「ウチ、いつの間にかドロドロの関係だったみたい!」
「お~~い、自分のことだろ。週刊誌の報道を真に受けんな」
家に足しげく通う弧見は、勝手に三角関係の相手とされていた。
「え? ウチってこんなアブノーマルなプレイまで……」
「おい、しっかりしろ! そんな事実はねーから!」
仙は常に週刊誌からマークされていて、外へ出られずにいる。
素知らぬ顔の千佳伊は、優雅にお茶を飲んでいた。
「ふむ。消火には成功したな」
「はいー? 俺の被害は大きくなってるけど?」
「問題をすり替えたのだから、私へのツイートは激減しているぞ」
千佳伊は満足げだが、仙の不機嫌さは止まらない。
「俺の人生設計がめちゃくちゃじゃねーか!」
「ヘアサロンも休業に追い込まれてるしね~。仙、ちょっとカワイソ」
「ふむ。仙のプロットを練り直してみるか」
それから千佳伊と弧見が、仙の人生設計を練り始めた。
仙はかいがいしく二人のサポートをする。
「ほれ、夜食だぞ。それで俺の立て直しプランの方はどう?」
「良いところに来たな。今、結論が出た」
千佳伊の言葉に、目を輝かせる仙。
「何からすればいい?」
「何もしなくて良い。既に手遅れだからな」
「そうそう。成り行きに任せるしかないって結論が出たよ!」
仙が声にならない絶叫をあげ、数秒後にやっと自我を取り戻した。
「ふざけんな! お前らに任せた俺はどうなるんだよ!」
「ウチはノープロット派だし、無理だったよ」
お手上げポーズをする弧見を無視し、仙は千佳伊を睨む。
「仙よ。他人のプロット論に振り回されるべきではないぞ」
「お前が考えるって言ったんじゃねーか!」
「プロットなんぞ、やりやすいやり方で好きにやれば良い」
開き直った千佳伊が夜食のサンドイッチをつまむ。
「料理のレシピと同じだ」
切実な表情の仙が千佳伊のサンドイッチを取り上げる。
「俺はどうすればいいんだよ!?」
「人に言われなければ執筆スタイルを決められん輩なぞ、作家に向いてないわ!」
サンドイッチを奪い返した千佳伊が不敵な笑みをみせる。
「一つだけ有用なアドバイスをしてやろう」
不審な目を向けつつ、あごで先を促す仙。
「書き切るのに必要なのはプロットではない。決して折れないメンタルだ」
「うっわ、鋼メンタルのチカチカが言うと説得力がパないね~」
仙が肩を震わせたのち、残っていたサンドイッチを投げつけた。
「一度でも書き切ってから言え!」
「食べ物を粗末にするな!」




