第十六話 表彰
犯人逮捕の決め手の情報提供者ということで、表彰されることに。
招待された千佳伊は仙を連れて都庁へきていた。
会議室へ通され、古池由利子都知事を二人して待つ。
「俺までついてくること無かったんじゃね?」
「引き立て役は必要だからな。それに法律面はガードを高めておきたい」
何を勘違いしているのか。
都知事が政治活動で利用しようとしていると決めつける千佳伊。
「アホらし。なんでそんな警戒してんだよ?」
「ワクチンの件があるからな」
千佳伊はワクチン接種が避けられなかった過去を、根に持っている。
「あの当時は仕方なくね?」
「そういや三密だなんだと言っていたが、昨今の創作でも三密がうるさいな」
仙は首を傾げた。
「創作の三密? そんなのあったか?」
「説明しよう」
千佳伊が立ち上がり、備え付けてあったホワイトボードへ勝手に書き始める。
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過密──難読含め、漢字を詰め込みすぎ。
密集──空行がなく、文章の塊がデカすぎ。
秘密──暗黙の省略含め、情報を伏せすぎ。
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「過密、密集、秘密は、避けるべき新時代の三密と言われている」
「初耳すぎるぞ?」
「当然だ。いま考えた即興だからな」
都知事と会うということに、実は緊張していた仙。
普段通りの千佳伊に、自然と肩の力が抜けた。
「……ありがとな」
「なんのことだ? それよりも話を聞け!」
千佳伊の主張がヒートアップしてきた頃、都知事が登場。
表彰されてサクッと帰るだけのはず。
なのに普段通りの千佳伊の口撃が炸裂。
物々しさを残し、都庁を辞することに。
「どーしてあんなこと言ったんだよ!」
「なんのことだ?」
逃げ帰るさなか、仙は語気を荒げていく。
「都知事に対しての上から目線のことだよ!」
「あぁ、〝PVを伸ばすより容易な都政〟と言ったことか?」
目を血走らせながら、何度も頷く仙。
「正気かよ! 都知事にまでケンカ売ってどうする!?」
「何を言っている? 正気なんぞ保っていたら小説など書けるか!」
「だからってオリンピック競技にいれろってのは無茶だろ!?」
オリンピック招致の話題で、追加競技に即興執筆大会の要望をだした。
都知事が「難しい」と返し、「PV伸ばすより容易」という暴言へ至る。
「莫大な都税が入ってくるのだ。投稿と違い、誰がやっても楽勝だろうに」
この暴言が、のちに思わぬ事態を招くことを二人はまだ知らない。




