第十三話 警察
ピンポンピンポンピピピピピンポーン!
ピピピピピピピ……!
深夜。
玄関のインターホンが超速連打され、仙は起こされてしまう。
「う~ん、いったい誰だよ?」
覗き込んだ玄関モニターには弧見の姿が映っている。
「なんか用か?」
「ひどい! ここまで来たんだから入れてよ!」
追い返した方が面倒になると思い、仙は玄関を開けた。
「こんな時間にどーした?」
「聞いてよ仙! ウチ、帰宅途中に三回も職質された!」
至極どうでもいいくだらない話だった。
「ちょっちょっ! 扉閉めようとしないで! 終電ないの!」
「いっそ刑務所に泊まってきたら?」
「ヤ! それならその辺で野宿するから!」
最近は女性がストーカーに刺し殺されたニュースも聞く。
仙としてもさすがにそれは困るので、家に招き入れた。
「職質のせいで終電逃したんだから! 警察多すぎ!」
弧見が熱くなりだした瞬間、廊下にゆらりと千佳伊が現れた。
「うむ。普段まともに仕事をしないのに、数だけが多すぎる」
「だよね!」
「視点警察、重言警察、語彙や時制もどこにいたのか湧くわ湧くわ」
話のズレっぷりに、仙は小さくため息をつく。
「ありがたいアドバイスだろ? お巡りさんも大変な仕事なんだから」
「何を言っている? これだから弁護士は……」
千佳伊が情弱を小バカにするかの口調になる。
「いいか? 弁護士、警察、ついでに医者も社会のゴミみたいな職業だ」
「うっわー……チカチカ、暴論!」
「どこがだ弧見?」
曰く、「世の中にもめごとが必要な弁護士」と語る。
曰く、「社会に犯罪や事件が必要な警察官」と続く。
曰く、「怪我や病気が多いほど嬉しい医師」と言い放つ千佳伊。
「チカチカ偏見~。でも、なんで取り締まりが必要なんだろ?」
「それは認知リソースの問題で、ノイズに意識を引っ張られてしまうからだ」
千佳伊が教員の例えで語りだす。
「先生は非常に分かりやすい授業をする。だが──」
千佳伊が弧見のズボンのチャックを下ろす。
「ぎゃーー! 何すんの!?」
「チャックが全開でパンツが見えていたら、どうだ?」
「そら、〝先生は赤だった〟しか記憶に残らんな」
弧見が慌ててチャックを直す。
「仙! 記憶から捨てて!」
「警察は凄いよな。ノイズだらけのお前らのゴミ小説を拾ってくれるんだぞ?」
仙の言葉に目を剥く二人。
「私のはゴミではない。ガラクタだ! 人によっては宝の山だぞ!」
「え? ウチの小説って産廃レベルなの? ねぇ? ねぇ?」
慌てた仙が手を突き出して二人を止める。
「悪かった! 言葉が正しくなかった!」
「まったく。弁護士のくせになってないな」
小さく頷いた仙。
「産廃に申し訳なかったよ。彼らは世の中の重要な役目を果たしたんだからな」
「「は?」」
綺麗にハモった千佳伊と弧見の声。
「どういう意味だ?」
「どういう意味なの?」
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