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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第92話 暴獣解放

――轟音。


地面が、揺れた。



「……っ!?」


ユウマが顔を上げる。


遠方。


土煙が、空へと噴き上がる。



もう一度。



ドゴォォン!!!



爆ぜる。


砕ける。


明らかに“戦闘”ではない。



「なに、今の……!」


ミサキが震える声で呟く。



レオンの目が細くなる。



「……陽動だ」



断言。



「来るぞ」



その直後だった。



左右から影が走る。



魔族兵。


複数。


しかも――



「多い……!」


レンが舌打ちする。



だが違う。


数だけじゃない。



動きが“雑”だ。



突っ込んでくる。


すぐ引く。


また来る。



統率があるようで、ない。



ソウタが眉をひそめる。



「……おかしい」



「統制が取れてないのに……」



「位置だけは崩れない」



ユウマの背筋が冷える。



(誘導されてる……)



その時。



再び――


轟音。



今度は、近い。



地面が、わずかに傾く。



「チッ……!」


ガイが歯を鳴らす。



「うるせぇな……!」



視線が、音の方向へ向く。



そこにいる。



“分かりやすい敵”が。



レオンが即座に言う。



「見るな」



一喝。



「視線を切れ」



「釣られるな」



ガイが舌打ちする。



「わかってるっつの……!」



だが。



音は、止まらない。



破壊音。


咆哮。


地面の振動。



“あそこにいる”と


分かる音。



レオンは一歩前に出た。



「俺が指揮を取る」



短く言う。



「全員、その場を動くな」



空気が固まる。



「円陣維持」



「突出した瞬間、終わるぞ」



誰も反論しない。



だが――



ガイの視線だけが、動いていた。



遠く。



煙の向こう。



(……いるんだろ)



拳を握る。



いや――



その手にあるのは。



聖斧。



神造兵器。



重い。


だが。



今は、軽い。



(あそこに、“本体”がいる)



削りじゃない。


雑魚でもない。



“倒すべき敵”が。



ユウマが気付く。



「ガイ……?」



ガイは答えない。



その時。



遠くから、声が響いた。



「――おい!!」



低く、響く声。



「そこのお前だよ!!!」



ガイの眉が動く。



「聞こえてんだろォ!!」



挑発。



「逃げてんのかァ!?」



ガイの口角が吊り上がる。



「……あ?」



レオンが即座に反応する。



「無視しろ」



「完全に誘いだ」



だが。



ガイの中で、何かが弾ける。



「はっ……」



小さく笑う。



「上等じゃねぇか」



ユウマが叫ぶ。



「待てガイ!!!」



振り向かない。



「待ってられるかよ!!」



一歩、踏み出す。



レオンの声が飛ぶ。



「止まれ!!!」



だが。



止まらない。



ガイは振り返らず言った。



「ここでチマチマ削られて終わりか?」



一拍。



「冗談じゃねぇ」



聖斧を肩に担ぐ。



「ぶっ壊すなら“本体”だろ」



そのまま。



走る。



ユウマが手を伸ばす。



「ガイ!!!」



届かない。



レオンは、歯を食いしばる。



(……乗ったか)



最悪の形で。



だが。



もう止められない。



「……全員、動くな!!」



絞り出すような声。



「追えば、全員バラける!!」



ユウマの拳が震える。



(でも……!)



(あいつは一人で……!)



だが。



足は動かない。



“命令”が、縛る。



その間にも。



ガイの背は遠ざかる。



そして――



煙の中へ。



消えた。



静寂。



ミサキが呟く。



「……行っちゃった……」



誰も、答えない。



レオンだけが、低く言った。



「……分断、成立だ」



その言葉が。



重く、落ちた。



場面が切り替わる。



煙の奥。



地面が抉れている。



その中心に――



“それ”はいた。



巨大な影。



戦槌を担ぎ。



笑っている。



「ガハハハハ!!!」



「来たじゃねぇかよ!!」



ガイが歩みを止める。



「テメェが……」



聖斧を構える。



「本体か」



ガルドが歯を剥く。



「そういうこった!!」



戦槌を振り下ろす。



地面が弾ける。



「来いよォ!!!」



ガイが笑う。



「上等だァ!!!」



踏み込む。



斧と槌。



怪力同士が――



激突する。



轟音。



ここに。



“第二の分断戦”が、完成した



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