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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第79話 認められる者

 訓練場に、静寂が落ちていた。


 夕焼けの赤が消え、空は群青へと変わっている。


 六人は、その場に立ったまま動かなかった。


 レオンの言葉が、まだ胸に残っている。



 “武器を使えていない”



 ユウマが口を開く。


「……どういう意味ですか」


 真っ直ぐに、レオンを見る。


 他の五人も同じだった。


 答えを待っている。


 レオンは数秒、沈黙した。


 やがて口を開く。


「お前たちが持っているそれは――ただの武器じゃない」


 視線が、それぞれの得物へ向く。


「神造兵器だ」


 その言葉に、わずかに空気が揺れる。


 知ってはいる。


 だが――


「だが、お前たちは“振っているだけ”だ」


 ガイの眉が動く。


「はぁ?」


「言葉通りだ」


 レオンは淡々と続ける。


「力を引き出せていない」


 ソウタが顔をしかめる。


「いや、十分強いだろこれ……」


 実際、兵士相手には圧倒できた。


 それでも。


「それは“素の性能”だ」


 レオンが切り捨てる。


 沈黙。


「神造兵器には段階がある」


 その一言で、空気が変わる。


 全員が息を呑む。


「第一段階――所持」


 レオンが言う。


「今のお前たちだ」


「ただ持っているだけ」


 レンが小さく息を吸う。


「……では、その先は」


「第二段階――承認」


 その言葉が、重く落ちる。


「武器に“認められる”」


 ミサキが目を見開く。


「認められる……?」


「そうだ」


 レオンは頷く。


「意思を持つ、と言ってもいい」


 ソウタが苦笑する。


「ファンタジーすぎんだろ……」


「現実だ」


 短く返される。


 言葉が詰まる。


「承認されて初めて――力が解放される」


 レオンは続ける。


「お前たちが持つ“ギフト”は、その時に発動する」


 その言葉に。


 全員の思考が止まる。


「……は?」


 ガイが声を漏らす。


「じゃあ今までのは何だよ」


「だから言った」


 レオンの声は変わらない。


「“素の性能”だ」


 沈黙。


 理解が追いつかない。


 ユウマがゆっくりと言う。


「……じゃあ、俺たちのスキルは」


「未発動だ」


 断言だった。


 空気が、重くなる。


「お前たちはまだ――入口に立っただけだ」



 その中で。


 一人だけ、動かない者がいた。


 カズマ。


 静かに、レオンを見ている。


 その視線に、レオンがわずかに目を向ける。


 そして――


「例外もある」


 その一言で、全員の視線が動く。


 誰だ。


 誰が。


「すでに承認を受けている者がいる」


 空気が凍る。


 ソウタがゆっくりと口を開く。


「……マジで?」


 レオンは答えない。


 ただ――


 一瞬だけ。


 カズマを見る。


 それだけで、十分だった。



 沈黙。


 重い。


 誰も、すぐには言葉を出せない。


 ガイが舌打ちする。


「……はっ」


 笑う。


 だが、その笑いは乾いている。


「なるほどな」


 視線をカズマに向ける。


「だからか」


 カズマは何も言わない。


 否定もしない。


 肯定もしない。


 それが――答えだった。


 ソウタが小さく呟く。


「……ズルくね?」


 冗談めかした言い方。


 だが、軽くはない。


 レンがそれを制する。


「やめろ」


 だが――


 止まらない。


「いやだってさ」


 ソウタが続ける。


「俺ら必死こいてんのにさ」


「もう使えてるって何それ」


 ミサキが不安そうに視線を泳がせる。


「ソウタ……」


 ユウマが口を開く。


「違うだろ」


 だが。


 言葉を選ぶ。


 慎重に。


「多分、条件があるんだ」


「満たしたから使える」


 ソウタが笑う。


「その条件って何だよ」


 誰も答えられない。


 レオンも、言わない。


 沈黙。


 ガイが吐き捨てる。


「結局、“できる奴”だけってことだろ」


 その言葉は、重かった。


 空気が、歪む。



 カズマが、ゆっくりと口を開く。


「……条件は一つじゃない」


 全員が見る。


「状況、経験、判断」


「全部だ」


 短い。


 それだけ。


 だが――


 重みが違う。


「戦場で生き残るためのものだ」


 それ以上は語らない。


 沈黙。


 ソウタが目を逸らす。


「……チートじゃん」


 小さく呟く。


 誰も否定しない。



 その時。


「それでも」


 ミサキの声。


 小さい。


 だが、はっきりしている。


「私たちも、できるようになりますよね」


 レオンを見る。


 真っ直ぐに。


 レオンは頷く。


「ああ」


 短く。


「だが――簡単ではない」


 視線が、全員に向く。


「認められるとは、“試される”ことだ」


 その言葉に、空気が張り詰める。


「覚悟しろ」


 それだけ。



 夜風が吹く。


 冷たい。


 だが、頭は妙に冴えていた。


 ユウマは拳を握る。


(まだ、先がある)


 強くなったと思っていた。


 だが――違う。


(まだ足りない)


 その感覚が、はっきりした。


 横を見る。


 ソウタが黙っている。


 ガイも、何も言わない。


 レンは静かに目を閉じている。


 ミサキは手を見つめている。


 カズマは――


 もう前を見ている。



 差は、ある。


 確実に。



 だが。


 それで終わりじゃない。



 ここからだ。




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