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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第71話 勇者召喚

放課後の教室。


窓の外では夕日が校庭を赤く染めていた。


部活へ向かう生徒たちの声が遠くから聞こえる。


三年A組の教室には、まだ何人かが残っていた。


「なあユウマ、帰りラーメン行かね?」


椅子を後ろに傾けながら言ったのは黒崎ガイ。


いかにも不良という見た目だが、実際はただの食いしん坊である。


「またかよ」


苦笑しながら答えるのは神崎ユウマ。


「お前この前も食ってただろ」


「育ち盛りなんだよ」


「高校三年だぞ」


二人のやり取りを見て、くすっと笑う声。


白石ミサキだった。


「二人とも元気だね」


「ミサキ、今日部活ないんだろ?」


「うん」


「じゃあ一緒に帰るか」


ガイがニヤニヤする。


「青春だねぇ」


「うるせえ」


その時だった。


「おい」


低い声。


橘レンだった。


クラス委員長。


腕を組んで窓の外を見ている。


「お前ら、もう少し静かにしろ」


「先生まだいるぞ」


教室の後ろ。


一人の男が資料を読んでいた。


桐生一馬。


生徒たちからは“先生”と呼ばれている担任教師だ。


元自衛官という経歴を持つ、少し変わった教師。


ガイが笑う。


「先生、まだいたんすか」


「いたら悪いのか」


カズマはページをめくりながら答える。


「いや別に」


その時。


机に突っ伏していた男が顔を上げた。


秋葉ソウタ。


眼鏡をクイッと上げる。


「……なあ」


「お前ら」


「気づいてるか?」


「何が?」


ユウマが聞く。


ソウタは床を指差した。


「これ」


教室の床。


そこに――


光。


「……え?」


ユウマが目を細める。


光は線になり、線は円を描き、複雑な紋様へと変わる。


巨大な魔法陣だった。


「は?」


ガイが立ち上がる。


「なんだこれ!?」


光が一気に広がる。


教室全体が輝いた。


ミサキがユウマの腕を掴む。


「ユウマ!」


床が消えた。


重力が消える。


体が浮く。


「うおおおお!?」


ガイの絶叫。


ソウタの声が震える。


「ちょ、待て待て待て!」


「これマジで!」


ユウマは咄嗟にミサキの手を握った。


「離すな!」


「う、うん!」


レンが叫ぶ。


「全員固まれ!」


「……いや俺も状況わかってないけど!」


その瞬間。


光が爆発した。


世界が白に染まる。


次の瞬間。


ドン、と足が床についた。


ユウマは目を開けた。


そこは教室ではなかった。


巨大な石造りの空間。


高い天井。


豪華な柱。


そして。


無数の兵士。


「成功した……!」


玉座の前で老人が立ち上がる。


「勇者召喚の儀……成功だ!」


「……は?」


ガイが呟く。


「どこだここ」


兵士たちがざわめく。


「勇者だ……」


「本当に現れた……」


レンが一歩前に出る。


「ちょっと待ってください」


「まず状況を説明してもらえますか」


王が頷く。


「ここは人間王国アストラ」


「君たちは勇者だ」


沈黙。


ガイが言う。


「……勇者?」


ソウタの目が輝く。


「異世界召喚……」


「マジで……」


「テンプレ!」


王は続けた。


「我々人類は魔王軍との戦争で追い詰められている」


「このままでは滅びる」


「どうか」


王は頭を下げた。


「我々を救ってほしい」


ミサキが震えた声で聞く。


「……帰れるんですか?」


王は答えなかった。


沈黙。


その時。


カズマが口を開いた。


「つまり」


静かな声。


「俺たちは」


「戦争の戦力として呼ばれた」


王は黙る。


それが答えだった。


空気が重くなる。


その時。


王が言った。


「だが恐れることはない」


「神は君たちに力を授けている」


兵士たちがざわめく。


「神造兵器だ!」


王が続ける。


「君たちの身体の中にある」


「目を閉じてみなさい」


ユウマは目を閉じた。


闇の中。


そこに――


剣。


輝く剣。


名前が浮かぶ。


聖剣ラグエル


同時に言葉が流れ込む。


ステータス。


ギフト。


能力。


ユウマは目を開いた。


「……出ろ」


剣が現れる。


光と共に。


兵士たちが叫んだ。


「神造兵器!」


「聖剣だ!」


ミサキの手に杖が現れる。


レンの前に巨大な盾。


ソウタの前に魔導書。


ガイの手に巨大な斧。


そして。


カズマの手に短剣。


ソウタが叫ぶ。


「キタコレww」


「マジで異世界テンプレ!」


「ステータス出た!」


ガイが斧を振る。


「すげえ!」


「軽っ!」


レンは盾を見つめていた。


「……マジかよ」


「本当に勇者じゃん俺たち」


ミサキが杖を握る。


「ユウマ……」


ユウマは仲間を見た。


全員いる。


ユウマは剣を握った。


「正直」


「怖いです」


兵士たちが静まる。


「でも」


仲間を見る。


「俺たちしかいないなら」


剣を構える。


「やるしかないですよね」


兵士たちが歓声を上げた。


勇者が誕生した。


その頃。


遠く離れた魔王城。


鍛冶場では――


男が鉄を打っていた。


タクミ。


まだ誰も知らない。


この戦争の鍵が


一人の鍛冶師であることを。



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