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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第65話 四天王の新たな刃

魔王城、地下工房。


炉の炎が静かに揺れている。


タクミの前の作業台には、四つの武器が並べられていた。


どれも見慣れた形。


だが――


以前とは明らかに違う。


ミスリルの輝きの中に、わずかに混じる異質な光。


虹色の輝き。


そして漆黒。


オリハルコンとアダマンタイト。


宝物庫で見つけた伝説級素材を、ごく微量だけ融合させた改良型。


その時。


重厚な足音が工房に響いた。


最初に入ってきたのは炎将バルグだった。


巨大な体躯。


鋭い眼光。


その後ろから、


氷姫セレナ。


獣王ガルド。


闇宰相ヴァルツ。


魔王軍四天王が、揃って工房に現れた。


リアナが思わず声を漏らす。


「四天王勢揃いッスね……」


ガルドが豪快に笑う。


「ガハハハ!」


「鍛冶屋の新作が出来たって聞いてな!」


セレナは腕を組んだまま武器を見る。


「これが改良型?」


ヴァルツは微笑んだ。


「楽しみですね」


タクミは静かに頷いた。


「宝物庫の素材を使った」


「オリハルコンとアダマンタイトを、ほんの少しだけ混ぜている」


バルグが大剣を手に取る。


その瞬間。


眉がわずかに動いた。


「……軽い」


しかし。


振ると空気が震えた。


ブン――ッ。


重い斬撃音。


リアナが目を丸くする。


「え」


ガルドが自分の戦鎚を持ち上げる。


「お?」


そして軽く振った。


ドォン!!


床が大きく揺れた。


リアナ


「城壊れるッス!!」


ガルドは腹を抱えて笑う。


「ガハハハハ!!」


「前より振りやすいじゃねぇか!」


セレナは静かに細身の剣を抜いた。


スッ。


細い刃が空気を切る。


軽く一閃。


次の瞬間。


工房の壁の一部が白く凍った。


リアナ


「うわっ!?」


セレナは目を細める。


「……悪くないわね」


ヴァルツは短剣を指で回す。


ヒュン。


ヒュン。


その動きが消えた。


次の瞬間。


タクミの背後に立っていた。


リアナ


「い、いつの間に!?」


ヴァルツは微笑んだ。


「扱いやすいですね」


四天王はそれぞれ武器の感触を確かめていた。


明らかに以前より強い。


魔力の通り。


耐久。


重さ。


すべてが一段上がっている。


ガルドが満足そうに言う。


「こりゃいい!」


「前より強ぇぞ!」


バルグも頷く。


「確かに」


「一段上がっているな」


セレナはタクミを見る。


「あなた、やるじゃない」


タクミは腕を組んだ。


そして静かに言う。


「……だが」


その言葉で空気が少し変わった。


四天王がタクミを見る。


タクミは続けた。


「これでも」


「勇者の武器には届かない」


沈黙。


ガルドが眉をひそめる。


「神造兵器、だったか」


タクミは頷く。


「勇者の武器には神性が宿っている」


「普通の素材では越えられない」


セレナは少し考えた。


「つまり」


「まだ差がある」


タクミ


「そうだ」


リアナが小さく呟く。


「そんな……」


だが。


次の瞬間。


バルグが静かに笑った。


「案ずるな」


全員の視線が向く。


バルグはゆっくりと大剣を肩に担いだ。


「戦いは武器だけで決まるものではない」


その声は重い。


「重ねた鍛錬は嘘をつかぬ」


ガルドが豪快に笑う。


「そうだぜ!!」


戦鎚を担ぐ。


「俺たちは最強だ!」


「さらにこいつがあれば」


武器を見て笑う。


「鬼に金棒ってもんだ!」


セレナは少し微笑んだ。


「あなたはよくやってくれてるわ」


ヴァルツも静かに言う。


「均衡に持ってこれたのも鍛将のおかげです」


リアナが胸を張る。


「タクミはすごい鍛冶師ッス!」


その時だった。


ゆっくりと扉が開く。


魔王が入ってきた。


全員が姿勢を正す。


魔王は武器を一瞥する。


「ほう」


「見事な出来だ」


タクミは頭を下げた。


魔王は続ける。


「だが」


視線が鋭くなる。


「油断は禁物だ」


静かな声。


しかし重い。


「勇者は既に召喚されている」


リアナが息を呑む。


ヴァルツが頷く。


「諜報部隊の報告でも確認済みです」


魔王が続ける。


「現在、王国で訓練を重ねている」


セレナが言う。


「急ピッチね」


ヴァルツが補足する。


「王国はかなり焦っています」


「戦力差を埋めるため」


「勇者を急成長させている」


そして一言。


「そろそろ実戦投入される可能性が高い」


工房の空気が重くなる。


魔王は四天王を見た。


「各々、修練を怠るな」


「戦は近い」


四天王は同時に膝をついた。


「「はっ!!」」


工房に声が響く。


その横で。


タクミは炉の炎を見ていた。


揺れる炎。


まだ届かない。


神造兵器。


その差。


リゼがふとタクミを見る。


「……」


いつもの無表情。


だが。


ほんの僅か。


タクミの目の奥に――


消えない不安が残っていることに、リゼは気付いていた。



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