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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第45話 炎竜素材

魔王軍城――工房。


炉の火が、赤く揺れていた。


カン――

カン――

カン――


鉄を打つ音が静かに響く。


タクミはいつものように槌を振るっていた。


無駄な動きはない。


叩く位置も、角度も、すべて計算されている。


その隣。


作業台いっぱいに広げられた資料の山。


その中心に座っているのはリゼだった。


魔王から預かった神造武器。


その解析は、ここ数日で大きく進んでいた。


リゼが小さく呟く。


「……分かってきた」


タクミは槌を振るいながら聞く。


「何がだ」


リゼは武器を指差す。


「魔力回路」


「三重構造」


タクミの手が一瞬止まる。


「三重?」


リゼは頷く。


「普通は一重」


「良くても二重」


「でもこれは」


「三重」


タクミが低く唸る。


「そりゃ魔力効率いいわけだ」


リゼはさらに続ける。


「でも」


「問題は別」


タクミ


「素材か」


リゼは静かに頷いた。


「ミスリル」


「魔力伝達は近い」


「でも」


「魔物素材が弱い」


タクミ


「……」


リゼ


「神造武器」


「核に強力な魔物素材」


「たぶん」


「ドラゴン級」


タクミは小さく息を吐く。


「簡単に言うな」


その時だった。


ドン!!


工房の扉が勢いよく開く。


「タクミーーー!!」


元気な声が響いた。


リアナだった。


背中には巨大な袋。


顔は満面の笑み。


「ただいまッス!!」


ドサッ!!


袋を床に落とす。


重い音が響いた。


タクミ


「……なんだそれ」


リアナは胸を張る。


「戦利品ッス!」


袋を開ける。


中から出てきたのは――


巨大な鱗。


鋭い牙。


太い骨。


そして。


炎のように輝く赤い石。


リゼの動きが止まる。


「……」


ゆっくり近づく。


石を手に取る。


「これ……」


リアナはドヤ顔。


「火竜ッス!」


タクミ


「火竜?」


リアナは嬉しそうに頷く。


「そうッス!」


「バルグ様の領地で倒したッス!」


タクミ


「倒した?」


リアナ


「最後は自分ッス!」


タクミ


「……」


リアナは興奮した様子で話し始めた。


「セレナ様が連れてってくれたッス!」


タクミ


「氷姫が?」


リアナ


「そうッス!」


「飛竜でッス!」


タクミの眉が少し動く。


「飛竜?」


リアナの目が輝く。


「すごかったッスよ!」


「雲の上まで飛んだッス!」


「城が豆粒だったッス!」


「あと」


「めちゃくちゃ寒かったッス!」


タクミ


「高空だな」


リアナ


「セレナ様」


「ちゃんと防寒魔法かけてくれたッス!」


少し嬉しそうに言う。


「優しかったッス」


タクミ


「……」


リアナはさらに続ける。


「それで!」


「バルグ様の領地に着いたら!」


「めちゃくちゃ暑かったッス!」


タクミ


「火山地帯か」


リアナ


「たぶんそれッス!」


「山が赤くて!」


「地面から煙出てて!」


「あと」


「ツンってする臭いもしたッス!」


タクミの手が止まる。


「……ツン?」


リアナ


「ッス!」


タクミは少し考える。


「それ」


「硫黄かもしれない」


リアナ


「いおう?」


タクミ


「火山地帯でよくある」


リアナ


「そうなんスか」


タクミ


「その近く」


「水溜まりなかったか」


リアナ


「あ!」


思い出したように言う。


「ありました!」


「湯気出てたッス!」


タクミ


「温泉だな」


リアナ


「温泉?」


タクミ


「地面から湧く熱い湯だ」


リアナの目が輝く。


「お風呂ッスか!?」


タクミ


「そう」


リアナ


「なんで誰も入ってないんスか!?」


タクミ


「熱すぎるんだろ」


リアナ


「もったいないッス!」


リゼが小さく言う。


「鉱石」


「温泉地帯」


「よくある」


タクミ


「なるほど」


リアナは腕を組む。


「今度行ったら入るッス!」


タクミ


「火傷するぞ」


リアナ


「……やめとくッス」


三人の空気が少し和む。


そして。


タクミが聞いた。


「それで」


「火竜はどうした」


リアナの表情がパッと華やぐ。


リアナ


「バルグ様がすげーんスよ!」


その時の声を真似する。


『どいてろ』


『この程度は素手で十分だ』


リアナ


「って言って」


両手を広げる。


「ドゴン!!」


「って殴ったッス!」


タクミ


「……」


リアナ


「火竜」


「吹っ飛んだッス!」


リゼ


「……」


リアナ


「それで」


「瀕死になった火竜に」


『貴様の武器を作るんだろ?』


『ならトドメは貴様だ』


リアナは拳を握る。


「それで」


「こう、ズバッと!」


「タクミの武器すげーッス!!」


「一発で首落ちたッス!」


リアナは少し不安そうに聞く。


「……役に立ったッスか?」


タクミは少し沈黙してから言う。


「十分だ」


リアナの顔がぱっと明るくなる。


「やったッス!」


リゼは炎竜核を見ていた。


「これは」


「すごい」


タクミ


「そんなにか」


リゼ


「魔力密度」


「桁違い」


リアナ


「えへへ」


リゼは静かに言う。


「これなら」


「ミスリルと合う」


タクミの目が少し鋭くなる。


「……やってみるか」


リゼ


「うん」


リアナは胸を張る。


「ついに神武器ッス!」


タクミ


「まだ分からん」


だが。


槌を握る手は、少し楽しそうだった。


炉の火が強く燃える。


カン――

カン――

カン――


新しい武器の研究が始まる。


リアナはその音を聞きながら笑った。


「完成楽しみッス!」


タクミ


「そうだな」


工房には。


新しい希望が満ちていた。



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