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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第19話 魔王の意思

魔王城。


黒い石で築かれた巨大な城塞。


雲を突き刺すようにそびえる塔。


その最奥にあるのが――


四天王の会議室だった。


円形の広間。


中央には巨大な石の円卓。


そこに座るのは、魔王軍の頂点に立つ四人の将。


四天王。


魔王軍を支配する、四つの力。


まず一人。


炎のような赤髪の巨漢。


全身を戦傷が走る。


炎将バルグ。


魔王軍前線の総司令官。


数百年戦場を生き抜いた、純粋な戦の魔族。


戦いを愛し、力を信じる男。


腕を組み、机を睨んでいる。


もう一人。


銀色の長い髪。


透き通るような青い瞳。


氷姫セレナ。


魔王軍最高の戦術家。


冷静沈着。


感情をほとんど表に出さない。


数多の戦場を盤上の駒のように操ってきた女。


三人目。


獣の耳と巨大な体躯を持つ男。


獣王ガルド。


突撃軍団の長。


豪快。


豪放。


戦場では常に最前線に立つ。


武勇で兵士たちをまとめる王。


そして最後の一人。


黒いローブを纏う細身の男。


闇宰相ヴァルツ。


魔王の側近。


政治。


外交。


諜報。


魔王軍の頭脳そのもの。


四天王の中で唯一、戦場ではなく


魔王の隣で戦う男だった。


沈黙が続く。


最初に口を開いたのはバルグだった。


「最近の戦況」


腕を組む。


「妙だ」


ガルドが笑う。


「勝っているのにか?」


バルグは机を叩いた。


ドン。


「勝ち方だ」


セレナが静かに言う。


「具体的に」


バルグは言った。


「王国騎士団長」


「レオン」


空気が変わる。


ガルドが頷く。


「人間側最強の剣士」


セレナも言う。


「知っている」


バルグは続けた。


「そいつが前線に出た」


ガルドが笑う。


「それで?」


バルグは低く言った。


「退いた」


沈黙。


ガルドが眉をひそめる。


「あり得ん」


その時だった。


扉が開く。


兵士が駆け込んできた。


「報告です!」


ヴァルツが言う。


「言え」


兵士は剣を差し出した。


「戦場から回収した装備です」


バルグが受け取る。


王国軍の剣。


重い鋼の剣。


バルグはそれを振り下ろした。


ガン!!


机に叩きつける。


刃が欠ける。


「普通の武器だ」


兵士はもう一本差し出した。


「こちらが問題です」


セレナが受け取る。


魔王軍の剣。


最近前線に配備された装備。


セレナは軽く振る。


ヒュン。


空気が鳴る。


わずかに目が細くなる。


「軽い」


ガルドが言う。


「それで?」


兵士は言った。


「王国軍の武器とぶつかると」


少し間。


「向こうが折れます」


ガルドが笑う。


「そんな馬鹿な」


セレナは何も言わない。


剣を構える。


王国軍の剣と交差させる。


そして振り下ろした。


ガン!!


金属音。


カラン。


床に落ちたのは――


王国軍の剣の刃。


魔王軍の剣は


無傷だった。


沈黙。


ガルドが低く言う。


「……面白い」


バルグが兵士を見る。


「誰が作った」


兵士は答えた。


「魔王軍工房の鍛冶師」


ヴァルツが聞く。


「名前」


兵士は言った。


「タクミ」


セレナが言う。


「知らない」


バルグも頷く。


「新顔か」


ガルドが笑う。


「連れてこい」


だがヴァルツが言った。


「その必要はない」


三人が見る。


ヴァルツは続ける。


「魔王様は」


少し間。


「既に把握している」


バルグが言う。


「何だと」


ヴァルツは言った。


「この鍛冶師」


「魔王様の命令で調査中だ」


セレナが理解する。


「カティア」


ヴァルツは頷く。


「そうだ」


ガルドが笑う。


「なるほど」


バルグが腕を組む。


「なら」


「どうする」


ヴァルツは静かに言った。


「既に決まっている」


沈黙。


ヴァルツが続ける。


「魔王様は」


ゆっくり言う。


「その鍛冶師を呼ぶ」


広間が静まり返った。


ガルドが笑う。


「面白い」


セレナが言う。


「戦争が変わる」


バルグが低く言った。


「武器一つでな」


ヴァルツは答えた。


「違う」


少し間。


「戦争を変える武器だ」


遠く。


魔王城最奥。


玉座の間。


巨大な玉座。


そこに座る影。


魔王。


ヴァルツが跪く。


「報告です」


魔王の声が響く。


「聞こう」


ヴァルツは言った。


「戦争を変える鍛冶師」


少し間。


魔王が言う。


「タクミ」


ヴァルツが顔を上げる。


「ご存知でしたか」


魔王は笑った。


「当然だ」


そして言う。


「呼べ」


ヴァルツ。


「はっ」


魔王の声が広間に響く。


「その鍛冶師」


「余が見る」



工房。


兵士が叫ぶ。


「魔王様より召喚命令!」


リアナ


「ええええ!?」


リゼ


「来た」


カティア


「……やはり」


タクミは静かに炉を見ていた。


そして言う。


「魔王か」


火が揺れる。


ゴォォォ……


物語は


次の段階へ進む。




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