第18話 王国最強
魔王軍前線基地。
空は曇っていた。
戦場の空気は重い。
兵士たちがざわついている。
「王国軍がまた来るらしい」
「数が多い」
「精鋭らしいぞ」
リアナが剣を肩に乗せた。
「何回来ても同じッスよ」
隣の兵士が苦笑する。
「昨日の戦いで調子乗ってるな」
リアナは笑った。
「だって勝ったッスから」
兵士が言う。
「今日は違う」
「王国騎士団長が来るらしい」
リアナが首を傾げる。
「騎士団長?」
兵士が頷く。
「王国最強だ」
その時だった。
角笛が鳴る。
ブオオオオ!!
兵士が叫ぶ。
「敵軍接近!」
霧の向こうから軍勢が現れる。
王国騎士団。
盾。
槍。
そして中央に――
一人の男。
長身。
白い鎧。
黒いマント。
腰に長剣。
その男はゆっくり歩いてくる。
兵士が呟いた。
「……あれが」
「レオン」
リアナが言う。
「へぇ」
レオンは止まった。
剣を抜く。
ヒュン。
静かな音。
そして言う。
「始めよう」
戦闘が始まった。
ガァン!!
盾がぶつかる。
槍が突き出される。
リアナが前へ出る。
ヒュン!!
剣を振る。
王国騎士の剣が折れる。
カラン。
リアナが笑う。
「やっぱり強いッス」
だがその時。
ヒュン。
リアナの剣が止まった。
目の前に――
レオンが立っていた。
いつの間にか。
リアナが驚く。
「速いッスね」
レオンはリアナの剣を見る。
少しだけ目を細めた。
「これか」
リアナが言う。
「何ッス?」
レオンは答える。
「折れない剣」
リアナは笑う。
「有名ッスね」
レオンは剣を構えた。
「確かめる」
リアナも構える。
「いいッスよ」
次の瞬間。
レオンが消えた。
ヒュン!!
衝撃。
リアナの身体が吹き飛ぶ。
地面を転がる。
兵士が叫ぶ。
「リアナ隊長!」
リアナは立ち上がる。
「……強いッスね」
レオンは淡々と言う。
「お前は強い」
「だが」
少し間。
「武器に頼りすぎだ」
レオンが踏み込む。
ヒュン!!
剣が閃く。
リアナが受ける。
ガン!!
衝撃。
腕が痺れる。
リアナが驚く。
「重いッス」
レオンは攻撃を続ける。
ヒュン!!
ヒュン!!
ヒュン!!
リアナは防ぐだけで精一杯だった。
兵士が呟く。
「速すぎる」
リアナが叫ぶ。
「でも!」
剣を振る。
ヒュン!!
レオンの剣とぶつかる。
ガン!!
そして。
カラン。
落ちたのは――
レオンの剣の刃。
リアナが目を丸くする。
「折れたッス」
周囲がざわつく。
だが。
レオンは驚かなかった。
折れた剣を見る。
そして言う。
「やはりな」
折れた剣を捨てる。
副官が叫ぶ。
「団長!」
レオンは言った。
「もう一本」
副官が剣を投げる。
レオンはそれを掴む。
リアナが言う。
「まだやるッス?」
レオンは答える。
「武器の差は分かった」
剣を構える。
「次は技だ」
踏み込む。
ヒュン!!
リアナの剣が弾かれる。
レオンの剣がリアナの喉で止まった。
静寂。
リアナが苦笑する。
「参ったッス」
レオンは言う。
「強い武器だ」
「だが」
少し間。
「使い手が未熟だ」
リアナは笑う。
「そうかもしれないッス」
その瞬間。
魔王軍の兵士たちが前へ出た。
「隊長を守れ!」
レオンは後ろへ跳ぶ。
戦場を見渡す。
魔王軍兵士の剣。
どれも同じ。
折れない武器。
レオンが呟く。
「量産か」
副官が聞く。
「団長」
レオンは言った。
「この武器」
「危険だ」
副官。
「そこまでですか」
レオンは頷く。
「戦争が変わる」
少し間。
副官が答える。
「鍛冶師の情報があります」
レオンの目が鋭くなる。
「名前は」
副官が言った。
「タクミ」
沈黙。
レオンはその名を覚えた。
「覚えた」
そして言う。
「ヤツを止めねばならん。」
王国軍が撤退を始める。
リアナが剣を見た。
刃は無傷。
リアナが笑う。
「やっぱすごいッス」
だがその目は真剣だった。
「でも」
遠くを見る。
「強いやつは強いッスね」
その頃。
魔王軍工房。
カティアが報告を聞いていた。
「王国騎士団長が出ました」
タクミが聞く。
「どうだった」
カティアは答える。
「互角」
リゼが言う。
「武器」
「勝ってる」
タクミは頷いた。
「そうか」
カティアは続ける。
「ですが」
少し間。
「あなたの名前が知られました」
タクミが顔を上げる。
「敵に?」
カティアは言った。
「ええ」
「王国最強に」
炉の火が揺れる。
ゴォォォ……
戦争は――
新しい段階へ進もうとしていた。
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