第17話 変わる戦況
魔王軍前線基地。
朝だった。
霧が立ちこめている。
兵士たちが武器を整えていた。
鎧の音。
革の軋み。
緊張が空気を張りつめさせている。
リアナが剣を抜いた。
ヒュン。
軽い。
そして鋭い。
「……やっぱり違うッスね」
隣の兵士が聞く。
「そんなに違うのか?」
リアナは笑う。
「振れば分かるッス」
兵士は疑いながら剣を構えた。
ヒュン。
振る。
もう一度。
ヒュン。
兵士の目が丸くなる。
「軽い……?」
リアナが頷く。
「軽いのに強いッス」
その時。
角笛が鳴った。
ブオオオオ!!
兵士が叫ぶ。
「王国軍接近!」
霧の向こうから影が現れる。
王国騎士団。
整列。
盾。
槍。
そして剣。
リアナが笑う。
「来たッスね」
兵士が言う。
「今回は押されるかもしれない」
「向こうは精鋭だ」
リアナは肩を回した。
「問題ないッス」
そして言う。
「だって」
剣を構える。
「タクミの剣ッスから」
戦闘が始まった。
ガァン!!
盾がぶつかる。
槍が交差する。
リアナが突っ込む。
ヒュン!!
王国騎士の剣が振り下ろされる。
ガン!!
金属音。
そして。
カラン。
地面に落ちたのは――
王国騎士の剣の刃。
騎士が目を見開く。
「……え?」
リアナが笑う。
「だから言ったッス」
「違うって」
リアナの剣は――
無傷だった。
リアナが踏み込む。
ヒュン!!
騎士の盾を叩く。
ガン!!
盾が割れる。
騎士が吹き飛ぶ。
周囲の兵士が叫ぶ。
「なんだこの武器!?」
「折れないぞ!」
魔王軍兵士が笑う。
「新装備だ!」
戦場は一気に変わった。
ガン!!
ガン!!
ガン!!
王国軍の剣が折れる。
槍が曲がる。
だが。
魔王軍の武器は壊れない。
兵士が叫ぶ。
「押せぇぇ!!」
魔王軍が前進する。
王国軍が崩れる。
リアナが笑う。
「すごいッスねこれ!」
戦場は完全に魔王軍の流れだった。
――その頃。
魔王軍工房。
タクミは鉄を見ていた。
炉の前。
火が揺れる。
リゼが隣にいる。
リアナはいない。
戦場だからだ。
カティアが入ってくる。
「報告です」
タクミは顔を上げない。
「どうだ」
カティアは答えた。
「前線で圧倒しています」
タクミが頷く。
「そうか」
リゼが言う。
「予想通り」
カティアは続けた。
「王国軍の武器が折れています」
タクミは小さく呟いた。
「鋼の質が違う」
リゼが言う。
「構造も」
カティアが聞く。
「量産は続けられますか」
タクミ。
「できる」
リゼ。
「問題ない」
カティアは少し笑った。
「戦争が変わりますね」
タクミは炉を見る。
そして言う。
「武器は道具だ」
「使うのは兵士だ」
カティアが頷く。
「ええ」
「ですが」
少し間。
「いい道具は戦争を変えます」
――同じ頃。
王国軍本部。
報告兵が叫ぶ。
「前線から報告!」
「魔王軍の武器が異常です!」
レオンが聞く。
「どう異常だ」
兵士は答える。
「折れません!」
レオンの眉が動く。
「……またか」
兵士は続けた。
「こちらの剣が折れています!」
沈黙。
レオンは机に地図を広げた。
そして言う。
「武器革命」
副官が聞く。
「団長?」
レオンは言った。
「敵に天才がいる」
副官。
「鍛冶師ですか」
レオンは頷く。
「そいつを止めない限り」
少し間。
「この戦争」
「負ける」
副官が息を飲む。
レオンは立ち上がった。
「俺が出る」
副官が驚く。
「団長自ら!?」
レオンは剣を取った。
「確かめる」
窓の外を見る。
遠く。
魔王軍領。
レオンが呟く。
「その武器」
「どこまで強い」
その頃。
魔王軍前線。
戦闘は終わっていた。
王国軍は撤退。
リアナが剣を見ている。
刃は綺麗なままだ。
リアナが笑う。
「すごいッスね」
「タクミ」
遠く離れた工房。
炉の火が燃えている。
武器革命は――
まだ始まったばかりだった。
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