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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第16話 武器革命

魔王軍工房。


炉の炎が唸っていた。


ゴォォォ……


赤い光が天井を照らす。


ハンマーの音が響く。


カン!


カン!


カン!


鍛冶師たちの作業は止まらない。


武器の生産は順調だった。


だが――


工房の中央だけ空気が違う。


そこにいるのは二人。


タクミ。


そしてリゼ。


リアナが腕を組んで見ていた。


「まだやってるッスね」


隣でカティアが答える。


「三時間です」


リアナが目を丸くする。


「三時間!?」


工房の中央。


炉の前。


タクミが鉄を見つめている。


赤い。


いや。


赤を超えて、白に近い。


リゼが言う。


「温度」


タクミ。


「九百」


リゼ。


「いい」


リアナが小声で言う。


「また会話早いッス」


カティアは冷静だった。


「複合鋼の調整です」


リアナ。


「つまり?」


カティア。


「折れない剣の完成形」


リアナが笑う。


「もう折れないッスよ?」


カティアは首を振る。


「今の剣は“強い”だけです」


「彼らが作ろうとしているのは」


少し間。


「別の次元の武器です」


その瞬間。


タクミが鉄を取り出した。


ジュッ。


火花が散る。


金床へ。


カン!!


ハンマーが振り下ろされる。


リゼが言う。


「芯」


タクミ。


「入れる」


カン!


カン!


カン!


別の鉄が重なる。


再び炉へ。


ゴォォォ……


鍛冶師たちも作業を止めて見ていた。


一人が呟く。


「何をやっている…?」


別の者が言う。


「鋼を重ねている」


リアナが聞く。


「それで強くなるッス?」


カティアが答える。


「芯は柔らかく」


「外側は硬く」


「衝撃を吸収する構造です」


リアナが言う。


「なるほどッス!」


そして再び鉄が出る。


タクミが叩く。


カン!!


火花が舞う。


カン!!


リゼが言う。


「角度」


タクミ。


「分かってる」


カン!!


叩く。


叩く。


叩く。


時間が過ぎる。


一時間。


二時間。


三時間。


そして――


タクミが言った。


「……形になった」


リアナが身を乗り出す。


「完成ッス?」


タクミは首を振る。


「まだだ」


リゼが言う。


「焼き入れ」


タクミ。


「行くぞ」


鉄を炉へ戻す。


赤くなる。


そして取り出す。


水桶へ。


ジュワァァァァ!!


蒸気が爆発する。


工房が白く染まる。


静寂。


蒸気が消える。


タクミが剣を取り出した。


刃が光る。


リアナが言う。


「……できたッス?」


タクミは頷いた。


「完成だ」


鍛冶師たちが近づく。


一人が言う。


「耐久を見る」


リアナが笑う。


「また叩くッスね」


鍛冶師は剣を持つ。


金床へ。


ガン!!


衝撃。


だが刃は動かない。


もう一度。


ガン!!


三回。


五回。


十回。


刃は無傷。


鍛冶師が言う。


「……すごい」


リアナが笑う。


「いつも通りッス」


だが。


タクミは言った。


「まだだ」


鍛冶師が首を傾げる。


「?」


タクミは言う。


「次」


リアナ。


「次?」


タクミは剣を持った。


工房の隅。


そこにあったのは――


普通の剣。


タクミが言う。


「叩く」


リアナが目を丸くする。


「え!?」


タクミは剣を振り下ろした。


ガン!!!


衝撃。


金属音。


そして――


カラン。


床に落ちたのは。


普通の剣の刃。


真っ二つだった。


工房が静まり返る。


リアナが言う。


「……折れたッス」


鍛冶師が呟く。


「嘘だろ」


「鋼同士だぞ」


タクミの剣は――


無傷だった。


リゼが言う。


「成功」


リアナが笑う。


「成功どころじゃないッス!」


鍛冶師が剣を見る。


震える手で触る。


「なんだこれは」


「こんな武器」


別の者が言う。


「戦争が変わる」


カティアが静かに言った。


「ええ」


「変わります」


リアナが笑う。


「タクミやばいッスね」


タクミは首を振る。


「俺じゃない」


リゼを見る。


「二人だ」


リゼは短く言った。


「チーム」


リアナが笑う。


「いいコンビッス!」


その時。


工房の奥で鐘が鳴った。


ゴーン。


ゴーン。


カティアが言う。


「前線から報告です」


兵士が駆け込んでくる。


「魔王軍の武器が」


「前線で圧倒しています!」


リアナが笑う。


「ほらッス!」


その頃。


王国軍本部。


副官が言う。


「報告です」


「魔王軍の武器が異常です」


レオンが聞く。


「どう異常だ」


副官は答える。


「折れません」


レオンの眉が動く。


「……は?」


副官は続ける。


「騎士の剣が折れています」


「魔王軍の剣は無傷です」


沈黙。


レオンは窓の外を見る。


そして言った。


「一歩遅れたか」


副官が聞く。


「団長?」


レオンは小さく呟いた。


「武器革命だ」


「この戦争」


「もう前と同じではない」


遠く。


魔王軍工房。


タクミが剣を見る。


リゼが言う。


「量産」


タクミ。


「できる」


リアナが笑う。


「王国終わりッスね」


カティアは静かに言った。


「いえ」


「これからです」


炉の炎が燃え上がる。


ゴォォォ……


新しい武器。


新しい戦争。


その始まりだった。




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