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悪役令嬢・オブ・ザ・デッド ~転生悪役令嬢エレーナは肉食系腐男子(ゾンビ)による回避不能の世界破滅フラグに立ち向かいます~  作者: 佐々木鏡石@『じょっぱれアオモリの星』コミックス発売中
第三章 RESIDENT EVIL:悪役令嬢

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迫王姫 ~悪役令嬢奇譚~⑤

「――やられた」




慌てて自室に戻った私は、もぬけの殻になったベッドを見て呻いた。

ああ見えて頑固なジークハルトのこと、あくまでお利口さんにしている気はなかったらしい。


「エレーナ君――!」

「ええ、クラウス司祭。彼は国王陛下に会うつもりですわ」


くそっ! 私はベッドに枕を叩きつけた。

彼から目を離した私が馬鹿だった。

すっかり体力も回復して、こそこそ逃げ出す気になったのか。

あれほど今日は療養していろと言ったのに――!


「で、でも、国王陛下は――!」


アンリエッタの言葉に、私は頷いた。

兄を崇拝するディートリッヒが、あそこまで国王への面会を拒絶した理由。

それは――ほぼ間違いなく、国王の身に異変が起こったからに違いない。

『あの状態の父を無事と言えるのかどうかわからない』――と、ディートリッヒは言っていた。

ならば、おそらくその状態になった父を見たジークハルトは――。


「ジークハルト……あいつ、一体何考えてやがるんだ……!」


コンラッドが呻いて、私はその先の想像を打ち切った。


「とにかく、ジークハルト殿下を探しましょう。彼が国王陛下に接触する前に止めないと――!」


そう言うと、全員が頷いた。

私たちは部屋を飛び出した。


廊下を駆け、曲がり角を曲がったところで。

すぐそこにいた人物とぶつかりそうになった私は、慌てて足に急制動を掛けた。


「わわっ!? あ、姉上――!?」


そんな声に、私ははっとその人物の顔を見た。


「ディートリッヒ――!」


ジークハルトの弟、ディートリッヒ。

彼はきちんとした正装のまま、数人の部下を引き連れたディートリッヒは、大慌てに慌てた様子の私を不思議そうに見ていた。


「あなた、こんな時間にどうしたの!?」

「え? ああ、今日一日は休みましたが、寝る前に兄上に少し相談があったんです。兄上が姉上の部屋にいると聞いて――」


そこまで言って、ディートリッヒは不審そうに眉根に皺を寄せた。


「どうしたんです? 顔が真っ青ですよ?」


私はごくりと唾を飲み込んだ。


「ディートリッヒ、大変なの! ジークハルト殿下は国王陛下に謁見するつもりよ!」


その声に、ディートリッヒは目を見開いた。


「父上に? 本当ですか姉上?」


もっと驚かれると思ったのだけれど――。

ディートリッヒの反応は意外にも淡白なものだった。

その反応が物足りなくて、私は更に言った。


「私が目を離した隙に消えてしまって――! 昨日、自分は国王に面会するつもりだと言っていたから……!」


私が言うと、ディートリッヒは顔を歪め、大きなため息をついた。


「あんなに止めたのに……どこかでこうなるような気がしていました。兄上は強情ですから。最初からはっきりと説明しておくべきでした。もうあれは父上ではない――言葉も話せなくなった単なる怪け物だと」


言葉も話せなくなった化け物。

その一言は、私たちの予想が的中していたことを示す言葉だった。

やはり、王は既に――。


それきり沈黙してしまったディートリッヒに縋り、私は問うた。


「ねぇディートリッヒ、教えて。国王陛下はどこにいるの? 早く止めないと、殿下は――!」


焦燥のままに言うと、ディートリッヒは少しだけ沈黙した後に言った。


「――国王陛下は、玉座の間に幽閉しています。それしか方法がなかった」


そして次に顔を上げたディートリッヒは、小さな声で言った。




「僕も急ぎ人を集めます。兄上を止めなければ。あれは兄上が思う父ではない、化け物です――姉上、もしよろしければ、先に玉座に向かっていてください」




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 超長文すみません。やっと最新話まで追いついたので、まとめて感想書かせていただきます。何よりもまず設定が秀逸ですね!悪役令嬢とゾンビ…そしてバグ、奇跡のマリアージュです。一話で飛んできたカラ…
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