ミッドナイトゾンビ ~悪役令嬢遊戯~①
「大変! 生存者だわ!」
「扉を開けるぞ!」
脱兎の如く飛び出したクラウス司祭に続き、私たちも慌てて聖堂に向かった。
既に何人かの生存者たちは起き出し、門を呆然と見つめている。
門に辿り着いた司祭は、門の向こうの人物に鋭く語りかけた。
「君は誰だ!?」
「王都の近衛兵団だ……ヒッ、ばっ、化け物に囲まれてる! ここへ入れてくれ!」
「近衛兵団だと!?」
ジークハルトが驚愕に目を見開いた。
近衛兵はラビリシア国軍とは違う、国王直属の兵士たちだ。
本来ならば王都にいて国王の身辺警護をしているはずの彼らが、何故ここに――?
「今ここを開ける! ――君たち、悪いが手伝ってくれ!」
クラウス司祭が閂を上げ、両開きの扉が開かれた途端だった。
一人の兵士が隙間に身をねじ込むようにして入ってきて、床に這いつくばって盛大に咳き込んだ。
「生存者は君だけか!?」
「そうだ! と、扉を閉めてくれ! 化け物はすぐそこまで――!」
言い終わる前に、一体のゾンビが扉に組み付き、開いた扉の隙間から上半身をねじ込んできた。
ヒイイイ! と悲鳴を上げて後ずさる男に追いすがるように、ゾンビは凄まじい形相で右手を伸ばし、雄叫びを上げる。
「おっ、おい! ゾンビが入ってきたぞ!」
「コイツ……!!」
ジークハルトとコンラッド、それにクラウス司祭が扉に体当りし、何とか扉を閉めようとするが、ゾンビはよだれを撒き散らしながら、なんとか教会内に入り込もうと暴れまわる。
生存者たちはその絶叫に圧されて固まったままだ。
かくなる上は。
私は扉から離れると、スカートを両手で持ち上げた。
「暴れるのも……! いい加減になさい!!」
腰の高さまで膝を上げ、私は渾身の力でゾンビの頭を踏みつけた。
バキャ! という音が発し、ハイヒールが千枚通しになってゾンビの頚椎にめり込んだ。
ゾンビの身体が雷に打たれたように痙攣した。
「不躾な時間の不躾な訪問は――およしになって!!」
今までで一番悪役令嬢らしい気合の怒声と共に、私は痙攣するゾンビの顎をサッカーボールキックで思い切り蹴り上げた。
ゾンビが扉の向こうへ吹き飛んだのと同時に扉は閉められ、閂が下ろされた。
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