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第八話 おいしいご飯その1

 クリスティーナは、仰向けになって寝ていた。

 

 ……あれじゃあ風邪を引くな、後で布を持ってきた方がよさそうだな。


 俺はクリスティーナの寝ている横に座り、先程狩ってきた【レインボー・チキン】の肉と買ったパンを皿に並べる。

 そして外で見つけてきた燃えそうな木を用意する。


 「……レティシア? おはようございます」


 いかにも寝起きの声でクリスティーナは俺に話しかけてきた。正直言って可愛過ぎる。


「おはようございます。クリスティーナ、今ご飯を作ろうと思ってるんだけど、火属性魔法を使えたりはする?」


 クリスティーナはゲーム設定上、火・水・風・土・光・闇・無の7属性が使えるはずだが、どうだろうか。


「はい、使えますよ、木を燃やしたいのですね……燃やします」


 クリスティーナは右手を木に近づけ、詠唱する。


「木に燃え移れ、バーン!」


 詠唱が終わったと同時に、木から火が湧き上がってきた。


「おお……さすがクリスティーナね」

「まあ、これは基本中の基本の魔法ですので、出来て当然です」

「クリスティーナって、全属性魔法を操れるのよね?」

「……一応使えますが、どれも中級魔法の段階から進んでいません」


 このゲームでは、魔法の威力に応じてランクがある。

 

 初級魔法・中級魔法・上級魔法・超上級魔法・究極魔法・神級魔法と計6種類存在する。


 中級魔法でも凄いだろと俺は思ってしまうが、クリスティーナは満足していない様子だった。親に何か言われたのか、あるいは自分での目標みたいなものがあるのか、俺はそこまでの設定は知らない。


「クリスティーナ、お腹が空いたでしょう? 【レインボー・チキン】の肉を丸焼きにして食べようと思うんだけどどう?」

「【レインボー・チキン】……え? 今【レインボー・チキン】って言いましたか?」

「言いましたよ? ほら!」


 俺は【レインボー・チキン】の肉をクリスティーナに見せびらかす。


「ほ、本当だ……一体どんな手段で手に入れたのですか?」

「手段って……自分で倒しましたよ」

「は!? いやいやいや、そんな訳ないでしょう。……え、本当ですか?」

「嘘ついてたら炎魔法放ってもいいですよ?」

「ど、どうやら本当の様ですね……どうやって倒したかは後で聞きます。私もお腹が空いてて……」

「クリスティーナ、フランスパンも3つあるから先に食べて、あ、3つだと多いかな? 2人で分け合う?」

「はい、そうします」


 俺はフランスパンを取ってクリスティーナに手渡す。クリスティーナは目を見開いた。


「これ、私好き。……ありがとうございます、いただきます」


 1口、また1口と食べ進める。どうやら相当お腹が空いているようだ。


「美味しい」

「よかった」


 クリスティーナの食べている姿を見ていると、目から涙が流れ出てきたのがわかった。……え? 嘘でしょ!?


「だ、大丈夫!? 私なんかしちゃった!?」

「いや、感動しちゃってつい」


 クリスティーナは手で涙を拭う。


 ……この涙を見て俺は、クリスティーナのためならなんだって出来る気がした。

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