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第十五話 8才の誕生日その2

 朝食を食べる為ミラーとともにダイニングルームへ移動中、他のメイド達が廊下の飾り付けを行っていた。


 因みにエラード家はメイドを10人雇っている。俺は全部のメイドの名前を覚えている。

 そんなことを考えていたら、飾り付けをしていた2人のメイドが俺たちに気づき、作業を中断して振り返ってきた。


 「「レティシア様、8才のお誕生日、おめでとうございます」」

 「えぇ、ありがとう。べりー、クーパー」


 ベアトリス・ベリーにハンナ・クーパー。べりーは1年前に入って来た新人メイドで、クーパーは家事全般なんでもできるベテランメイドだ。


 「名前、覚えていただけていたんですね……感動です」

 「あまり傍にいる機会がないもので、名前を覚えていて頂けて嬉しいです」


 べりーとクーパーは涙目になりながら言う。……え、そんなにおかしいことなのこれ?

 

 「感動するレベルなの……?」

 「ベリーとクーパーはほぼレティシア様の傍にいないですもんね、おそらくレティシア様は全員のメイドの名前を覚えていらっしゃいますよ」


 べりーとクーパーは目を見開いて驚く。

 

 「そ、それは凄いですね……。尊敬します、私人の名前を覚えるの苦手なので」

 「ベリーはミラーさんの名前を偶に間違えることあるわよね」

 「ちょっとクーパー!? ミラーさんの前で言わないでください!」

 「べりーさん、あとで私とゆっくりお話しましよう?」

 「ほんとに……、すみません」


 べりーが落ち込んでいるのをよそに、ミラーは話を切り上げて俺の方を見る。


 「レティシア様、行きましようか」

 「え、えぇ」



 ダイニングルームへ続く扉へ到着すると、ミラーが声を上げた。

 

 「ゼノン様、メルセデス様、レティシア様を連れてまいりました」

 「入っていいぞ」

 「失礼します」


 ミラーは扉を開けて、俺を先に通させる。

 5人程が座れるダイニングテーブルには3席分椅子が用意されていて、中央に父であるゼノン、その左隣りに母であるメルセデスが座っていた。俺は右に置いてあった椅子に座る。


 「久しぶりだなレティシア、今日はレティシアの8才の誕生日だ、おめでとう」


 ゼノンが声を上げると、メルセデスも続けて口を開く。


 「レティシア、8才の誕生日おめでとう」

 「父上、母上、ありがとうございます」

 「今日の予定はもうミラーから聞いているか?」

 「はい、ミラーさんから聞いております」


 ゼノンは「それならよい」と言いながら頷く。

 

 話しが終わった直後、扉から「トントン」と叩く音が聞こえた。

 

 「失礼します、朝食をお持ちしました」

 「入っていいぞ」

 「ありがとうございます、失礼いたします」


 ミディアムが朝食を入れたキッチンワゴンを押して部屋に入って来た。


 「こちら、フランスパンにハムとチーズを挟んだカスクートでございます」


 普通に美味そうなんだが。


 「そしてこちらがルッコラとレタスのオリーブオイル和えです」


 料理がゼノン、メルセデス、俺の順に運ばれる。……オリーブオイルとかあったら料理のバリエーション増えるだろうな。次聞いてみよ。


 「いつもありがとうな、ミディアム」

 「ありがたきお言葉……!」


 ミディアムは涙目になりながらお辞儀をする。……え、涙目?


 「では、私は失礼いたします……。最後に、レティシア様、誕生日おめでとうございます」

 「ありがとうミディアム、いつも美味しい食事感謝しているわ」

 「ありがたき幸せ、それでは失礼します」


 ミディアムはキッチンワゴンを押しながら扉を開けて部屋を後にした。


 「さて、食べるとしましょうか」

 「「そうだな、改めてレティシア、8才の誕生日……。おめでとう!」」

 「ありがとうございます、父上、母上!」


 こういうのも、悪くないな。

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