タンポポちゃんと三咲.4
制限時間10秒前。
――ガチャ。
「連れてきたぞ……」
「失礼します」
デザロとジューデン王太子殿下が駆け込むように生徒会室に入ってくる。
2人は少し疲れた様子だが、息はきれてない。近くに来たときに歩きに変えたのだと思われる。
「なんて言って連れてきたの?」
「生徒会長、権限…」
「職権乱用ね!」
「使わせたお前が言うな!」
デザロとミサキが喧嘩を始めたのを尻目に、ジューデンがサブナリアを見つけた。
「サブナリア!君も生徒会長に呼ばれたのかい?」
「いえ……」
「リアを連れてきたのは私よ」
「……どなたですか?生徒会の方ではないですよね?」
ミサキを睨むようにして見つめるジューデン。
「はじめてジューデン・K・インベルージュ王太子殿下。私はミサキ・タチバナと申します。デザロ・バルオンの婚約者です」
ミサキは女性だけが行う挨拶、カーテシーをジューデンへと行った。
サブリアナは、ミサキが制服である膝下までのワンピースで行ったカーテシーが綺麗で見とれた。
「生徒会長の婚約者の方がサブナリアと……僕に何のようですか?」
「いえ、ジューデン・K・インベルージュ王太子殿下が見初めているサブナリア・ビーツ様が虐めにあわれていて隠れていたので、ここに連れてきた次第です」
「ミ、ミサキさん!?」
色々と言われてサブナリアは驚き慌てた。虐められているということを知られたから、そしてジューデンがサブナリアを見初めていると言ったから。
「虐められている?本当かい?サブナリア」
「・・・」
見初めているというところはスルーして聞いてくるジューデンに顔を赤らめ俯き黙りこむサブナリア。
しかしジューデンもミサキに指摘され時に顔を少し赤らめたのをここにいる全員が見ていた。
サブリアナはジューデンのその反応で本当なのだと思い、黙りこんでしまったのだ。
「さて。ジューデン・K・インベルージュ王太子殿下――」
「そう何度も言わないでくますか?ここではただの学生です。家は関係ありません」
「あちゃー言っちゃったよ」
ジューデンの言葉にデザロは小声でやってしまったなといったニュアンスで言葉を吐いた。
「そう、ならここからは上級生として話させてもらうわ」
「・・・」
あまりの切り替えの早さに驚くが、ミサキの次の言葉で別の驚きに変わることとなった。
「インベルージュ、貴方のせいでリアが虐めにあってるのは分かっている?」
「僕のせいで……?」
ミサキはこの学園でのジューデンへの対応を隠すことなく話していく。
「そう。貴方がいくら王子であることを関係ないといっても、親から腰巾着に、見初められるように言われている人々からしたら、リアのような政治的になんの力もない子が貴方の近くにいたら、邪魔に思うのは当然よね。見初められるようにしてこいと言われてるお嬢様達は。まぁ、腰巾着目的のお坊っちゃまはリアさえも利用するだろうけど」
「もう少し言い方はねーのか!」
デザロはそういうが否定はしていない。ミサキがこの状況を作る前から噂程度ではあるが、サブナリアとジューデンの事を知っていたのだ。ただ、サブナリアの顔は見たことがなかったため、最初に会ったときはミサキが突然連れてきた女の子としての印象しかなかった。と、ミサキに後日語っている。
「ないわ。で?貴方はどうするの?インベルージュ。貴方がリアを諦めれば、リアは虐められなくなるわ」
「・・・」
「それに貴方のならいずれ、国から婚約者が何人か見繕われるでしょ?リアじゃない人でもいんじゃない?学生時代だけの恋愛ごっこで終わらせたらいいのだから」
「・・・」
「黙ってるだけ?」
「・・・どうすれば……どうすればいいんですか?僕が、僕は」
ジューデンは王太子としても未熟で自分だけでは解決は無理だと、ミサキにどうすればいいのだと問うた。
「そうね……教えてあげてもいいわ。ただし、条件付きでね」
「……僕に出来ることなら」
黙り込んでいたジューデンはミサキに、今この部屋の中で1番助言を求めてはならない人間に、話をふってしまったのだった。
「出来るわよ。ま、今じゃないけれどね。貴方が王様になったとき、この国の一角をくれる?」
「一角をって……そんなこと……」
「先に私達でその一角を借りておくから、貴方が王様になったらその一角を私達の所有地にして」
「・・・」
ミサキの言葉にジューデンはどうすればと思う。確かに王になれば領地を任せたり、土地を与えることがある。
ミサキは自分の言葉に悩んでいるジューデンをさらに追い詰めて、やると言わせることにした。ミサキはサブリアナの件でちょうど良いと考え、未来をより安泰にするためには今は手段を選ぶのをやめた。
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