タンポポちゃんと三咲.3
ミサキに、誰に虐められているのという質問には答えなかったサブリアナ。
虐められてる理由を問われ、これも答えないようにしようとする。が、
――にこり。
ゾクリとするようなとても美しくも怖い笑みを浮かべながら、ミサキに迫られ、サブリアナはつぐんでいた口を開き、答えてしまう。
「わ、私が子爵で、それなのに、王子に近づいて、近づくなって……」
「へぇ……。ねぇ、デザロ。王子様呼んで来て」
「へ?」「え?」
サブナリアが理由を言うと、その内容に出てきた『王子』を呼んで来てとデザロに笑みを浮かべたまま頼むミサキに、デザロと共に驚くサブナリア。
「聞こえなかった?この学園にいる、ジューデン・K・インベルージュ王太子殿下を連れてきてって言ったの。生徒会長なんだから、出来るでしょ?」
「あのなっ!俺だってなんでも出来る訳じゃないんだよ!」
怒るのも当然である。王子様を個人が連れてくるなんてそんなことは……
「王太子殿下を連れて来ることくらいは出来るでしょ?
今はお昼だから、食堂にでもいると思うから。10分で連れてきてね?
じゃないと…貴方のとても。とっっても。恥ずかしい写真を学園にバラ撒くから。ま、女子生徒の皆は喜んでくれるかもだけどね」
「くそ!こんなやつ婚約者にするんじゃなかった!」
「でも、私を好きなんでしょ?私も好きだから婚約破棄はしないわよね?」
「くそ!連れてきてやるから待っとけよ!」
「えぇ」
脅すような態度でデザロにお願いをする場面を見せられたサブナリアは、どうしてこんなことにと思うようになっていた。
「あら?どうしたの?」
「どうして、ここまで……」
「どうしてねぇ……強いて言うなら、後輩に性根の腐ったやつがいるのが許せないのよね」
「え?」
ミサキの言葉に驚くサブナリアを尻目に、ミサキは話を続けた。
「私ね、ヤマトって国の留学生だったの。でもこの国ではこんなに黒い髪の人間はいないから最初の頃は…虐められたのよ。まぁ、返り討ちにしたんだけどね」
「・・・」
「で、この国にはこんなやつらしかいないのか~って思っていたら口は悪いけど、私を同級生としてちゃんと扱ってくれるデザロにとかに会って。そこからはデザロと一緒に学園にいる腐った上級生を一人づつ潰していったわ」
「・・・」
「あぁ、もちろん。暴力ではないわよ。その人が言ったことを一言一句紙に書いて、親に見せに行ったの。
『貴方の子供はこう言っていますけど、親の貴女も同意見ですか?』って。
同じだと答える親はほとんどいなかったわ。だって、ほとんど貴族の方ですもの。認めてしまえばデザロ経由で他の貴族に『あそこの家は――』みたいな感じで疎遠にされかねないもの」
「生徒会長って……」
「デザロも半分この国の人間じゃないからね。だからこそ広まるわ。『隣国の貴族』にね。
さて。そうなるとこの学園にいる『隣国』の留学生達はどう思うかしらねぇ~この国の未来を」
この国と取引のある留学生がかなり集っている今、そんなことになればこの国の未来は『安泰ではない』としか言えない。
「あー。貴族に生まれなくて良かったわ!」
「あの、貴女は――」
「ミサキでいいわよ?」
「…ミサキさんは貴族じゃないんですか?」
「留学生っていってもね、あっちでは貴族なんてものはないのよ。選ばれた理由も成績が良かったからだけですもの。……まぁテザロと結婚したら貴族になっちゃうけど」
「貴族がない……」
貴族がないということに驚くサブナリア。そして少し羨ましくもあった。
それとミサキとテザロが結婚したらというワードは、驚きで聞こえなかったようだ。
「まぁ、お金をかさにする人間はちゃんといるから、ここと変わらないとは思うけど……ここよりは自由よ。
そうだ!今度の休みヤマトに来る?お金はデザロが出すから心配ないわよ」
「え」
サブナリアは、デザロが帰ってくるまでにミサキの話を聞き続けた。サブナリアの心は聞いているうちに虐められた今までの暗い気持ちが少しづつ晴れていった。
ヤマトへの旅行に誘われとても行きたいと思ったが、考えさせてほしいといって保留にさせてもらった。
サブナリアがこの学園に入り1番仲良くなった人物となったミサキは、サブナリアを『リア』と呼ぶようになった。
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