第4話「元勇者と美少女暗殺者、街に潜入したらファンに囲まれました」
追手をかわすため、変装して賑やかな交易都市へ潜入!
しかし、全人類が「配信の視聴者」だったため一瞬で正体がバレてしまい、街中で大サイン会が開催されることに。
(シズル、フードはしっかり深めに被っておけよ)
(うっ……わかっている。だが、本当にバレないのか? 私の顔は王国の手配書にも載っているかもしれないのだぞ)
王国の追手をかわしながら辿り着いたのは、活気に満ちた交易都市ルキナ。
色鮮やかな屋台が並び、香ばしい焼き肉の匂いが漂う賑やかな市場を、私たちは身を隠すように歩いていた。
(おいおいアレン様、バッチリ映ってるぞ!)
(画面の隅にチラチラ写るシズルちゃん可愛すぎ)
(ルキナの市場か! 3番街の串焼き屋がめちゃくちゃ美味いから食ってみてくれ!)
頭の中に流れるコメント欄は、完全に「ご当地グルメのおすすめ掲示板」と化していた。
(みんな情報ありがとな。よし、その串焼き屋に行ってみるか)
「ちょっとアレン! 観光気分で歩くなと言っただろう!」
シズルが焦って私の袖を引っ張った、その時だった。
「あ……! もしかして、頭の中に声が聞こえる勇者様!?」
「えっ!? 本物!? 画面に映ってるのと同じ服だ!」
「キャー! シズルちゃんだ! 本物のシズルちゃんだーっ!」
市場のあちこちから歓声が上がり、一瞬にして周囲を大勢の町人や冒険者たちが取り囲んだ。
全人類の頭の中に毎日配信されているのだから、当然この街の住民も全員が「視聴者」だったのだ。
「ひゃあっ!? な、なに!? 暗殺者の正体が露見したの!? 囲まれた!?」
目を白黒させてパニックになるシズル。
「アレン様! サインください!」
「シズルちゃん! 干し肉もっと食べてー!」
「二人を追放したタコ宰相の愚痴、今日も楽しみにしてます!」
「あはは、みんなありがとう! サインは順番に書くから並んでくれー!」
投げ銭代わりに果物や焼きたてのパンが次々と差し出され、気づけば道端で急遽ファン感謝サイン会がスタートしていた。
「な、なんなのだこの状況は……。私たちは追われている身なのでは……?」
困惑しつつも、子どもから渡されたパンを嬉しそうに頬張るシズル。
その平和な光景を、スキルを通じて世界中が見守っていた。
だがその時、群衆の頭上から冷ややかな声が響き渡った。
「くくく……まさか自ら人混みに飛び込んでくるとはな。愚かな元勇者め」
市場の屋根の上に、不気味な黒いオーラを纏った男が立っていた。
王国の秘密特務部隊、暗黒騎士団の刺客だった。
お読みいただきありがとうございました。
町の人々とのほのぼのファンミーティングから一転、ラストで本気の刺客が登場!
ここからアレンの「視聴者連携バトル」が炸裂していきます!
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