第3話「美少女暗殺者をゲストに呼んだら、同時接続数がカンストした件」
襲いかかってきた美少女暗殺者を、干し肉ひとつで胃袋攻略!?
元勇者とポンコツ暗殺者の初コラボ配信で、世界中の同時接続数がまさかのカンスト状態に到達します。
勢いよく飛び込んできたシズルの短剣は、私の鼻先をかすめただけで空を切った。
あまりの勢いにバランスを崩し、シズルはそのまま私の足元へと派手に転んでしまう。
(あーあ、盛大にすっこんだぞ)
(暗殺者なのにドジっ子属性とかサービス精神旺盛すぎだろ)
(シズルちゃん可愛いから許す!)
視界の端でチャット欄が爆笑と好意的なコメントで埋め尽くされていく。
シズルは顔を真っ赤にし、目に涙を浮かべながら立ち上がった。
「うっ……不覚……! ターゲットの隙がなさすぎる……」
「いや、隙だらけだったろ。ほら、服に草がついているぞ」
私は苦笑しながら、彼女の肩にかかった枯れ葉を取ってやった。
シズルはビクリと体を硬直させ、持っていた短剣を取り落とそうになる。
「な、なにするんだ! 私はお前を始末しに……!」
「落ち着けって。お互い、王宮の連中にいいように使われてる身代わり同士じゃないか。どうだ、一人でそんな物騒な仕事を続けるより、俺の配信の専属ゲストにならないか? 給金は弾むぞ、いくら出せるか知らんが」
「きゅ…給金?
私の一族は代々暗殺を……って、誰が協力するか!」
シズルはぷんぷんと頬を膨らませて怒ってみせたが、そのお腹から、タイミング悪く盛大な音が鳴り響いた。
(きゅるるる)と静かな森に響く可愛らしい音。
(いま、めちゃくちゃいい音がしたぞ)
(暗殺者も腹は減るよな)
(シズルちゃん、実はめっちゃ良い子説)
シズルは両手で顔を覆い、この世の終わりだと言わんばかりにうずくまった。
私は思わず吹き出し、ポケットから取り出したばかりの魔物肉の干し肉を差し出す。
「ほら、食い気のあるうちに食べておけ。毒は入ってないからさ」
「……うう。罠かもしれないけど、お腹が空きすぎて動けない……」
結局、シズルはその干し肉を美味しそうに頬張り、すっかり落ち着いてしまった。
元勇者と暗殺者志望の美少女による即席の焚き火トークは、スキルを通じて世界中の数百万人の視聴者にそのままリアルタイムでお茶の間に届けられていたのだった。
次回
変装して街に潜入するものの、全人類が視聴者すぎて即バレ!?
まさかの大サイン会に発展します。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
見事に胃袋を掴まれて専属ゲスト(?)になったシズルちゃんでした。
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