第12話「途切れた配信、繋がった想い! 十億人の応援が創り出す奇跡の聖剣」
影の一族の頭領ガロウが放った暗黒結界により、全視点中継の通信が途絶えかける大ピンチ!
画面の向こうで二人を案じる世界中の視聴者たちが、驚くべき行動に出ます!
ガロウの持つ黒い宝珠から溢れ出る漆黒の結界が、温泉街の夜空を完全に覆い尽くしていく。
視界の隅で明滅していた脳内のチャット欄が、激しいノイズとともに途切れ途切れになっていく。
(アレン様……画……が……)
(画面が消え……っ! シズルちゃん……負けない……!)
(くそっ……王宮の陰謀……許さねえ……っ!)
ノイズの合間から聞こえる視聴者たちの切痛な悲鳴。
ガロウは不快そうに鼻を鳴らし、手にしていた宝珠の魔力をさらに強めた。
「くくく、無駄だ。この暗黒結界はあらゆる魔導通信を遮断し、お前のふざけたスキルの源である(人々の認識)を断ち切る。全人類の応援とやらが届かなくなった貴様など、ただの無力な元勇者に過ぎん」
暗黒騎士団の面々が、静かに太刀を抜いて私たちを取り囲む。
刃の交差する冷たい金属音が、温泉街の夜気を震わせた。
シズルが私の背中にぴたりと背中を預け、震える手で短剣を固く握り直す。
「アレン……通信が遮断されれば、お前のスキルの物理変換能力も失われてしまう……! 師匠は影の一族でも異端の体術使いだ。素の戦闘力では勝機がない……!」
「確かに、通信は途切れかけてる。でもな、シズルちゃん」
私は薄れゆくカメラのレンズを真っ直ぐに見つめ、口元に不敵な笑みを浮かべた。
「俺と画面の向こうのみんなとの絆は、こんな黒い球っこ一つで断ち切れるほどヤワじゃないんだよ」
その言葉に応えるように、途切れかけていたノイズの奥から、とてつもない衝撃波が脳内を駆け抜けた。
バチチチチッ……!
画面が消えかけたその瞬間、世界中で配信を見ていた人々が動いたのだ。
王都の民、旅の商人、遠くの異国の兵士、さらには配信を楽しみにしていた市井の子供たちまで。
彼らは自らの脳内で(アレンに届け!)(シズルちゃんを助けてくれ!)と、かつてない強大な祈りと応援の念を爆発させた。
(ピコン! 同時接続数、測定不能……測定不能!)
(全人類の想いが暗黒結界の遮断容量を完全に突破しました!)
ピキィィィンッ!
「なに……!? 暗黒結界に亀裂が……!?? バカな、通信が遮断されているはずだぞ!?」
ガロウが目を見開き、驚愕の声を上げた。
空を覆っていた漆黒の結界が、内側から溢れ出す目も眩むような純白の光によって、まるで硝子細工のように粉々に砕け散ったのだ。
脳内に戻ってきたのは、今まで見たこともないほどの勢いで流れる十億人分のチャットと、画面を埋め尽くす光のスパチャの嵐だった。
(繋がったあぁぁぁぁぁ!!)
(アレン様! シズルちゃん! 負けるなあああ!!)
(王宮の汚いやり方に屈するな!!)
(俺たちの熱量を受け取れぇぇぇ!!)
世界中から注ぎ込まれる果てしない熱量とスパチャの光。
それらは私の手元にある錆びた剣へと集束し、やがて眩い黄金の光を放つ一本の巨大な聖剣へと姿を変えた。
ガロウの顔が、恐怖と戦慄で歪んでいく。
「な、なんだその光は……! 単なる(投げ銭)に、これほどの魔力が宿るはずが……!」
「これが、全人類と俺たちが創り上げたチャンネルの力だ! さあ、反撃といこうかシズルちゃん!」
「……ああ! 一緒に、あのような陰湿な過去を吹き飛ばしてやろう、アレン!」
覚醒した黄金の聖剣と、光の粒子を纏ったシズルの短剣。
二人の絆と世界中の想いを乗せた真の決戦が、今ここに幕を開けたのだった。
次回、ガロウと暗黒騎士団を圧倒!
そして勢いそのままに、腐敗した王宮へと直接(決戦突入生配信)を敢行する怒涛のクライマックスへ! どうぞお楽しみに!
妨害結界を全人類の熱量で粉砕し、スパチャの光で覚醒する大胸熱回でした!
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