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幻想を歩く旅人  作者: 幻桜ユウ
第二章 孤独の少女は外の世界を夢見る
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第十頁 ステータスは『詐欺』となった






 大地を、空間を、世界を、全ての情報を揺るがす衝撃が幾度となく発生する。



 「『幻桜流剣術』《閃華》」

 「『幻桜流体術』《號》」



 ユウが放つ神速の一閃を、葵は振り下ろした右脚で止めた。


 鍛錬を始めてから数日が経った。各々で鍛錬していたユウと葵は、雫の提案により合同で鍛錬することになった。


 

 「顕現ーー『幻桜の弓』。『幻桜流弓術』《白虎蒼電》」

 「『氷結魔法』《アイシクルコフィン》」


 

 ユウが放った蒼き雷を纏う矢は、一直線に葵へと進む。しかし、葵は『氷結魔法』を唱えて素早く矢を凍らせ、その軌跡を伝って射手までも凍らせようと氷が襲う。


 

 「ーー『幻想魔法』《幻想領域》ーー其の道は遥か彼方へ」



 ユウが呟いた瞬間、氷はあらぬ方向へと飛んでいった。


 幻想魔法『幻想領域』ーー幻想魔法において、ただ一つの魔法。しかし、ただ一つだからこそ応用力は最高峰。ユウが編み出した《ナイトヴィジョン》は、この『幻想領域』のおこぼれに値する。本来の性能は『情報支配』。領域内に存在する情報を『掌握』し、『改竄』する魔法である。


 今回の場合、《アイシクルコフィン》の軌道の情報を掌握し、軌道の方向性を改竄し向きをずらした。


 これだけ聞くならチートレベルなのだが、誰もが使えるわけではない。


 幻想魔法において重要なのは『いかに情報を理解できるかどうか』である。


 つまり、情報を適切に処理できなければ全く使えない魔法である。


 簡単に言えば、頭が良ければ良いほど最強の魔法である。


 僕自身もそれなりに扱える頭は持っているのだが、うれしきかな悲しきかな、僕の中にいるシエルの方が演算力は格上なのである。よって、情報処理はほぼシエルに任せている。


 ちなみに、この世界に来た直後に師匠から受け取った大量の情報はシエルによって数時間で余すことなく処理された。僕死にそうだったのに……


 処理された情報は全て僕に関する情報であったのだが、戦闘技能が中心で、昔に関する情報は何もなかった。


 

 『主様! 考え事をしている暇は無いですよ!』

 「っと、ごめんねシエル」



 考え事をしているとシエルに怒られてしまった。僕は改めて幻桜刀を両手で握り直し、正眼の構えをする。


 葵も幻桜刀を握り、空を蹴って一直線に僕へと向かってくる。


 

 「『幻桜流刀術』《幻月》」

 「『幻桜流刀術』《夢月》」



 葵が放つ《幻月》と僕が放つ《夢月》は互いの刀の刃先にてぶつかり合う。



 「『幻桜流刀術』《白刀・色水》」



 僕はすかさず葵の刀を下に押さえ、葵の懐へと入る。


 葵は僕から距離を取ろうとバックステップをするが、僕の接近の方が速かった。


 僕は刀から手を離し、右手を葵の首の真横で止めた。



 「終わりだよ」



 僕のその一言で、僕と葵は脱力し地面に座る。



 「っはぁ。ユウ、強くなりすぎ。もう、シーカーなりたてとは思えない強さなんだけど?」

 「それを言うなら葵もじゃない? シエルに頼ってギリギリ勝てるって、明らかに僕単体よりも強いと思うけど……」

 「そんなこと言っても、最後はほぼ貴方自身の力で私に勝ってるじゃない?」

 「そうなんだけどね、接近戦は僕の方が上手(うわて)かもしれないけど、こと魔法戦においてはシエルに頼りっきりだから……」

 「まぁ貴方、元々魔法は幻想魔法しか使えなかったからね。その幻想魔法ですら普通の魔法からかけ離れているから、そもそも貴方自身に普通の魔法を使う感覚がないのよね」



 そうなんだよねぇ。通常、魔法を使うのには『魔力』というものが必要になる。勿論、『ステータス』に『〇〇魔法』を持つ人は例外なく魔力を持つーーはずなのだが、『幻想魔法』はそもそも魔力を使わずに行使する。その都合上、『魔力』を使って『魔法』を行使するという感覚が自分には存在しないのである。


 葵曰く、体内に渦巻くナニカがあるとの事だが僕にはさっぱり分からない。



 「まぁ僕が魔法が使えなくても葵が使えるし、一緒に行動する上では僕は困らないかな?」

 「ふふっ。それならずっと一緒にいないとね。よろしくね? ユウ」

 「うん、よろしく葵」

 「イチャイチャしちゃって、まあ」

  


 師匠がニヤニヤしながらやって来た。


 ちなみに現在、僕と葵は背中合わせで座っている状態である。傍目から見れば、イチャつい

 

 「師匠も来ますか?」

 「では、お言葉に甘えて。ユウ君の左に失礼するよ」

 「むぅ、それなら私も。私は主様の右に座ります」



 師匠は僕の左側に、シエルは僕の右側に背中を預けた。


 そういえば、『孤独の少女は外の世界を夢見る』の状態はどうなのだろうか?


 僕は『幻想領域』から葵の本を取り出して、表紙を捲る。


 しかし、『ステータス』と『第一章』のみ記載されていて、何も変わっていなかった。『第一章』の黒ずみ部分もそのままだ。


 でも、何故だろう? 僕はこの黒ずみ部分も次の話も知っているような気がする。具体的には思い出せないけどね。


 というか『ステータス』をチラ見したんだけど、『ステータス』何も変わっていなかったんだけど? 


 

 『それはそうです。主様達の強さというのは全て『魂』に起因するものです。ステータスは器ーーつまり身体の状態を表したものなので、主様達がこの世界で鍛えた強さはステータスに反映されません』

 『じゃあ、最早ステータスは詐欺では?』

 『言い方はアレですが、まぁそうですね』



 悲報、ステータスは詐欺となった


 

 



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