魔王城は今日もツッコミがいない
散々面白がったレイヤとクリュスに煽られまくり、数日。
気付けば、銀河の魔導書の中身は、色々と妖しげなコトになっていた。
あるページは善神の召喚の記述で埋められ、あるページは運試し系の魔法で埋められ、またあるページは天変地異に似た現象で埋められた。
他にも続々、使えるのか使えないのか、曖昧な判断を求める魔法の数々。
魔王らしくない、可愛らしかったり悪戯系だったり、災厄だったり。
不思議な魔法で埋められた魔導書は、攻撃魔法よりも不思議なモノが多かった。
他者にロボットダンスを踊らせるだけの魔法。
全世界から『銀河のお友達』を召喚して助力して貰う魔法。
兄の生き霊を召喚して守って貰う、防御魔法。
そういった変な魔法が、作成した全体から見ると八割にも及ぶ。
「流石に、遊びすぎたね」
そんなことを言いつつも、満足げに息をつく銀河。
色んな意味で規格外だった少年は、今回の魔法作成を経て、成長した。
更なる規格外のイロモノ魔王へと、駄目な成長を…。
しかしそれでも彼を慕う魔物達には、銀河はこの上ない、立派な魔王様で。
逆らうモノもなく、粛正対象など無論無く、魔王討伐を叫ぶモノも近場にはいない。
折角数々の魔法を創った銀河でも、使う機会がないのに使おうとはしない。
時も場所も動機もない、魔法を使わない理由。
魔法を使う理由も身を守る脅威もなく、外敵なんて何処にもいない。
銀河は優雅にセッティングされたテラスのテーブルで、今日も優雅にお茶を飲む。
クリュスが給仕し、レイヤはお相伴に授かって。
ライゲス作のお菓子に舌鼓を打ち、小さな空色竜は今日も飛行練習。
魔王城は今日も、魔法を使う必要性などないくらい。
その位、のどかでぽかぽかと、平和だった………。




