どっかの天神様
「「「………」」」
魔導書の中、説明書きを見て、思わず黙り込む三人。
最初に口を開いたのは、呆れ顔のレイヤだった。
「銀河…パターン化しかけてない? この流れ」
「僕って、なんだろうね…」
「なんだろうね。本当。毎回何かしら神様召喚しないと気がすまないとか?」
レイヤの言葉に殊更落ち込み、銀河は苦い顔で笑うしかできない。
…神様召喚。
そう、銀河はまたしてもやってしまったのだ。
途中で浮かんだ、余計な予備知識のお陰で。
今回も無駄に強力で、決して魔王らしくない、召喚魔法が完成してしまった。
彼等の真ん中に置かれた、魔王専用魔導書。
新たに記述の追加されたページには、こう記されていた。
攻撃魔法(雷)レベル4 消費MP1
“天神召喚「天の裁き」”
発動条件:呪文
「東風吹かば にほひをこせよ梅花 主なしとて 春な忘るな」
効果:
天神様を召喚し、その裁きによる雷を招来する。
効果範囲:半径3㎞内にいる者の内、最も罪深き者に裁きは降される。
雷の強さは効果対象の罪深さに比例し、他者を貶めたことのある者ほど、
薄汚れた魂の持ち主ほど、神の怒りは深く強まる。
それは何とも、魔王に相応しくない魔法。
「やっぱりこれってさ、むしろ聖人の使う魔法っぽいんだけど」
「僕も、そう思うよ。なんて言うか…魔王の使う魔法じゃない、よね…」
「ふふふ。この中では間違いなく、私が裁きを食らう確率が高そうですよね」
「「クリュスさんのは笑い事じゃない」」
前科(かつて国一つ滅亡させた)持ちの吸血鬼は悠長に笑っているが、洒落にならない。
銀河は間違っても、クリュスが半径3㎞内にいる時に、この魔法は使うまいと決めた。
吸血鬼の言う通り、間違いなく天の裁きはクリュスに落ちると思われたからだ。
「ふふふ…これで、銀河様の召喚できる神が二柱に増えましたね」
「クリュスさん、ソレ笑い事じゃない」
「魔王が神様召喚して、本当にどうするのよ…」
あまりにも非常識で、どう考えても魔王っぽくない。
そんな魔法ばかり創ってしまう己に、銀河は深く溜息をついたのだった。




