↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した私(オタク)は、推し(妹)が尊すぎて溺愛しています!〜アニメ放送当日に死んだけど、生で推しを拝めるならむしろサイコーです!〜  作者: 宝石 モモカ
第4章︰新しい奴隷と皇宮潜入編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/28

第26話 親からの贈り物

「おい、とっ、とりあえず捕まえろ!!」


 店の人らしい男の人は、私たちに向かって叫んできた。

 私が呆然としていると、お母様が呟いた。


「私たちに向かって命令だなんて、失礼な人ね」


(⋯⋯これは、どっちが悪いんだろう?)


 そもそも奴隷を扱っている店の人か、店の人が慌てているのに無視しているお母様か。


(っていうか⋯⋯この子、奴隷だよね? 店の人が捕まえようとしてるって言うことは⋯⋯)


 奴隷は逃げ出そうとしてるのかな?

 捕まえたほうがいいのか、逃がしてやったほうがいいのかわからない。


 とりあえずぼーっとしていたら、お店の人が険しい顔でこちらを睨んできた。


「売り物なんだ、捕まえてくれ」


 奴隷はちょうど私の後ろにいた。隠れるようにして、私をチラチラと見てきた。


(何と言うか……可愛い)


 まだ幼い少年だけど、しっかりしていそうだった。

 ぶつぶつと、何かを唱えている。


(そうだ!)


 私は奴隷の腕をパシッと掴むと、お母様に向かって言う。


「この奴隷を買うというのは、どうでしょう?」



 ◇◇◇



 私の考えはこうだ。


 シエラちゃんは、きっと帰ってくる。

 それまで、この奴隷を育てて、シエラちゃんの友達にしてあげたいと考えたんだ。


 よく考えてみたら、シエラちゃんには、私以外に話す相手もいなかったし、名案だよねっ!


(そうだよ、シエラちゃんは帰ってくるもんねっ!)


 私は満面の笑みになった。


「⋯⋯で、どういうつもりなんだよ」


 目の前にいる奴隷は呆れたようにため息を付いた。


 ここは部屋の中。家に帰ったあと、私は奴隷をすぐにお風呂に入れて、発見した怪我の手当をしてあげた。

 そして、今は、この奴隷を観察しているところだった。


(この子がシエラちゃんの友達になれる人材か確かめなきゃだし)


「俺は逃げようとしてたんだ、何で隠れたときには捕まえなかったくせに急に買うとか⋯⋯お前、馬鹿なのか?」


(⋯⋯あれ、何か、口悪くない? 奴隷だったせい?)


「⋯⋯とりあえず、シエラちゃんの隣にいられるようにするためには、いろいろできるようにしなくちゃね!」


 その言葉から、二人の特訓が始まった。



 ◇◇◇



 まずはシエラちゃんの部屋の掃除。この子の教育にもなるし、掃除してあげたいからだ。


「⋯⋯おい、これでいいか」

「全然ダメ! シエラちゃんが帰ってくるまで、もっと部屋をきれいにしなくちゃ」


 私が隣で窓をキュッキュと拭いていると、「おい」と話しかけてきた。


「⋯⋯ここ、シエラ? ってやつの部屋なのか? 物置じゃなくて?」

「うん、君の部屋もこんな感じだったでしょ?」

「君ってなんだよ、気持ちわりいな」


(⋯⋯口悪いなぁ⋯⋯)


 奴隷って、こんなもの?

 でも、シエラちゃんはこんな感じじゃないし、やっぱりこの子の性格の問題かな?


「そろそろいいかな。今度は、シエラちゃんが置いていった荷物の整理だよ、君はこっちね」

「だから、君ってやめろよ」


 そう言いながらも、渋々物を運んだりまとめたりしている。


「だって、名前知らないから⋯⋯」

「じゃあ適当に呼んでくれ、俺には名前なんて無いんだ」

「⋯⋯え?」


 私は目をぱちくりさせた。

 名前がないって⋯⋯?


「つけられたこと無いの?」

「ああ。売れ残った奴隷は、まとめて狭い部屋に放り込まれる。そこで生まれたのが俺らしい」

「じゃあ、親に育てられてないの?」

「⋯⋯母は弱っていたからすぐ死んだし、父はその後部屋から出されてすぐ売られたから、顔も覚えていない。もはや親という認識ですらないけどな」


 小さく笑うこの子を見ていたら、少し、切ない気持ちになった。


「⋯⋯でも、勝手につけるのは⋯⋯」


(名前は親からの最初の贈り物なのに、私がつけるのは⋯⋯)


「もう、勝手に呼べよ」


 すたすたと歩いていこうとしている。


(だったら⋯⋯)


「アーシャ!」


 叫んだ瞬間、ビクッとして振り返った。

 そのまま、困惑した瞳でこちらを見つめてきた。


「アーシャ、は、どう⋯⋯?」

「アーシャ⋯⋯」


(この子、不安そうなとき、ずっと『アシャ』って唱えてた⋯⋯愛着のある言葉みたいだったから、そのままその言葉の響きで⋯⋯)


「だめ、かな?」

「⋯⋯」


 私はこの子――アーシャをじっと見つめた。


「勝手に呼べって、言っただろ」


 突き放すような言葉。

 でも、さっきより、その言葉が暖かく感じた。


「うんっ!! 分かった、アーシャ!」

お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。