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転生した私(オタク)は、推し(妹)が尊すぎて溺愛しています!〜アニメ放送当日に死んだけど、生で推しを拝めるならむしろサイコーです!〜  作者: 宝石 モモカ
第3章: 魔法学校と皇帝の来訪編

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第24話 皇帝の来訪 三日目

「⋯⋯分かんない」


 それがシエラちゃんの答えだった。

 私は目を閉じて、ゆっくりと息を吐く。


「気を使わなくても、良いんだよ?」

「そうじゃなくて」


 シエラちゃんは、慌てて訂正した。


「ほんとに、分かんないの」

「でも、皇帝のところに行けば贅沢もできるし、お母様に何もされなくて済むよ?」

「それは、わかるけど」


 シエラちゃんは、首を傾げてしばらく考え込んだ。

 そして、ゆっくりと顔を上げた。


「⋯⋯ねぇ、お姉様。皇帝のところに私が行ったとして、足りないものは何だと思う?」

「足りないものなんてないと思う⋯⋯」


 私が上の方を向きながら考えていると、シエラちゃんはちいさく微笑んだ。


「足りないのは、お姉様だよ」

「私⋯⋯?」


「お姉様は、きっと連れて行ってもらえない。お母様は私を渡したとしても、お姉様のことはどうやってでも引きとめると思う。皇帝も、お姉様のことまで本気で連れて行くなんてことは、しない気がするから」


 シエラちゃんは寂しそうに目を伏せた。


「だから、皇宮にはお姉様がいない。お姉様は、大好きな人だから、ずっと一緒にいたい。いたいのに⋯⋯」


 シエラちゃんが、窓の方を見つめた。


「⋯⋯どうしても、迷っちゃう」


 シエラちゃんは、困ったように微笑んだ。


「私、真っ先にお姉様のところに行くべきなのに⋯⋯」

「いやいや、そんな事考えなくていいんだよ!? というか、皇宮に行っても、私にはすぐ会える、はず⋯⋯多分」


 私の言葉に、シエラちゃんは嬉しそうに小さく笑った。


「⋯⋯信じてみるね」


 その笑顔を見るのは、きっと最後になる。



 ◇◇◇



 皇帝が来て、三日目。

 そして、シエラちゃんがいなくなる日。


 本当はお別れ会をしたかったけど、今日の朝に出発するからそれも無理だ。


(それにしても⋯⋯もう本当に会えないんだ⋯⋯)


 私は、涙を必死にこらえて無理やり作り笑いをした。


(きっとシエラちゃんは幸せになれる! きっと楽しく過ごせるんだ⋯⋯!)


 私はそう自分に言い聞かせると、シエラちゃんの部屋へ向かった。


「シエラちゃん、荷物まとめられた?」

「⋯⋯一応」


 シエラちゃんは不安そうに言うと、少なすぎる荷物を抱えて皇帝の泊まっている部屋の方向に歩き出した。


「⋯⋯陛下」


 シエラちゃんがドアをとんとんとたたいた。


「エレナか?」

「は、はい、エレナです」


 エレナと呼ばれることに戸惑いながらも、シエラちゃんは返事をした。


 ガチャ。


 ドアが開いた。

 そこに、皇帝が、少し寝癖のついた髪を撫でながら立っていた。


「陛下、」

「できれば、お父さんと呼んでほしい」

「⋯⋯お父さん」


 シエラちゃんは、「お父さん、お父さん⋯⋯」と呟いた。


(皇帝がシエラちゃんをまた困らせてる⋯⋯)


「陛下、シエ⋯⋯エレナ、様? が困っています」


 シエラちゃんと呼んでいいのか、エレナちゃんと呼ぶべきか、あるいは様をつけてエレナ様と呼ばないと失礼なのか全くわからず、曖昧になってしまった。


 皇帝はハッとして、「エレナ、別に陛下と呼んでも大丈夫だ」と早口で言った。


「⋯⋯じゃあ、もう少し『陛下』と呼んでいたいです」


 シエラちゃんの言葉に、「分かった」と言うと、皇帝はシエラちゃんを連れて廊下を歩いていった。


 私もなんとなくそれに続く。


「シエラ、皇宮は前来たと思うが、大きいからな、シエラ専用の部屋も楽しみにしていてくれ」


(確かに、今は物置をなんとか部屋にしてもらってる感じだもんね⋯⋯)


 私は広いという点も皇宮のいいところだと思った。


「エレナ、着いたぞ」


 玄関に着くと、皇帝はシエラちゃんに笑いかけた。


「もう行く。今までエレナを大切に扱ってくれてありがとう。これからは、私がエレナを支える」


 皇帝はそう言うと、静かに家を出ていった。

 お母様が慌てて走ってきて、「ありがとうございました、また来てください」と叫んだ。


(多分もう来ないと思うけどね)


 私はそう思いながら、目を押さえて走り去った。


 床に、光るものを落としながら。

お読みいただきありがとうございます。

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