第19話 魔法の授業
学校一日目。
シエラちゃんはいつもの大人びていて、どこか冷めたような表情とは違い、少し緊張した顔になっていた。
(まあ、それもかわいいんだけどね!)
皆がシエラちゃんの可愛さに虜になって、気がついたらシエラちゃんファンクラブみたいになっていた。
(ちょっとさみしいけど⋯⋯推しの可愛さを共有するのも楽しいものだとはおもうなぁ)
私はワクワクしながら、一時間目の授業を受けた。
「今日は魔法の学習をします」
先生がいったとたん、ガヤガヤとしだした。
私は隣の席になったシエラちゃんと、ひそひそ話し出す。
「お姉様。魔法の学習って?」
「⋯⋯わかんない⋯⋯」
私は正直に答えた。
原作ではシエラちゃんは学校に通わずに隣国に嫁ぐし、セイラは脇役なので学校に行くシーンはない。
だから、どんな授業なのかよく分かっていなかった。
「新しく入った人がいるので、魔法の学習について改めて詳しく説明しますね」
(そうしてもらえるとめちゃくちゃ助かる⋯⋯!)
私は説明をしっかり聞いておいた。
先生によると、魔法の学習は、歴史や種類を学ぶものと、実習があるらしい。
今回は休み明けだけど、実習をやるという。
(まあ実習のが楽しそうだよね!)
私は笑顔で皆についていった。
◇◇◇
ついた先は、学校の校庭だった。
(ここでやるみたい)
私は皆のマネをして校庭に座った。
シエラちゃんも私の隣にちょこんと座っている。
「えー、今日は、氷を作る魔法の練習をしましょう」
先生が言った。
シエラちゃんがちらっとこっちを見て、話しかける。
「⋯⋯私、魔法をあんまり使ったことないんだよね⋯⋯」
「私も⋯⋯って、あれ?」
(私、いままで魔法使ったことない⋯⋯どうやるんだろう?)
私は首を傾げながらも、先生の話を聞いていた。
◇◇◇
(結局魔法の使い方分からなかったー⋯⋯)
私ははぁ、とため息を付いた。
シエラちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫? お姉様」
「うん! だいじょうぶ⋯⋯」
私はそう言ったけど、魔法の使い方が分からなくて心配だった。
「まず、リニアさん、やってみてください」
「分かりましたわ!」
元気な声で返事をしたのは、リニアと呼ばれた女の子。
高級そうな服が美しい。
リニアさんは手を前に出した。指先からキラキラと氷が生み出される。
「合格です」
(あ、合格とかあるの? まずいかも⋯⋯)
「次、シエラさん」
「⋯⋯はい」
小さく返事をしたのはシエラちゃん。
私はシエラちゃんをじっと見つめていた。
「シエラさん、できますか?」
「⋯⋯やってみます」
シエラちゃんはそっと手を前に出した。目を瞑って、魔法の出し方をイメージしているようだった。
ぱぁぁぁっと、手の周りが光る。一瞬にして氷が生み出された。
「合格です」
「シエラちゃん、すごい!!」
私が言うと、シエラちゃんは少し恥ずかしそうに笑った。
(ぎゃあああ! シエラちゃん、その顔やめて⋯⋯じゃなくて、もっとしてー!!)
私が心のなかで叫んでいると、気がついたら私の番になってしまった。
「次、セイラさん」
「は、はい!」
(できるかな⋯⋯?)
私が緊張と心配で固まっていると、シエラちゃんが声をかけてくれた。
「お姉様、大丈夫。イメージするだけでいいから」
「イメージするだけ?」
「⋯⋯うん。心配だったけど、真似するつもりで、指先から氷ができるイメージをしたら出来たの」
シエラちゃんが笑顔で送ってくれた。
私は先生の元へ歩く。
(手を胸の前へ持ってきて、そこから魔法が出てきて氷が生み出されるイメージ⋯⋯!)
手をじっと見つめる。
いきなりぱぁぁっと光ったかと思うと、キラキラと氷が散っていった。
「合格です、が⋯⋯」
「な、なんですか?」
「シエラさんもそうでしたが、そんなに氷を生み出せるほど魔力をお持ちなのですね⋯⋯」
(え、どういうこと?)
「あ、ありがとうございます⋯⋯」
私はよく分からずに、シエラちゃんの隣のスペースへ戻っていった。
「お姉様、すごかった」
「シエラちゃんも、めちゃくちゃすごかったよ!」
お読みいただきありがとうございます。




