第15話 したいこと
「シエラちゃん、今日は何をするの?」
「⋯⋯トランプしたい」
「いいよ!」
(トランプにハマったみたいで嬉しいなっ!)
私はうきうきでトランプを用意した。
でも、トランプをやってもすぐに終わってしまって、最初は楽しかったのに飽きてきてしまった。
シエラちゃんもそうみたいで、さっきまで笑顔だった顔が少し曇ってきた。
「次は何する?」
「えっと⋯⋯」
シエラちゃんが困っていることに気づいたけど、どうしたら良いかわからない。
「いつも私が決めさせてもらってるから⋯⋯今日は、お姉様に決めてほしいな」
「えっ、でも⋯⋯」
「お姉様も、したいことあるでしょ?」
シエラちゃんがニコッと笑う。
(ずるいーっ!! 可愛すぎるってーっ!!)
私がジタバタしていると、シエラちゃんが慌てて駆け寄ってきた。
「⋯⋯大丈夫?」
「うん! シエラちゃんが心配してくれたおかげで大丈夫!」
私は勢いよく頷いて、今度は棚の角に頭をぶつけてしまった。
◇◇◇
「お姉様のしたいことってもしかして⋯⋯」
街に出ると、シエラちゃんが私に聞いてきた。
私は笑顔で答える。
「こっそり街に行くことはあったけど、街を巡ったりお店巡りとかしたことないし、行きたくて」
(ついでに写真をとれる魔道具とかないか探したい!)
私は心のなかで決意すると、シエラちゃんに向き直った。
「じゃあ、行こー!」
◇◇◇
「まずは、ここ! ご飯を食べる!」
「⋯⋯確かにお腹すいた」
シエラちゃんが少し恥ずかしそうにお腹を抑えた。
(お腹抑えてるシエラちゃん、かわいいっ!! 何でこんな可愛いのーっ!? 尊すぎでしょーっ!!今すぐカメラにおさめたいけど⋯⋯)
この世界にはカメラがない。でもきっとどこかに似たものがあるはず!
「よーし! ご飯食べたらカメラも探すぞーっ!!」
私はそう叫ぶと、ご飯を注文した。
私が注文したのは、カレーライスっぽい食べ物。
シエラちゃんが注文したのは、サラダとスープ。
(しかもメニューに写真っぽいのがあったんだよねっ! カメラとかあるかも?)
私は気になって仕方がないので、店員さんに聞いてみた。
「あの、これってどうやって写真を入れたんですか?」
「写真⋯⋯? えっと、この絵のことなら、私の描いたものだよ」
(まさかの絵!? しかも写真という言葉が存在しない⋯⋯!?)
私がパニックになっていると、店員さんが頭をかきながら恥ずかしそうに言った。
「そこまで上手く描けなかったんだけどね」
「いやいや、めっちゃそっくりです! すごすぎです!!」
私が言うと、店員は照れくさそうに言った。
「そんな事を言われるのは初めてだよ」
「嘘っ!!」
「いやぁ、そんなに言ってもらって嬉しいなぁ」
店員さんはお店の奥に入ると、カレーライス(っぽいもの)とサラダとスープを持ってきた。
「これ、無料にするよ」
「いやいやいや! 申し訳ないです! こっちは褒めただけなのに」
「じゃあせめて半額にしてくれ」
店員さんは土下座でもしそうな勢いで言った。
「私が昔絵描きを目指してたのを思い出したんだよ」
懐かしそうに言う店員さんをじっと見つめる。
「掛け持ちは大変だろうけど、頑張る勇気が出たよ」
(本気なんだ⋯⋯)
「ありがとうございます。でも半額では受け取れません」
私は笑顔でそう言う。
「分かったよ」
店員さんが戻るのを確認すると、カレーライスを食べ始めた。
◇◇◇
「美味しかったねー!」
「うん」
シエラちゃんは少し楽しそうに微笑んだ。
「次は何するの?」
「次はね⋯⋯」
私は目当ての物めがけて走っていった。
「これ! 射的やろう?」
「しゃてき?」
「そう! 欲しいものにこれを当てるの!」
射的の鉄砲とその中に入れるものを見せた。
「難しそう⋯⋯」
「任せて! どれ取りたい?」
「⋯⋯でもお姉様は」
「いいのいいの!」
私が思いっきり頭をブンブン動かしていたら、やっとシエラちゃんが答えた。
「⋯⋯これ」
シエラちゃんが指さしたのは、可愛いウサギのぬいぐるみ。
(これ絶対シエラちゃんが持ってたら可愛いに決まってるでしょ!!)
私は鉄砲をぬいぐるみに向けた。
◇◇◇
結果は。
「取れなかった⋯⋯」
「お、お嬢ちゃんずいぶんやったねぇ?」
「ま、まだまだお金あるし⋯⋯」
「⋯⋯私なんかのために無駄遣いしちゃダメ」
シエラちゃんは心配そうにこちらを見つめていた。
「いや、もうちょいやる⋯⋯」
「お姉様」
シエラちゃんを見ると、ふるふると首を振っていた。
「お嬢ちゃん、もうここの景品全部買えるくらいのお金使ってるし、取っていっていいよ」
「えっ、でも⋯⋯」
「二人が譲り合ってるの見て、おじちゃんは心動かされちゃったんだ」
「⋯⋯それなら、ありがとうございます」
私はぬいぐるみを受け取った。
「⋯⋯いい人たちばっかりだったね」
「うん! シエラちゃんもお出かけに付き合ってくれて、ありがとうね!」
私はそう言うと、シエラちゃんと一緒に歩きだした。
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