第14話 トランプ
「シエラちゃん、今日は何しよっか?」
「⋯⋯なんでも」
「じゃあ、トランプしよ!」
「トランプ?」
(あれ、もしかしてこの世界トランプ存在しないの?)
私は少し驚きながらも、仕方なくトランプを作ることにした。
「紙を使って、切って、数字とマークをかいてー⋯⋯」
私が紙にかいていると、シエラちゃんが近づいてきた。
「お姉様。私もやる」
「シエラちゃんもやる!? いいよいいよーっ!」
私は興奮しながらペンと紙を渡した。
「えっと、六はね⋯⋯」
「こう?」
私が言い終わる前に、シエラちゃんが描いて見せてくれた。
「そう! シエラちゃんすごっ!!」
(私の推し天才!!)
私が言うと、シエラちゃんは耳の後ろを赤くしながら「ありがとう」と呟いた。
「これを大量に作れば完成だよっ!」
私がウインクしながら言うと、シエラちゃんは黙々と作り始めた。
◇◇◇
完成した途端、私はベッドに倒れ込みながら叫んだ。
「あぁーっ! 疲れたぁっ!」
「お姉様、大丈夫?」
シエラちゃんが心配そうにやって来て、お水をわたしてくれた。
「ありがとう……!」
私は水をがぶ飲みすると、ハッとした。
「あっ⋯⋯シエラちゃんの持ってきてくれた水全部飲んじゃった⋯⋯」
「⋯⋯水は飲んで良いんだよ?」
「取っておくつもりだったのに⋯⋯」
「⋯⋯」
シエラちゃんは少し戸惑っているような表情で、追加で水を持ってきてくれた。
「よし、飾る用の水確保!」
「⋯⋯えっ⋯⋯」
シエラちゃんはますます戸惑ってしまったのだった。
「トランプっとどうやるの?」
「うーんとね⋯⋯色々なやり方があるけど、まずはババ抜きをしてみようか」
私は簡単にルールを説明した。
シエラちゃんはウンウンと頷きながら聞いてくれる。
「⋯⋯という感じかな」
「⋯⋯わかった」
シエラちゃんはコクンと頷いた。
私がカードを分けると、私のカードの中にジョーカーが入っていた。
(そう言えば、二人だとあっという間に終わっちゃったっけ)
そう思いながらも、私はどうしても最初はシエラちゃんに勝ってほしくて、ある作戦を思いついた。
ジョーカーでないカードを真ん中に持ってきて、少しだけ上に出す。そうしたら取りやすいからそれを取らせることができるという作戦だ。
まあ絶対にそれを取るという確証はないんだけど⋯⋯。
「えっと⋯⋯これにする」
(よしっ! 真ん中の普通のカードを取ったぞーっ!)
私は心のなかでガッツポーズをした。
(よし、次は!)
カードを一つだけまた上に出してみた。
これならさっきと同じように、真ん中の普通のカードを取るはず!
そう思ってシエラちゃんを見ると、怪しんでいるような顔をしている。
(も、もしかして、このパターンって⋯⋯)
「じゃあ、これ」
(あっ! ジョーカー取っちゃった⋯⋯)
逆に怪しまれてしまったようで、適当に入っていたジョーカーを取られてしまった。
(まずい、これじゃあシエラちゃんが負けちゃうかも⋯⋯)
次は私のターン。
どれを取ろうか⋯⋯。
「じゃあ、これ」
私はど真ん中を選んだ。
(ち、違う!?)
「これにする」
シエラちゃんもカードを一枚引いた。
どうしよう。これじゃあシエラちゃんが負けちゃう⋯⋯!
「ジョーカーはどれだろう⋯⋯」
「ジョーカー? えっと⋯⋯」
素直に言おうとするシエラちゃんに、慌てて私は言った。
「だ、大丈夫! 秘密にするゲームだから」
そう言ったけど、私は気づいてしまった。
(シエラちゃんが一瞬だけ指さそうとしたカードがある⋯⋯!)
ずるになってしまうけど、シエラちゃんを勝たせるため⋯⋯!
「次はこれにする!」
私はさっき指さそうとしていたカードを選んだ。
◇◇◇
トランプの結果は、私が負けで。
「シエラちゃんの、勝ちーっ!」
「お姉様。声大きい」
「だって、シエラちゃんすごいよっ!」
私は興奮しながら笑った。
シエラちゃんも少し嬉しそうでニコニコしていた。
「楽しかったね! 次は何する?」
「まだやるの?」
「あっ、ごめん、やりたくなかったよね⋯⋯」
私がしゅんとしていると、シエラちゃんが優しく頭を撫でてくれた。
「⋯⋯やりたくないわけじゃない。むしろ⋯⋯」
シエラちゃんはニコッと笑った。
「また何かするのが楽しみ」
(ぎゃああああっ! シエラちゃん、反則! 天才!)
私は心の中の叫びを完全に抑えながら言った。
「じゃあ次は何しよっか」
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