第11話 お菓子パーティー 後編
「シエラちゃん、こっちのケーキも美味しそうだしこっちのクッキーも可愛くない!?」
私はワクワクしながらいろいろなものをシエラちゃんにおすすめしてみた。
シエラちゃんは「こんな食べられる⋯⋯?」と言いながらも目を輝かせている。
(正直シエラちゃんがこのケーキやクッキーを食べてるとこ見てみたいっ!)
前世だったら絶対に待ち受けにしてたのに。写真がないと不便だね、魔法は一応あるみたいだけど。
私はシエラちゃんのきらきらとした目を私の目に焼き付けた後、ケーキを切り分け始めた。
「シエラちゃん、どの部分食べたい?」
「えっ⋯⋯どれも美味しそうだけど⋯⋯」
シエラちゃんは最初は迷っていたけど、決まったようで、一切れ指さした。
「これ」
「オッケー!」
「どこが違うかわからないけど⋯⋯ここ、『シエラちゃん大好き』ってかいてあるから」
そう。シエラちゃんが選んだのは、私がチョコペンを買って「シエラちゃん大好き」とかいた部分。
そのケーキを渡すと、シエラちゃんはそれを愛おしそうに見つめた。
「このクッキーも食べる?」
パンダのクッキーを差し出すと、シエラちゃんはそれをゆっくりケーキに乗せてトッピングをした。
(シエラちゃん天才⋯⋯! クッキーをケーキにトッピングするんだね!)
「それ、私も真似して良い?」
「うん、いいけど⋯⋯」
私は、自分のケーキにもパンダのクッキーを乗せる。
「ほら、お揃い!」
「あ、それなら⋯⋯チョコペンまだある?」
「うん!」
私は後ろからチョコペンを十本くらい取り出した。色もいろいろとある。
これで何をするんだろう。
私が首を傾げていると、シエラちゃんは私のケーキをそっと借りると、何かかき出した。
書かれているのは⋯⋯。
「『おねえさまだいすき』?」
「おそろいにしたくて⋯⋯漢字、書けないから⋯⋯ひらがなになっちゃった」
少し恥ずかしそうに言うシエラちゃん。
漢字は読めるけど書けないんだよね、と言って俯いている。
「いや、全然! ありがとうっ! これ、一生食べない!」
「それはダメだよ」
シエラちゃんがやんわりと止める。
(お菓子パーティーって最高!)
美味しくて、楽しくて。
「あっ! おせんべい⋯⋯じゃなくて、しょっぱいお菓子もあるからこっちも食べてね!」
なんと言ったら通じるかわからないので、「しょっぱいお菓子」と言っておく。
シエラちゃんは嬉しそうに受け取ると、ひとくち食べてみた。
「⋯⋯っ」
シエラちゃんが驚いたように目を見開く。
「⋯⋯クッキーとは食感が違って美味しい」
「でしょでしょーっ?」
私が楽しくなってそう言うと、シエラちゃんはうんうんと頷いた。
(シエラちゃん、感情を見せるようになってきたな)
私は嬉しくてニコニコと笑ってしまった。
シエラちゃんは、「何? お姉様」と言ってから、おせんべいを頬張っている。
(かわいいすぎるっ!)
その後、私たちはこの山盛りのお菓子やケーキを食べ終わるまで、楽しく会話していた。
◇◇◇
「終わっちゃった⋯⋯」
「終わったね」
シエラちゃんは普通に言っているけど、声が震えている。
私も寂しくなってしまった。
(いやいや! シエラちゃんがいるから寂しくない! はずなんだけど、シエラちゃんが寂しそうで私まで寂しくなっちゃったんだよね⋯⋯)
「お姉様。またやってね」
「うん、いくらでもやってあげるよ!」
シエラちゃんは目をこすって涙をこらえていた。それほど楽しかったらしい。
(泣いてもいいんだよ、シエラちゃん!)
この世界は涙が宝石になっちゃって証拠が残るから不便だな。そのせいでシエラちゃんが遠慮して泣くのを我慢しちゃうからね。
私は寂しさをこらえて、「またやろうね」とつぶやいた。
「そ、そうだ! 街にでも行かない!?」
私が気分を変えようと思ってそう言うと、シエラちゃんは「いいかも」と言ってくれた。シエラちゃんは、表情が少し明るくなっている。
「じゃあ、街に行こーっ!」
私は外に出る準備を始めた。
◇◇◇
街に出ると、シエラちゃんは私に聞いた。
「今日は何をするの?」
「うーん⋯⋯実は何も決めてない⋯⋯」
(そういえば、シエラちゃんがいい子すぎて何も言ってこないけど、行きたい場所はあるのかな?)
「シエラちゃん、行きたい場所ある?」
「⋯⋯ない」
「遠慮しなくて良いんだよ!?」
私が言うと、シエラちゃんはためらいながらもこう言った。
「じゃあ⋯⋯あそこの近くまで行きたい」
シエラちゃんが指さしたのは、遠くに見える皇宮。皇族が住んでいるところだ。
(シエラちゃんは皇族の血が流れてる説あるし、惹かれるのかな?)
そう思いながら、私たちは皇宮のよく見えるところへ向かった。
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